Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

漢検、英検、数検・・・そして次は理検ッスか!~歴検もあります

2009-02-18 | 日本の中学校
昨日、中2の上の息子が学校からもらって帰ってきたちらしは、「理検、理科検定のご案内!3級(中学3年終了程度)取ったら履歴書に書き込もう!」という内容で、理科検定のお誘いだった。ちらしによると、「アンケートで希望の多かった級別検定を採用、内容は教科書中心で受験しやすくなりました。理科の復習や到達度の目安、受験に役立ててみませんか?」ときた。

漢検、英検は受験する中学生は多い。小学生だって受けている。この辺の塾では、数検も奨励している。塾で受検準備をして、みんな塾で受けられるようだ。しかし、理検というのもあったとは、知らなかった。日本理科学検定協会が行っている。息子の中学では、4級(中学2年終了程度)と5級(中学1年終了程度)を受けられ、今回は中1、2年生が対象。しかも実施会場は、息子の中学にて、3月13日の放課後となっている。こりゃ便利だ。4級は1800円、5級は1500円でお手ごろ。

息子に聞いたら、即「受けない!興味ない!」との答え。まあ、英検2級の一次試験が終わり、やっと合格し、漢検準2級も終わり、やっとほっとしたところだ。息子としては、春の公式戦に向けていよいよ本格化していく最後の中学の部活との両立が大変だし、もうこれ以上は受けたくないだろう。

先日、埼玉の公立高校の来年度の受験選抜基準が発表になったが、ざっと目を通したとき、理検のことにはあまり触れてなかったような気がする。たしか、埼玉県の公立トップの県立浦和高校は、英検2級、漢検2級をとれば、点数が加算される。(詳しく見てないけど)さすがにトップ校だ。「日本語も英語も両方完璧にやるべし!」との学校側の強い意向がみえる。しかし、帰国子女(全日校出身)なら楽に2級レベルに持ってこれるだろうが、(現地校出身者なら準1級、あるいは1級も楽勝だろう)日本にいながら、どうやって、英検2級レベル(高校卒業レベル)まで持っていくのだろうか?おそらく塾で英検用の受検対策をこつこつやるのだろうが、まったく、近頃の日本の中学生、恐るべしだ!実際、息子の野球部の友達で、息子よりも早く2級に受かっていた男子が近所に1人いる。ウソみたいな話。

それでは、社会はどうなのだろうか?という疑問がわいたので、ネットで調べたら、歴史能力検定(歴検)というのがあった。これこれ、息子が飛びつきそうなの。日本の歴史を人一倍愛する息子にとって、この検定だけは、のがしたくはないだろう。社会のテストが大好きな息子。今回の中学の学年末の定期テストも社会だけは、満点を取ると燃えていた。

シカゴ日本人学校全日校中学部の社会の先生の授業がやたら面白く、歴史好きの息子の心に火をつけてくれたのもある。「あの先生の授業なら、1日中とっていてもあきない!」と大げさに日本の友達に豪語していたほどだ。息子に「関ヶ原」の発表の機会を与えてくれ、さまざまな本をリサーチし、みんなの前で発表したらしい。もっといろんな歴史のイベントを発表したかったらしい。日本人学校の息子のもう1人の歴史大好きな友達、カイト君は、「川中島の戦いの4回戦」だったらしい。去年の運動会の騎馬戦のテーマ「川中島の戦い」だったのだが、この熱血感の社会の先生は、武田信玄の「風林火山」の旗と上杉謙信の「毘沙門天」の旗を徹夜で作り上げたほどの人だ。自分のクラスの教室には、彼の敬愛する吉田松陰の「松下塾」という大きなボードが掲げてあった。

そうそう、それから、文章検定とかいうのも、漢検を受けたときに、同時にあった。ずいぶんいろいろな検定をつくるものだなと感心してしまう。

とついつい話がそれてしまった。最近のニュースでは、日本漢字能力検定協会は、ここ数年の漢字ブームにのっかって、もうけすぎで、マスコミに叩かれている。ついに、文科省の立ち入り調査を受けた。納税で優遇される公益法人なのに、毎年何億円もの利益を挙げてきたのが、検定者たちに還元されていないというわけだ。検定料が値下げされるべきだと新聞に書かれている。漢検は、今や英検を上回る270万人が受検している。

漢検や英検ばやりの背景は、やはり受験や就職に有利ということが大きい。「○○高校受験に○級を取得していれば有利!」との思いが親や子供たちを塾や検定受検へと追い立てる。そして、それが今や小学生にまでおりてきているような気がする。うちのように、帰国子女で、全日校に通っていた子供たちは、漢検も英検も両方そこそこいい級も取り易いだろうが、英語環境の少ない日本で、両方上級をめざす子供たちには、かわいそうな気がする。といっても、漢検や英検を受けない中学生たちも息子の周りにはたくさんいて、受ける子はどんどん上を目指し続け、受けない子はまったくという、ここでも前の投稿で指摘した二極化傾向がある。