無効確認訴訟でなるほど、という判決があったので、一部引用して記載します。
もんじゅ訴訟
名古屋高金沢支判平成15年1月27日
要旨
無効確認訴訟は、その行政処分の瑕疵が重大かつ明白な場合に限り認められるが、明白要件は、特段の事情のある限り不要となる。
なぜなら後の技術的発展によってその過誤が明白になったとしても、重大かつ明白性の要件は処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白でなければならないが、この要件では提訴を断念せざるを得ず、住民らの生命が保護できないからである。
内容
「最高裁の判例は、違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要するが、特段の事情のあるときは、必ずしも明白性の要件は必要としないとしているものと解され」る。
「原子炉が」「潜在的危険性を有するものであることからすると、設置許可の段階における安全審査において、その調査審議及び判断の過程に重大な過誤、欠落があるとすれば、当該原子炉は、付近住民にとって重大な脅威とならざるを得ない。」
「かかる何事にも代え難い権利、利益の侵害の危険性を前にすれば、原子炉設置許可処分の法的安定性並びに同処分に対する当事者及び第三者の信頼保護の要請などは、同処分の判断の基礎となる安全審査に重大な瑕疵ある限り、比較の対象にもならない、取るに足りないものというべきである。」
「以上のことからすれば、原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解するのが相当である。」
「最高裁判決は、」「原子炉設置許可処分取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する行政庁の判断の適否に対する裁判所の審理、判断は、現在の科学技術水準に照らして行うべき旨を判示している。」
「これによると、処分当時の知見による安全審査に問題がなくとも、その後の科学技術の進展によって新しい知見が得られ、この新知見によって判断すれば、処分の前提となる安全審査に看過し難い過誤、欠落のあることが判明した場合には、当該処分は違法と判断されることとなる。」
「住民が」「出訴期間経過後に」「処分の効力を争う訴えを提起しようとすれば、無効確認訴訟を提起する外ないが、かかる場合に、違法事由に『重大かつ明白』の要件を要求することは極めて不当なことといわなければならない。」
「最高裁」「判決は、『瑕疵が明白というのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白であることを指すものと解すべきである。』と判示しているのであるから、処分後の新知見に基づく処分の無効確認につき、違法(瑕疵)の明白性を求めることは、事実上、提訴の断念を強いるに等しいことであるからである。」
ものすごく実質に沿った判決だと思います。
しかしながら、本無効確認判決は、最高裁判決平成17年5月30日により破棄され原告の請求が棄却された。
もんじゅ訴訟
名古屋高金沢支判平成15年1月27日
要旨
無効確認訴訟は、その行政処分の瑕疵が重大かつ明白な場合に限り認められるが、明白要件は、特段の事情のある限り不要となる。
なぜなら後の技術的発展によってその過誤が明白になったとしても、重大かつ明白性の要件は処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白でなければならないが、この要件では提訴を断念せざるを得ず、住民らの生命が保護できないからである。
内容
「最高裁の判例は、違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要するが、特段の事情のあるときは、必ずしも明白性の要件は必要としないとしているものと解され」る。
「原子炉が」「潜在的危険性を有するものであることからすると、設置許可の段階における安全審査において、その調査審議及び判断の過程に重大な過誤、欠落があるとすれば、当該原子炉は、付近住民にとって重大な脅威とならざるを得ない。」
「かかる何事にも代え難い権利、利益の侵害の危険性を前にすれば、原子炉設置許可処分の法的安定性並びに同処分に対する当事者及び第三者の信頼保護の要請などは、同処分の判断の基礎となる安全審査に重大な瑕疵ある限り、比較の対象にもならない、取るに足りないものというべきである。」
「以上のことからすれば、原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解するのが相当である。」
「最高裁判決は、」「原子炉設置許可処分取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する行政庁の判断の適否に対する裁判所の審理、判断は、現在の科学技術水準に照らして行うべき旨を判示している。」
「これによると、処分当時の知見による安全審査に問題がなくとも、その後の科学技術の進展によって新しい知見が得られ、この新知見によって判断すれば、処分の前提となる安全審査に看過し難い過誤、欠落のあることが判明した場合には、当該処分は違法と判断されることとなる。」
「住民が」「出訴期間経過後に」「処分の効力を争う訴えを提起しようとすれば、無効確認訴訟を提起する外ないが、かかる場合に、違法事由に『重大かつ明白』の要件を要求することは極めて不当なことといわなければならない。」
「最高裁」「判決は、『瑕疵が明白というのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白であることを指すものと解すべきである。』と判示しているのであるから、処分後の新知見に基づく処分の無効確認につき、違法(瑕疵)の明白性を求めることは、事実上、提訴の断念を強いるに等しいことであるからである。」
ものすごく実質に沿った判決だと思います。
しかしながら、本無効確認判決は、最高裁判決平成17年5月30日により破棄され原告の請求が棄却された。