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東大教授ら開発の新薬「大腸がん細胞のみ効果」

2011-01-07 16:07:10 | 健康・病気

副作用の軽減を実証

大腸がんの標準的療薬「オキサリプラチン」(商品名エルブラット)の副作用を少なくするため、東京大大学院医学系研究科の片岡一則教授らが約5年前に開発した新薬「ダハプラチン誘導体ミセル」が、がん細胞だけに効果的に作用することが実証された。5日付けの米医学誌サイエンス・トランスレ-ションに発表された。この新薬は、医薬品ベンチャ-企業「ナノキャリア」(千葉県柏市)が昨年から欧州で臨床試験を行っている。オキサリプラチンへの耐性を持つようになったがん細胞にも効くという。オキサリプラチンは白金(プラチナ)を含む化合物で、白金が大腸がん細胞のDNA合成を阻害してがんの増殖を防ぐ。しかし、がん以外の細胞にも働くため、手足のしびれや下痢、吐き気などの副作用がある。また、耐性を獲得したがん細胞核に到達する前に解毒されてしまう。                        ダハプラチン誘導体ミセルは、オキサリプラチンと基本構造が同じ化合物にポリグルタミン酸やポリエチレングリコ-ルを結合させ、球状の集合体(直径約40ナノ㍍=ナノは10億分の1)にしたもの。ある程度大きいため、がん細胞にしか取り込まれない。さらに、DNAのある細胞核に接近してから球状集合体が壊れて働くため、副作用の軽減と高い効果を両立できた。片岡教授らはマウスの皮下に移植したヒトの大腸がん細胞で、ダハプラチン誘導体ミセルががん細胞を殺す様子を高性能顕微鏡を使って詳細に観察した。

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