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12歳の少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、白血病で余命わずか。
そんな彼女の願いは、大好きな日本のアニメ『魔法少女ユキコ』のコスチュームを着て踊ること。
文学の教師だった父ルイス(ルイス・ベルメホ)は失業中にもかかわらず、
娘の最後の願いをかなえてやろうと、そのコスチュームを手に入れようとする。
ところが調べてみると、それは7千ユーロもする高額商品だった。
金策に奔走したものの、失業中の身ではいかんともしがたく、やむなく高級宝飾店への強盗を決意。
大きな石で店の窓を叩き割ろうとした、まさにその瞬間。空からおう吐物が肩に降ってきた。
それは、精神科医の夫と暮らしながらも心に闇を抱えた女性バルバラ(バルバラ・レニー)が、
大量の薬を酒で流し込んだ結果、気分が悪くなって窓から吐き出したものだった。
逃げようとするルイスを呼び止め、自宅に招き入れるバルバラ。
汚れた服を洗濯すると、バルバラはルイスに抱いてくれるよう求め、2人は関係を持つ。
翌日、ルイスはそのことをネタに、7千ユーロを要求してバルバラを脅迫。
やむなくバルバラは、裏の仕事をしているかつての仲間、アダ(エリザベト・ヘラベルト)の元を訪れると、
豪邸で暮らす車椅子の男の暴行に耐え、7千ユーロを手に入れる。
その金を受け取り、アリシアにコスチュームを買ってやるルイス。
ところが、魔法のステッキが足りないことに気付き、再びバルバラを脅迫。
やむなく、豪邸を再訪するバルバラ。
心身ともに傷を負ったバルバラは、自分と過去に因縁を持つ
刑務所から出たばかりの元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)に救いを求める。
バルバラに会うことを恐れていたダミアンだったが、
自分を“守護天使”と呼ぶ彼女の変わり果てた姿に心を決め、ルイスの尾行を開始。
出会うはずのなかったアリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン。
やがて彼らの運命が交錯し、予想もしなかった悲劇へ向かってゆく……。
(Movie Walkerより)
日本のサブカル愛をこれでもかと注入した本作。
一番目を引いたのはアリシア役のルシア・ポジャンのカワイサ!!
白血病設定なので男の子のようなショートカットヘアだけど、
それがまたすこぶるカワイイ~。
これがスクリーンデビューだそうです。
映画は誰一人幸せじゃないバット・エンド。
『まど☆マギ』が大好きだと豪語している監督。
みんなのために魔女退治をしている魔法少女たちは
その身に負をため込み、おのれ自身が魔女になるという連鎖。
「欲望のつながり」「脅迫の連鎖」
現実の世界では魔法はなく、欲しいものを得ようとすると誰かの幸せが犠牲になる。
もう一人の女性バルバラ。
精神を病んでいる彼女は
たぶん、生まれながらに男を翻弄する要素を持っている女。
この二人はなんの関わりもないのに、
お互いの運命が狂ってしまう程の連鎖の糸が恐ろしい。
彼女には江戸川乱歩の『黒蜥蜴』へのオマージュ的な要素が入っているとか。
映画観た直後はそんなに好きじゃないな~と思ってたのに
時間が経ったらもう一度観たいと思い始めた。
でも、次はWOWOWでいいかな。
白血病を患う少女、その少女の夢を叶えたい父、闇を抱えたバルバラ。
それぞれ辛い悲しみが漂っていて、見ると涙が止まらないかも。
jun-sweetsさんが想像した印象とは真逆の映画です。
全体に漂う不穏な空気、笑いどころかと迷うような展開、バルバラの中のマゾヒズム。
一筋縄ではいかないスペイン映画でしたよ。