Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

本場日本での漢検リポート~あまりの人波に驚く!

2009-02-02 | 日本の教育一般
2月1日の日曜日は、突風が吹く中、今年最初の漢字検定試験(2008年度3回目)が全国一斉に行われ、日本語大好き帰国子女である我が息子たち2人も自信満々で受験した。中2の上の息子は、小学5年生ぐらいから、シカゴで、毎年一回、塾やシカゴ日本人学校で、漢検を受け続けている。しかし、勝手知ったる場所での少人数での受検だったので、おそらく気楽だったに違いない。

しかし、本場日本での漢検受験は・・・まったく様子が違った!電車で乗り継いで大宮駅で降り、受検票の地図を頼りに延々と歩く。JA共済埼玉ビルという場所をまず探すだけで、大変だった。シカゴだったら、車で5分の日本人学校でラクだったのにね・・・と息子とブツブツ言いながら、歩く。

20分以上は歩いただろうか。「あった!あった!みつかった、そのビルが!」
すると、多くの高校生や大学生らしき人々がどっとそのビルからでてくる。息子たちが受ける時間の前の受検生たちだ。おそらく、この人たちは、高校までの常用漢字が範囲である2級受検であろう。

そして、ビルのロビーに入ると・・・おびただしい数の親子の軍団がたむろしていた。トイレに入ろうとしたら、こちらも列。学生たちが、答え合わせをしながら、待っている。でも、時間はたっぷりあると思っていて、トイレをすませて、息子たちの待っているロビーへ行くと、上の息子が、「もう入る時間だよ!受検番号で、入る部屋を確認しないと!」と怒られる。あたふたしながら、書かれているボードに行くが、あせっていて、字が目に入らない。下の息子の番号で、部屋を確認しないといけないのに。上の息子がさっさと教えてくれる。よかった、上の息子と下の息子の受ける時間が同じで。

上の息子は、中学までの常用漢字範囲の準2級を受ける。息子にとって、3級とあまり変わらないようで、問題集にさっと目を通す程度で、準備は終わったらしい。上の息子は、試験勉強にこつこつ時間をかけるタイプではなく、直前に集中的にする。そのほうが頭に残るという。まったく、勉強時間が少ない奴。ただ、この次の2級は、かなり勉強しないと受からないと本人が言っているから、少しはやってほしいもの。

その反対に、小学3年生である下の息子は、小学3年生のレベルである8級を受ける。こつこつ問題集をやっていた。毎日はできなかったが、1週間に数日はやっていた。宿題でも漢字をよく書いていたから、3学期前半は、漢字練習をしっかりやったことになる。下の息子は、自分から漢検を受けたいと言い出しただけあって、ちゃんと問題集に取り組んだ。でも、やはり漢字を書くのが好きなんだろう。日本に帰ってくると、日本人学校全日校でたたきこんだもらったおかげで、やはり漢字を書けるということは大きい。

下の息子が指定の教室に入っていく。やはり、小3ぐらいのまだかわいらしい子供たちがほとんどだ。みんな熱心に問題集に取り組んでいる。息子も問題集に目を通している。こういう場所では、まじめにやるんだなあと感心。

さて、待っている間は、どうしよう。待っている親たちの数が多くて、数少ないイスはみんな取られている。結局、じっと壁にもたれて待つしかなかった。8級は、たった40分で終わってしまう。終わる頃に廊下に行ったら、またまたすさまじい数の親たちが、ずらりと並んで待っている。こんなんじゃ、インフルエンザうつされそうだ。空気も悪い。最初に小1ぐらいの小さな子供たちがでてきた。お父さんと息子の会話。「どうだった?」「すごい簡単だった」「そうか!竹は書けたか?」「ウン」「じゃあ、今度は、8級を受けるか?」「ウン」お父さんの方が興奮している。

漢検のホームページを見ると、小3で3級に受かった男の子の顔写真と手記が載っている。このところますます漢検はブームらしい。受験者が2000年は年間158万人だったのが、2007年には、年間272万人にまで膨れ上がっていて、日本漢字能力検定協会は、ニュースで話題になるほどボロもうけ。もうけすぎて、文科省の指導を受けるほどだという。漢字をしっかり書けるようになるために、漢検で実力をチェックしていくというのは、素晴らしいことだと思うが、そんなに先走って、次から次に上の級を受けさせなくてもと思う。1年間、その学年に覚えなければならない漢字をじっくり吸収するのがいいのはないか。勿論、子供たちが挑戦したければいいと思うが。上の息子は、自分でそういう選択をして、無理をせず、1年に1回づつ受けてきた。(中2は、自分でできると思ったので、3級と準2級と受けたが)息子は、各学年ごとに習う漢字を着実に身につけたかったようで、おかげで、小学6年生で5級を受けたときに、200点満点をとり、塾の先生を驚かせた。

下の息子がやっとでてきた。「簡単だったよ!わからない字はなかった」とうれしそうに言った。初めて受けた漢検だ。自信につながるといいな。上の息子は、あと20分かかる。準2級の教室のドアがあくと、どっと社会人や中高年の大人の人たちがでてきた。ほとんどが、そういう人ばかり。最後にやっと中学生や高校生らしき人たちがでてきて、息子の顔が。準2級って、こんなに大人が受けるなんて、知らなかった。去年私の仲良しの友達のハルミさんは、息子が漢検を受けるときに、自分も2級に挑戦して、見事合格している。大人の人たちの間でも漢検ブームなのかもしれない。

高校受験でも漢検をとっていると、点数が追加される学校が多い。漢検のホームページの学校のリストを見ると、3級が一番多く、準2級がちらほら。きっと就職にも有利に働くだろうから、今後ますます受験人口が増えるに違いない。日本語だから、下の息子のように、みんなそんなに苦にならずに勉強に励めるのかもしれない。でも、待っている母は疲れたよ。