お箸*5 箸に始まり、箸に終わる。

2016-03-05 | お箸の世界
 「お箸」と聞けば、お食事のときに使う 「手元箸」 を思い浮かべますが、

日本には、他にも「箸」と名の付くものがあります。


 まずは 「菜箸」

鍋やフライパンに入れた材料を混ぜたり、器に盛り付けたりする際に使います。

手元箸に比べて長さが約2倍もある理由は、

熱湯や油、火でヤケドをしないように、少し離れることで を守るためと、

立った姿勢で器に盛り付ける時に、長い方が便利であるためと思われます。

「箸づかい」を学ぶ場で、小さなお豆さんをお皿に移すゲームのような訓練があります。

たしかに箸先での細かい作業も必要ですが、大きな材料を持つためにお箸を開くことが出来、

重さのある材料を持ち上げた時に箸先まで力が伝わるという、安定した持ち方も大切です。

最近の菜箸は箸先に何本も溝が入っていて、食べ物が滑り落ちにくいよう加工されていますが、

長い菜箸を使いこなすためには、正しい持ち方が必須です。


 次に 「火箸」

暮らしの中に囲炉裏や火鉢があり、薪や炭が必需品であった時代、火箸はどこの家にもありました。

いまでは茶道でお湯を沸かす際、炭を組むために使う場面くらいしか思い出せないのですが、

炭が弾ける音を聞きながら、古民家の炉端でお食事をしてみたい私は「旅の宿」世代です


 そして 「取り箸」

皆でお鍋を囲む時、自分用のお箸を使う「直箸(じかばし)」を気にする人が多くいます。

それならばと、自分のお箸を上下持ち替えて使う人もいますが、

衛生面では、 で触った部分をお鍋に入れる「逆さ箸(さかさばし)」の方が でしょうか。

私の場合、「直箸」は相手によって不快だったり、平気だったり、嬉しかったり

相手との心の親疎を垣間見る瞬間でもあります。

誰かがお鍋をかき混ぜてしまう前に、お店の方に取り箸か、せめて割り箸を頼みたいものです。

皆が見ている前で取り箸を扱う時、箸づかいが美しい人は素敵です



 生後百日に祝う「お食い初め」に始まり、日々の生活でさまざまな役割を果たしてくれるお箸たち。

そして最期の時のお骨上げまで、お箸は私たちの人生に寄り添ってくれているのですね。


お読みくださいまして、ありがとうございます
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