またまたラマダン期がやってきた。
宗教にはまったく関係ない、それどころか(一応そうなっている形の)敬虔でもない
仏教徒としても無意味な我が家だけで通用する食養生期間のことである。
本人にとってはかなり真面目な心構えでいることなのをイスラムの儀式に譬えただけなのね。
毎年この時期、多少の前後はあっても5月半ばになると年に一度成人病検診なるものがやってくる。
生活習慣病などから来る自分の体調状態を知り健康を維持管理する為に
正しい知識、場合によっては適切な処方を仰ぐのが本来目的である。
全身成人病に該当しまくりの僕の場合はテスト前の一夜漬け学生よろしく、
精々その数値を多少ましにする為の行事と言っても差し支えないだろう。
職場の事務員にもからかわれるくらいだから、異論、反論もあることは承知の上である。
大半の意見は直前になって対処療法などせずに普段通り暮らしている方が
本当に正確で客観的データが得られるのではないかというものなのだ。
笑いたけりゃ笑うが良いが誰もが肝心な本質を忘れた意見と思わざるを得ないね。
まず試験勉強に例えるなら本来毎日コツコツ勉強するような勤勉な者は理想なのだろうけど、
タチの悪い(?)ことにそいつらは当然前日も勉強しているわけで
僕を含めたかなりの連中は日頃の怠慢を何とか効率良く取り戻せないのかと足掻く訳で、
開き直って遊びまくるようなのが最もペケじゃないのと思うワケさ。
ところが成人病検診の場合は出る試験問題、答えが事前に判っているようなものである。
そうなら予習なり復習なりするのは至極当然であろう。
僕にしてみりゃ日頃あそこが悪い、ここが悪いと言いながら
有効な手立てをしてない奴等こそ馬さん鹿さんじゃないのと思うけどね。
近い未来の悪いデータを予測して待つのと
事前に予見して回避するように対策するのとどちらが正しいのでしょうかって事。
まあ尤もらしく理由づけするよりは「年に一度の体のリセット」なだけですわ。
半世紀以上も酷使してくりゃ傷みもそれなりにあるさ。
機械のメンテナンスと同様に部品の交換は難しくても
駆動部に油を差すとかボルトの増締めしたりは必要なんじゃないのかな?
そう考えるようになったキッカケは40過ぎてからのツーフーでした。
風が吹くだけでも溜まらんって例のやつです。
尿酸の結晶が血液中に引っ掛かって炎症を起こす為にそうなるのです。
足がパンパンに腫れて1か月近く歩くのに支障をきたしたのも辛かったけど、
それが遺伝や体質の先天的要因が7、8割で
贅沢病と言われる食事などの後天的原因が2、3割なのを初めて知り、
近所の町医者の見立てでは尿酸値を下げる為に薬を飲み続けなければならない
と診断されたのはちょっぴりショックだった。
根本的治癒が難しいとはいっても当時の僕はご馳走を毎日食べていたのではないものの、
脂っこい物や酒も好きなだけ飲み食いしていたのは間違いなく、
なるたけ現実直視しないようにしていても世間的には立派なメタボおじさんでした。
今更この歳になって改めて嫁をもらうとか彼女を作る為に見た目を気にする必要もないし、
最低限の清潔感さえあれば業務にも影響ないと高をくくっていた僕でも、
直接自分の身に降りかかる火の粉を払うには残り2割でも対策するしかなかったのでした。
野菜を中心とする、いや僕にすれば殆どウサギの餌じゃないかと見間違うメニューを
ある日家内が近所から仕入れてきたのです。
聞けば某国立病院の病院食メニューらしく日常生活に最低限必要なカロリーは確保されているらしいのと、
強制ではないので嫌になったり合わないと思えばいつ止めても良いという触れ込みでした。
お米もないし、好きだったビールは痛風の大敵でそれ以外のアルコール類もご法度です。
当時の足の痛みと不自由さに悩んでいた僕にとって選択の余地があるはずもなく
一も二もなく飛びつくしかなかったのです。
1クール2週間、これが何とか体質改善される効果の出る最低日数らしく、
せめて2週間は我慢、辛抱と覚悟して臨んだのですが意外や意外。
人間の体というのは本当に不思議、1週間も経たない頃から急速に体重が落ちていったのです。
多い日で1キロ以上、少なくても何百グラムかは確実に減っていきました。
こうなると現金なもので体重計に毎日乗るのが楽しくなるくらい。
テレビゲームしているように目に見えて減るのが面白かったね。
結局そのまんまメニュー通りの食事は2クールくらいだったと思うけど
野菜中心と禁酒生活を続けていると最初の1か月で8キロ減、3ヶ月で12~13キロ体重が減りました。
勿論体重だけでなくウエストや肩幅も大きく変わるし、足のサイズまで1センチ縮んじゃいました。
特にズボンは全て買い直しでしたね。
流石に一張羅の背広は勿体なくてウエスト詰をしましたが9センチ
(12センチ希望)までしか出来ませんでしたがストレート系のスラックスが
まるでラッパの吹き流しみたいになっちゃいました(笑)。
鯉のぼりやないってのマッタク。
他にも周りからは過度なダイエットをしているのではとか
他の悪い病気に罹ったのではなんて心配されたり結構言われましたね。
その間も二週間ごとに医者に通う必要がありました。
薬が一度にその分量しか出してくれないからなの。
一生薬を飲み続けなければならない苦痛と定期的に採取していた血液検査で
尿酸値は正常値に戻っている疑問から意を決して聞いてみたものの
「そりゃあんた、薬を飲んでいるから下がっているのやないの。」と言われる始末だ。
また痩せたお蔭で血圧や肝臓のなども標準のど真ん中ストライクの値を示していた。
半年くらいした頃だったか禁酒も続けていたし
体重も当初の勢いは落ち着いてきたものの15キロ減になっていました。
そろそろ酒は解禁だろうが、どうせなら医者からお墨付きいただくとしよう。
ボサボサ白髪のこのセンセ、見るからにとても気の良い雰囲気で話もざっくばらんな爺ちゃんで、
どう見ても酒も好きそうな呑兵衛タイプなのに僕に言うのはえらく慎重。
医 「キミに飲酒の許可を出すと浴びるくらいに飲むのと違うか?」
僕 「アホな事を言わんといて。痛風だけで食養生してここまで痩せる者がどれくらいおりまんの。」
てなやり取りで節度ある飲酒ならばと渋々許可をもらったのでした。
結局それから数年後そこのクリニックとは縁が切れました。
センセと喧嘩したのでも流行のセカンドオピニョンでもないですよ。
薬を飲むのを止めたのです。
尿酸値もギリギリですが正常値内に収まってます。
肥満は病気とはよく言い表したもので僕の場合痩せると殆どの数値はクリアとなります。
ビールちゃんとはあれから別れてしまったけど今は焼酎嬢と相思相愛の仲なんだ。
医者は自身の生活はあるだろうけど患者といち早く縁が切れるのが本来の務めだというのが僕の持論。
痔と同様に元来それが致死の直接原因にならない痛風程度で
一生薬を飲み続けて医者と製薬会社の上客になるのは本末転倒でしょうってこと。
患者側の責任も当然あるよね。
頓服さえ飲めば炎症が治まるからこそ完治しない、いやさせない罹患者が大半じゃないだろうか。
自分の意志でDNAは変えられないけど発症はある程度抑えられるのだから。
40代とは基礎代謝が違ってそうそう減量にはならなくなったけど、
成人病とはこれからも末永くお付き合いするのに仲良くしていくしかないね。
こんな風に毎年今の時期に思うのが恒例になってしまってるのが問題といえば問題だろうね。
ゴルファーが18番グリーンに上がってきた時に次回までに練習してこようと思うのと同じかな ?
で結局また練習不足で後悔を繰り返す気持ちって判るだろうか?(実はこれも僕のことなのだが)
「腹八分目」とか「常に健康と体重には気をつける」なんて言葉は知っていても
煩悩のある者としては難しいものです・・・。
最後に言い訳を。
昔から言うでしょ「旨い物は体に悪い」ってね。
あ~新鮮な刺身で一杯やりてえな~っ!!!