つれづれに

きままに書きます。
どうぞよろしく。

「おくりびと」をみて。

2008年10月26日 | Weblog
 随分前から見に行こうと誘われていたのですが。
昨年10月、母を亡くしたばかり、私は化学治療中。少し躊躇するところがありました。

でも誰に聞いても「いい映画よ」と言われます。私も少し元気が出てきたので、行くことにしました。
それが上映最終日で、滑り込みセーフでした。

何からお話すればいいのでしょう。それ程、感じたことは沢山ありました。

納棺師という職業があるとはじめて知りました。
父を送り、夫を送り そして母を送りながらです。
親族が共に住む故郷であるような地域にこそ存在しているのでしょうか。

この職業は、基本的にはみっともない、やめて欲しい仕事として見られていました。
でも実際に肉親や知り合いがおくりびとによって送られていく時、皆考えが変わっていきます。
それは人生の最後を、その人らしく表現されて送られるのを目の当たりにみて、深く感じるところがあるからです。

石を通してよみがえる父に捨てられた主人公と父のつながり、
子を捨ててしまった一人住まいの女性の思い、
主人公と妻との仕事をめぐる諍い、
それらを通して問いかけられる人のつながりの大切さや、切ない思いのあり様。

映画を見ながら、何年か言葉を交わすことも出来ずに逝ってしまった母のことを思いました。
おくりびとを見ていたら、もっともっと心をこめた式に出来たのにと・・・。

もう一つ、とても印象的だったのは、納棺師の所作の美しさです。
遺族に決して亡くなった人の身体を見せないようにするのだそうですが、
するりと体から浴衣などをとる見事な美しさは、本当かしらと思うほどでした。