テレビのプロ野球中継を定期的に観なくなってもう何年になるだろうか。
贔屓のチームがいないのもあるが去年の楽天優勝決定戦とか
WBCみたいなエポックな時以外それほど観たいと思わせる選手がいなくなってしまった。
衛星放送やBS中継で大リーグの試合を毎日観戦できるのも影響しているに違いない。
ヤンキースというチーム事情があるといってもあのイチローでさえ
スタメンが確約されていないレベルの高さ。
それだけにマー君やダルビッシュの活躍は素晴らしいし、
日本人としても嬉しくなってしまうよね。
話は戻して日本のプロ野球。
子供の頃は巨人V9全盛の時代。
テレビも巨人戦中心だったが毎回わくわくして観ていたのを思い出す。
僕のお目当て、お気に入りは王貞治。
世界のホームラン王だ。
ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄も派手で人気があっただろうが、
何と言っても寡黙に淡々とホームランを量産する王は子供心に
強烈なヒーローとなって残っている。
今とは違ってあの頃のテレビ中継は白黒のバックネット裏から
薄っすらと網目の掛かったものがいつもの風景で、
丁度ピッチャーに正対して審判の背中越しに見る状態ね。
あの頃の王は構えて立っているだけで
いかにもホームランを打ちそうな雰囲気が漂っていたものだ。
そしてそれは現実にホームランとなるのだからそりゃたまらない魅力だったね。
まさに僕のスーパースターだった。
プロ野球の人気が凋落したのは色々な理由があるのだろうけど、
もう今はそんな気にさせる選手がいなくなってしまったのも一因ではないのか。
力のある選手が次々と大リーグに行ってしまっては仕方ない部分もあるだろうが。
僕の住む関西では一番熱心なファンが多いのは阪神タイガースだ。
巨人と並ぶ伝統のある球団だが僕はどうも好きになれない。
特定の応援するチームがないことよりも寧ろアンチタイガースに近いくらいだ。
多少矛盾と誤解を招くかも知れないが王と長嶋の違いと同様に
昔からチームは嫌いでも実力ある選手は応援してきたのだ。
江夏のオールスター9連続三振の時はテレビ画面に釘付け状態、
連続三冠王のバースなんてその打席毎に声援を送っていたものだった。
力と力のぶつかり合いを観たい者からすれば、
ホームラン55本打った後の敬遠ばかりの試合は興ざめ以外何物でもなかった。
多分そんなのに嫌気がさして段々と見なくなっていったように思う。
そうそう話はO氏だった。
昨晩あるパーティに招かれていった式典で主賓席にいたのが彼。
丁度僕の斜め横のテーブル席にいたのです。
現役当時は藤山寛美だとか坂田利夫なんて言われた見た目は別として
選手の育成指導は阪神OBの中では長けていると思う。
オリックスと阪神両方で2軍監督を経験していたのも良かったろう。
プロ野球界ではいわゆる「70人枠」というものが存在する。
これは球団の支配下登録選手の数は70人までしか出来ないのだ。
つまり公式試合に出ることの出来る人数である。
そのうち1軍登録枠が28人なので残りの約40人が2軍選手となるが、
毎年のようにドラフトで5~6名の選手を獲得するとなると
押し出されるように当然同じ数の選手を登録から外さねばならない。
事実上の解雇通告である。
彼らの平均所属年数は約5年。
高卒で23才、大卒で27才の野球一筋の男が突然首切りになる厳しい現実である。
その通告を行うのが2軍監督か担当部長で1軍監督が直接手を下すことはない。
長い人生のまだまだ前途ある若者に対する処遇判断の責任は重い。
強い球団は生え抜きの選手をいかに育てるかにかかっていると彼は言う。
一時期ジャイアンツが金に物を言わせてオール4番バッターばかりと
皮肉られたのは記憶に新しいだろう。
だがたまたまテレビ解説した昨年の巨人・阪神最終戦を見て驚いたそうな。
巨人のスタメンで外国人を除くと生え抜きでなかったのは村田だけ。
かたや阪神は生え抜きは鳥谷一人だけだったのだ。
流石に球団批判は避けたような話だったが
今の阪神は巨人が過去に犯した過ちを後追いしていると
解釈出来たのは僕だけだろうか。
大リーグで使いものにならなかった福留、西岡を高額で獲得したのも
結果論でなくおおいに疑問が残るようだ。
他球団に売り込んだのを断られていた事実を阪神がどこまで判っていたのか。
それだけの金額があればもっと別に戦力補強すべきではないのかなんて言ってたね。
またO氏から見て日本のプロ野球界を担うであろう有望な若手選手はいるのかと聞けば、
一人だけいると返答したのも明快だった。
残念ながらタイガースでもなければセリーグの選手でもない。
それはソフトバンクホークスの柳田 悠岐という名の選手だ。
僕は知らなかったが既に今年は今日現在で打率2位、ホームランも8本と
頭角を現しているので先見の明とまでは思えないが、
敢えて心配すれば大ブレイクするきっかけを掴む運と怪我だけらしい。
更に大化けすると断言すると言っていたので注目して見てみようか。
そんな感じで結構良い話は聞けたように思う。
ついでにサインボールまでもらって良い事ずくめみたいなんだけど、
最後に一言、言わねばなるまい。
O氏の性格がとにかく陰気、暗いのだ。
これは致命的とも思えるな。
2軍監督やコーチならそれも良いかも知れない。
でもプロ野球が人気商売で成り立っているのを忘れてないかい?
今年GMとして返り咲いた落合は監督在任の6年間で
優勝3回、2位3回の実績でも首になったのを知らないはずはないだろう。
選手時代から好きだった落合は浪人時代に話を聞いたことがあったが
一般に報道されているような我儘な「俺流」みたいな男ではなく
彼ほどそれとはかけ離れた常識的な人物はいないと断言できるけどね。
裏を返せばそれだけ球界が非常識人ばかりということになる。
Oさん、一切の関係やしがらみのない僕だけどプロ野球ファンの一人と思えれば
もっと違う接し方がなかったろうか。
べんちゃらや愛想を振りまくという意味じゃなくて、
もっとプロ野球が楽しくなるような見たいと思わせる話がないのが辛いね。
球界関係者がそうならプロ野球人気が戻ることはないと思うよ。
弱ければ論外だけど単に強けりゃ良いのかというのも違うのは落合を例に出すまでもなく
十分に判っていることでしょうが。
最後の写真はかなり上機嫌だったと思われる時に撮ったものだけど
後から見てやはりこの程度と思うとね・・・。
まさかと思うけど出がけに嫁はんとケンカしたとか体調不良じゃないでしょうな。
この先、阪神の監督として戻れるのかどうかは色々な条件もあるだろうけど、
折角良い指導力を持っているのに残念に思うなあ・・・。
O氏がこれを目にすることはないだろうし、アンチファンな僕なのだけど
彼が復帰して手腕を発揮するのを案外期待しているのかも知れない。
阪神が強くなけりゃ張り合いも出ないじゃないの。
頑張ってちょうだいね!