苦味少なく歯応え十分 鮮度が自慢 早朝に収穫
独特の香りと食感を持つセロリ。春の収穫量が 多いが、ハウス栽培の秋物は苦みが少なく、香 りや歯応えもよいとか。漬物や天ぷらにしてもお いしく食べられる。秋の収穫を迎えた道内一の 産地、胆振管内洞爺湖町を訪ねた。
合併前の旧洞爺村の市街地から車で約10分。 洞爺湖畔の丘陵にある野田義視さん(61)の自 宅前で車を降りた途端、セロリの香りが漂ってきた。野田さんは道内で も珍しいセロリ専業農家で、大小27棟のハウスで約3万株を栽培。 大きいハウスは縦60㍍、横12㍍もある。
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午前10時前。この日の収穫はほぼ終わり、ハウス内で野田さんと 妻安子さん(57)、手伝いの女性の合わせて3人が、刈り取った株 を箱詰めしていた。「温度が上がる前に収穫しないと鮮度が落ちる。 午前4時半から手鎌で刈るんです」大きい株は長さ50㌢、重さ2・5㌔。 根元の茎は直径7㌢もあった。旧洞爺村では、野田さんら18戸がセ ロリを生産。JAとうや湖青果指導販売課の真屋賢介係長は「厚みが あり、食感が軟らかい改良品種を栽培しています」と説明する。昨年 は道内や東北地方に計約500㌧を出荷。道内の収穫量の3分の1 強を占めた。秋の収穫は10月中旬~11月末で、昨秋の出荷は約 100㌧に上がった。同町で生産が盛んになつたきっかけは1971年。 野田さんら農家7人が研修先の静岡県の農家から、道内では生産が 少なかったセロリを勧められた。セロリは暑さに弱く、最適温度は20 度前後。ハウス内が30度を超す高温が3日も続くと、多くが傷んでし まう。水管理も大切で、ハウスごとの土の質や苗の状態に合わせて 回数や量を変え、真夏は朝と晩に水をやる。「セロリは繊細。何年も かけて肥沃な土を作らないといいものが取れないよ」。野田さんの言 葉に、経験に裏打ちされた自信がうかがえた。
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さて試食。セロリのシャキシャキ感を楽しむなら、サラダやスティック で味わう生がいい。「マヨネ-ズに一味唐辛子やみそを混ぜてつけ ると、おいしい」と営農販売部の佐伯ゆかりさん。安子さんには3種 の漬物をいただいた。しょうゆ漬けは、セロリ500㌘(大きい茎4、5 本)を5㌘の塩でもみ、2、3時間おく。水気を゛切り、しょうゆ、みりん 各50㏄、砂糖50㌘のタレに漬け一晩寝かす。上下を返し、もう一晩 おく。酢漬けも同様だが、塩は10㌘、タレは米酢とみりん各50㌘、 砂糖を75㌘にする。キムチは塩5㌘でもみ、市販のキムチのもとと砂 糖少々で漬ける。栄養素の豊富な葉は天ぷらやおひたしにできる。
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