お箸*6 中国のお箸とレンゲ

2016-03-12 | お箸の世界
 札幌で育った私にとって、ラーメン屋さんは物心ついた頃から身近なものでしたが、

円卓を囲むような中国料理のお店に入るようになったのは、社会人になってから。

羽田空港 旧ターミナル 3階の奥にあった「彩鳳(さいほう)」というお店でした。

今でも、国内線 第1旅客ターミナル地下1階のフードコートで食べられるようですし、

名物の「ジャンボ焼売」は、第2旅客ターミナル2階の出発ロビーでも購入できますが、

当時は大きな窓から の離着陸が一望できる、お味も眺めも良い中国料理店。

ランチタイムの喧騒が去った夕暮れ時には、落ち着いた雰囲気に包まれたものです。

 「彩鳳」で昼時の割り箸に代わって出されたのが、象牙色で太さがほぼ均一の長いお箸

その後、北京や上海、香港で本場の中国料理をいただく機会に恵まれましたが、

いずれも長いお箸を用いて大皿から自分の分を取り分ける、いわゆる「直箸(じかばし)」。

中国には「取り箸」に該当するお箸も、その習慣もなかったように記憶しています。

さらに自分のお箸で取ったお料理を、こちらの取り皿にまで入れてくださることがあり、

目上の方、立場が上の方からしていただくと、恐縮するやら、ありがたい・・・やら

これは親愛の情を表すもので、日本でいうところの「返盃」や「お流れ頂戴」でしょうか

お箸が長いのは、他の人のお皿まで手を伸ばす時に便利なためと思われます。

もっとも最近は、ご存知のように感染症が次々と流行しており、減少傾向にあるようです。


 中国料理でお箸と一緒に使うのは 「レンゲ」。

散った蓮華の花びらに形が似ているため、「散蓮華」とも呼ばれています。

持ち方は洋食のスプーンとは違い、柄のくぼみに人差し指を沿わせて、親指と中指で支えます


     
     奥は中国のレンゲ 日本の物より少し小さめです。
     手前は日本のレンゲ  の中に滑り落ちないよう工夫されています。


 ご飯、麺類、おかずには お箸を用い、柔らかいお料理や汁物はレンゲでいただきます。

大皿に盛った炒飯を皆で取り分ける際には、お皿ではなくお茶碗に入れますが、

パラパラしたご飯ですので、お茶碗に口をつけてかき込むような食べ方をします。

お茶漬けさらさらのイメージと言えば、日本と似ているように思えますが、

手で持ち上げても構わない器は、お茶碗のみ。

取り皿が手のひらに載るサイズであっても、テーブルに置いたままいただきます。

この点が、日本とは決定的に異なるマナーでしょう。

お国柄によって、似てもいれば違いもある。 そんな器と扱い方に興味を覚えます。


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