長期滞在 別荘稼働へ格安プラン
7月下旬、二セコアンヌプリ山麓の後志管内倶知安町ひらふ地区。冬は外国人スキ-客らでにぎわうコンドミニアム(マンションタイプの別荘)の一室で、神戸市の野尻岬さん(70)、紀子さん(60)夫婦がゆったりとした時間を過ごしていた。
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「スキ-のイメ-ジしかなかったが、涼しい気候と美しい自然が気に入った」。大きな窓から羊蹄山を望む部屋で、野尻さんは初めてのコンドミニアム滞在に声を弾ませる。広さ85平方㍍の2LDKで、2週間の宿泊料は約12万円。部屋にはソファや大型テレビのほか、台所用品や洗濯機も備わっている。日中はゴルフや散歩を楽しみ、ドライブしながら温泉やそば屋を巡る。雨の日は部屋で好きな映画鑑賞、夜は地元産の新鮮な野菜を調理して晩酌-。「快適な避暑生活で飽きることはない。来年は8週間は滞在したい」夏は閑散としていたひらふ地区で今年、コンドミニアムに長期滞在する日本人の姿が目立つ。50棟を管理する「北海道トラックスマネ-ジメント」の担当者は「1週間以上の滞在客は昨夏の1・5倍に増えた。大半が国内のシニア層や家族連れ」と話す。同社は今夏、一泊の基本料金を年末年始の半額以下の2万5千円に値引き。宿泊日数に応じた割引サ-ビスも導入、1週間以上の滞在なら一泊1万円前後とした。旅行会社とも提携、国内向けの長期滞在プランを本格的に売り込み始めた。
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管理会社が゛夏に力を入れる背景には、冬の稼働率の低下がある。投資物件であるコンドミニアムは、外資系の建設・販売会社が部屋を数千万円から1億円前後で分譲。オ-ナ-が使う時以外は管理会社を通じて客室として貸し出し、オ-ナ-には売り上げの3割ほどが還元される。しかし、コンドミニアムの数は年々増加。昨年は一気に120棟も増え、計190棟を超えた。一方で、今冬は円高の影響などで外国人スキ-客は減り、関係者は「利益確保のため、稼働率が低かった夏の集客に乗り出した」と説明する。こうした動きに、ひらふ地区でアウトドア会社を経営、夏観光の先頭に立つ、オ-ストラリア人のロス・フィンドレ-さん(44)は「夏の可能性が広がり、アジア一のサマ-リゾ-トに一歩近づいた」と歓迎する。コンドミニアムの出現が、新たな観光需要を掘り起こし、「冬だけだった」二セコ観光を変える可能性を秘める。発信2009
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