車好きオヤジのブログ

車好きオヤジのブログです

ガネエツ様

2020-07-21 12:01:07 | 日常


先日文響社より新刊された「夢をかなえるゾウ4」水野敬也著を読んでみた。
タイトルから判る通りシリーズ物で既に刊行された前3作は非常に売れ、
累計販売400万部の大ヒット作品である。
ドラマ化されたりしてご存じの方も多いだろう。

実は1作目を読んだのはそのドラマ化されてかなり時間が経った後だったのもあり、
テレビを殆ど観ないのもあって流行には非常に疎い私である。
アマゾンから届いた箱を開封した際に一瞥した妻から
「その本やったらうちにあるよ、随分前になるから何処に置いてるか判らんけど。」
なんて言われる始末。
だが実際読んでみればそれが面白いだけでなくタメになるのも実感し、
続けて2作目、3作目も購入すればやはり良書であるとの認識を確信したのだった。

知らない者に簡単に説明するとこのゾウとはガネーシャと呼ばれるインド仏教の
神様が象の化身でごく普通の一般(日本)人に対して悩みの解決や願望を叶える為、
様々な課題を与えてそれを達成することで主人公の願望が叶うという筋書きだ。

何故か関西弁で話すガネーシャに親近感を持つのもあるが非常に良くできた、
いや全く凄いと感心する物語でもある。
売れるはずと得心するがこれを読んで実践して叶えた知人は周囲には見当たらない。


第13話 「ETSUKO2」

 久々に江津子からライン着信が正博にあったのは梓と痛飲した翌日だった。
『来週空いてる?』

このパターンは食事のお誘いに違いない。
春に孫が出来て三重にしばらく行ったきりだった江津子だったが、
コロナ騒動のせいで逆に生まれて間もない抵抗力のない赤ん坊に
万が一自分がコロナに罹患させてはならないと2ケ月程度で戻ってからも
好きな酒や食事も専ら自宅で我慢する日々を送っているとは聞いていた。

当然仲良しの江津子ならノータイムでOKと行きたいところだったが
最近は一度外で飲み食いすると眠気や体力が回復に2、3日は掛かる。

「返答を数日待ってくれるかな。もし先に用事が入れば
そちらを優先してもらって結構なので。」と返すと

『じゃあもうイイよ。今回は無しにしとこ。』と即返答があった。
こりゃイラチな正博を遥かに上回る短気だわ。

コロナ禍のせいで飲食業界は想像できないくらいに疲弊し、
何とか微力でも協力してあげたいと思っているが、
知り合いの店すべてに行くには経済的、時間的、体力的にも難しく、
誰かときっかけがなければわざわざ足を向けるのも面倒くさい。
特に食欲が落ちてきてからは食事に行くのが億劫なのだ。

江津子は見た目は恰幅の良い目鼻立ちのくっきりした美人だが
旦那も子も孫もいる女性である。
特筆すべきはその人間観察眼にあり、その考察は正博も唸るほどだった。

世間的にはW不倫と思われるようなシチュエーションだろうが、
笑いながら「ありえん話やけどもし鈴木さんが私の前でパンツ下ろすことが
あったとしたら私を嫁にもらう覚悟が出来た時やろうなあ。」
と言われたことがあるがそれは地球が破滅するとしても無理な条件である。

負けずとこちらも「えッちゃんは魅力的な女性やとは思ってるで。
だけど俺からすれば野生の猛獣、檻の外から餌を投げ入れることはあっても、
絶対に中に入って直接渡す勇気なんかないからね。
まかり間違っても餌付けしようなんてムリッ!自殺願望もないし。」と返したものだ。

正博からすれば恋愛感情の対象異性というよりは、
同性と言う目線からの鋭い女性観なんて話が非常に参考になり、
知り合った女性の相談や助言を受けることもしばしばだった。

当然昨夜の梓についても事前にラインや電話で話をしていた訳で、
ある意味親友の男性以上に厳しくもあるが的確な意見をもらっていた。

どう助言されたかって?
もうボロカス。

『何を考えてるか知らんけど飲み屋のママでもホステスでも
水商売やってる者でまともな人間なんてまあそうおらんからそう思とき。
ましてや寿司屋の喫煙所で知り合ってホイホイと出ていくなんて最低やん、
信じられんわ!』

ここはグッと言いたいことを抑えて聞くだけ聞いておくに限る。
梓は飲み屋で過去にアルバイトした経験はあるが今は昼間の仕事をしてるし、
逆に江津子と知り合ったのは近所のスナックだったのはどうよって思うよな。
但し直接会話するまで数年間互いに様子見の期間があったのは確かだが。

相手にそういう関係さえ望まなければ危険度が低いのは当然。
但し酔っぱらった状態となればどこまで正常な感覚が維持できるかと
問われれば彼女達ほど強くない正博には断言できる自信は無かった。

『先に言うといたるけど自分なあ※都合の良い事ばかり考えてるやろ?
そんな相手なんてそこらで簡単に見つかるかいな。』

※自分とは発言した己自身を指すのではなく相手に対して向けた表現で
「あなた」、「君」、「お前」等と同義である。
冒頭のガネーシャは関西弁で専らこういう言い方で発言するのである。

「ガネ江津様、よく判りました。
まだまだ精進が足りませんが見捨てずご指導お願いします。」

『自分、判ったんならもうええわ。ちゃんと言うたこと守らなあかんで。』

とか言いながら次回は何処かの居酒屋でビールジョッキ片手に焼き鳥食いながら
腹を擦ってこんなセリフで言われてる情景が目に浮かぶ・・・。



(おわり)

うち敬語は苦手やねん

2020-07-18 17:30:00 | 日常
今回も纏めきれず長くなってしまった。
という訳で前振りなしに話は始まる。




第12話 『ADUSAⅡ』


関西弁なのかどうかは判らない。
少なくとも私の感覚では自分のことを「うち」と呼ぶのは
関西地区のそれも庶民的感覚の女性のごく一部からしか聞いた記憶がない。

元々「内」、「家」で自分の自宅や家庭などを指すことは
江利チエミの歌でヒットした「Come On A My House(邦題 家へおいでよ)」の
歌詞で「家(うち)へおいでよ、私のお家にあなたにあげましょキャンディ~♪」とか
あったくらいだから少なくとも東京(全国)でも十分に通じる語句だっただろう。

自分個人を指す意味で使った例なら漫才のかしまし娘が舞台の冒頭で
「うちら陽気なかしまし娘~♪」と歌っていたのは覚えている者も多いはずだ。
尚且つこの場合は「ら」と複数形で用いられている。

何度かのお笑いブームもあり全国的に関西弁が認知されるようになったのは
地元民としては良い事だと思う反面、
どうも関西人は誰もが漫才師のようなタイプで会話にボケ、ツッコミがあり
終わりには必ずオチをつけると思われているのは誤解である。
メディアで使っているのを近年見かけたのは歌手の倖田來未の実妹
Misono程度しか知らない。
彼女が関西女性の代表と思ってもらうのは個人的には非常に心苦しいのだが。

いずれにせよそれが本人にとって自然に使い慣れた言葉であれば
沖縄だろうが北海道だろうがこちらに理解できる範囲でさえすりゃ
方言には全く頓着はしない正博だった。

お互い初対面に近い形で最寄りの私鉄駅改札出口で待ち合わせしたものの、
勿論会えば思い出す自信はあったものの正直何となくしか顔を覚えてない。
それはおそらく向こうも同じだったろう。

コロナ禍のせいで駅周辺を往来する者のほとんどがマスク着用していると
なればその識別は更に厳しい条件となっていた。

慌てることを避けるには早めに行っておかねばと定刻10分前に
その場に着けばマスクの上の両目をキョロキョロさせている女性がいた。
視線が合って互いにおそるおそる認知することが出来た。

「こんばんは。」
『こんばんは、今日はホントに来てくれたんですね。』



そこからタクシーで約5分の日本料理の店Kに到着して
最初に梓から出たのがタイトルのセリフだった。
予約していたのでカウンター奥の2席が用意されている。

「結構、結構。無理して敬語なんて使う必要なんてないがな。」
『良かった~。』

変に堅苦しくカッコつけないのが良いのはこちらも同感である。
マスクを外した顔は前回とは違って薄化粧も施されなかなかの美人だ。
今夜は楽しいひと時を過ごせそうな予感もするぞ。

特に食べ物に好き嫌いはないと聞いていたが寿司屋に来ていたことを考えると
普通に和食が良かろうと思って和食の店Kを選んでおいた。
ここは5年ほど前に住宅街の自宅一階を改装し新規オープンした店で
開店当初は若い夫婦二人でやっていたが隠れ家的な雰囲気と
ネットでのグルメ情報紹介等にも取り上げられて人気も上々で
昨年増築しカウンター席の奥に4人掛けテーブル3卓も増設された。

今では従業員が3名増えたが奥方は店に出なくなっている。
コロナの影響も自己所有の店舗だったのと持ち帰り仕出し弁当で乗り切ったようだ。
料理の味や品数等はまずまずだが唯一の難点は調理するのが若大将一人な為、
出来上がりまでの時間が掛かることだろうか。
特にご飯系は研いだ米を炊くところから始める拘りがあり45分~1時間かかる。



取り敢えず乾杯の前に刺身の盛り合わせを大将に注文しておくか。
好きな酒を勧めると日本酒、それも熱燗ときた。
酒好きと言っていたのも頷ける。
正博の方は毎度の麦の水割りで乾杯となった。

その後、馬刺し盛り合わせに続いて梓は焼鶏を朴葉(ほうば)味噌で
包んだ物と湯豆腐、正博は鰯の丸干し、ホタルイカ、エイヒレを
自分で網焼きする物と次々注文する。



驚いたのは予想した以上に梓が酒が強い女だったこと。
最初の熱燗(2合)は2本目も既になくなり、
いつのまにか3本目になっているのにほんのり顔が赤い程度で
それ以外は全く変わらないのである。

「酒、強いねえ。」
『うん、でも今日は初対面だし気を遣ってセーブしてる方なんよ。』
「えっ、それでセーブしてるの?飲みすぎと違うの?」

女好きを自認する正博でも酔わせてどうこうみたいな
今となっては古典的な駆け引きは眼中にない、
いや弱くなった自覚のある身としてはカッコ悪い酔い方を
しないように努めるのが必死というのが精一杯のところだった。

相手が水商売系の女性なら敢えてある程度隙を見せておいて
その実は堅い身持ち、要は顧客獲得の一つの方法として
相手された経験は何度もあった正博だが容赦ないズケズケ感、
裏を返せばストレートな正直さは
タイプは全く違うものの江津子に近い魅力を感じるようになっていた。
共通するのはそんじょそこらの男が太刀打ちできなくらい酒が強いことか。

問わず語りに子供の頃大怪我をしたことやバツイチで娘二人を引き取って
育てている事などこちらから聞けないようなこともあっけらかんと
笑って言うがやはりそれなりに苦労はあっただろう。
年齢も『今、41なんやけどもうすぐ誕生日が来るから42になるねん。』と言う。

ある程度食べ終えた時に次に行く店も事前に梓が決めていた。
梓が以前勤めていたスナックDもここからタクシーで5分の場所にあった。

そこはカウンターだけで8人座ればもう満員となるような店だった。
事前に二人の席は一番奥に用意されていたがもう常連らしき客が既に4人いた。

皆誰もが梓の知り合いで奥側に座った正博は一人だけ借りてきた猫状態。
親しい知人たち(客)に囲まれてはしゃぐ梓だがどう見えてもかなり酔っている。
弾けたように踊りながら歌う姿はちょっと大丈夫かと思えるほどだった。

もう先に帰ろうと勘定済ませてタクシーを呼んでもらったが、
ママからも促されて結局俺のタクシーに同乗する形で送って帰ったのだった。
確かに浴びるほど酒を飲んで酩酊しているように見える梓だが、
その時々に垣間見える雰囲気は何か酔いきれない部分があるように思えた。

ひょっとすれば酒の力を借りなければ心に鬱積したものが治まらないような何か。
だがそれに気づいたとして触れたり覗いたりするのもパンドラの箱、
決して見てはならない鶴の恩返しみたいに躊躇われた。

嫁や娘ならいざ知らず、彼女にしようと浮気心を出して
兄弟デュオの狩人デビュー曲なんてのもややこしいだけだ。
楽しく食べて飲んでのひと時が過ごせればそれで良いのだから。
梓とはどうなるか判らないが取り敢えず今回はこれくらいで満足しておくとしよう。

(一旦おわり)

爆弾ねえ?

2020-07-12 08:45:53 | 日常


コロナは一時期に比べて鎮静化されてきたものの、
世間の景気というか街中ではまだまだ閉塞感のある日が続いている。

5月末に承認したいと発言してたアベちゃんどないなってまんの?
アビガンはさ。
まあこのままダラダラと引き延ばして7月末にもされないだろうけど、
ワクチン製造メーカーを始めとする関係者への思惑も見え見えながら
罹患しても重篤にならず簡単に治るのなら
ワクチンなんてそれほど必要ないのにねえ・・・?

などと私個人がぼやいたところで決して本人に声が届くことはまずない
仕方のない話である。

今朝の日経裏一面の「文化」欄に女性直木賞作家の井上荒野(いのうえあれの)
のエッセイが載っていた。

日常文学賞の選考委員を務めているプロの立場で『みんなが知っていることを
どれだけ上手に書いたところでつまらない』とか『既視感がある』などと
批評しているのに何故か韓流ドラマにはまってしまうと書いてあった。

彼女の結論、それは「物語爆弾」という人なら誰もが持っている
生まれ育った環境の中で見聞きした童話、漫画、小説、ドラマ、映画など
それに感心や感動した体験や記憶が知らず知らずに自分の体内に仕込まれ、
その起爆を韓流ドラマが起こすという訳である。

最後の締めくくりに『それにしても書く場合は退屈なのに、
観る場合はどうしてどうして退屈しないのかなあ、と不思議に思っている。』

申し訳ないが既に作家としての旬を過ぎてしまい、
新たな創作能力が欠乏してきたのか
生活の糧、食っていく為としてこの仕事を受けたのかと
思わざるを得ない締めくくりが非常に残念というか
「何や知らんけどアホくさい」印象が残ったエッセイだった。

要は論点ずらしというか彼女にとって書くのは仕事、観る場合は一般視聴者である。
せめて「書くのは」部分を「読むのは」にしなければ比較にもならんではないか。

やみつきになると冷静になれなくなるのは名を馳せた作家とて
我々一般人と同じという事なのかねえ?

素直に考えてテレビや映画というのは自分自身が想像や思考をしなくても
一方的に情報を与えられるからというだけの話だと思うけどね。

登場人物や風景を始め全てのキャストや筋書きも受け手の都合に関係なく
流されるのは単純に非常に楽チンだからじゃないのかなあ。

最近はロードショー上映に合わせて原作本も出版されることが多く、
書店の店頭に平積みされた本に巻かれた帯にその写真が添えられているけど、
私の場合出来る限りそれを見ないようにしているのだ。

文字の場合「絶世の美女が・・・」と書かれていても吉永小百合なのか
栗原小巻なのか桐谷美玲なのか北川景子でも己の彼女や嫁でも何でもありに
出来ることが最大の違いだろう。

小説などの娯楽物に限らず専門書とか一般教養の書かれたものにでも
これは全て通じるからこそ昔から「本を読め」とか「為になる」とか
言われてきたのではないだろうか。

とアップするネタと気力の無いオヤジでありました。

甘いか酸いかしょっぱいか?

2020-07-04 14:22:44 | 日常


今日は単なる「宣伝記事」なのを最初にお断り。

お友達のドラマーのテルちゃん(高阪照雄)から連絡があり、
同じく親しくしているベースのシゲさん(大森成彦)と組んでいるバンドの一つ、
「ブラックキャンディ」が20年ぶりに新譜を発売したという話。



ジャズ・フュージョン系のバンドで4人構成。
残りの2人はサックスの里村稔とキーボードの佐伯準一となっている。

日頃はそれぞれバラバラに主に関西を中心に活動をしているプロ集団である。
勿論プレーヤーとしての腕前はお墨付きであらゆるジャンルの演奏をしているが、
個人的には彼らにとっては一番の思い入れのあるバンドのような気がする。



佐伯さんの生演奏も何度も聴いているが演奏と同様に落ち着いた
優しい雰囲気は歌劇で有名な音楽学校でピアノのセンセイを
していると聞けばそれも十分頷けることである。
多くの綺麗な女性に囲まれているとそうなるのかも知れないと思うのは
私自身の妄想ではあるのだが・・・。

里村氏については直接の面識はないが彼も長年あちこちで活動をしており、
他の3人と組んでいる時点でそのパフォーマンスも判るというものだ。

彼らの魅力は何といっても生、ライブ演奏で聴くのが良いと私は思う。
スタジオミュージシャンを否定する気はないがCDとかレコードと
リアルなパフォーマンスとギャップがあるミュージシャンがいるのも事実だろう。



彼らについては嬉しい誤算というのかアルバムを聞いた上で、
更にその上を行く熱い息吹というか臨場感のある演奏なのは流石である。
関西地区在住の者ならライブに一度行ってみるのをお勧めしたい。

おっとアルバムの話だった。
私自身は数量限定で入手困難なファーストアルバムも既に持っていて
聴いてすぐに好きになってしまった程に納得の1枚だっただけに
弥が上にも待望の2枚目になる。
それも全てメンバー持ち寄りによるオリジナル曲ばかり全12曲。
時間もほぼ60分とビッシリと詰まっています。


今回もおそらく手作りに近い仕上がりとなっているように思う。
アルバムのジャケットの内外に描かれているイラスト類は
シゲさんの手によるものなのにも少々驚いた。
寡黙なベースマンにはこんな才能があったとは思いもよらなかった。



楽器のせいだとは断言できないが私の知っているベース奏者は
揃いも揃って皆さん静かに縁の下で支えるようなタイプなのは何故だろうか?

これ以上の能書きは必要もないだろう。
後はCDを聴いてもらうしかない。

全編は購入いただいてからとしてホンの触りだけテルちゃんの演奏を。
https://www.facebook.com/orute/videos/3316044351794412/

興味があって近くの店で取り寄せ出来ない方は一報くだされば
直送手配の協力はさせていただきます。
代金は2500円(税別)。

では皆さんよろしゅうに~。