Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

スプラッターで笑いたい

2012-08-05 00:15:00 | コラム
感覚としては分かるのだが、

「夏は怪談で涼しく、、、」

といわれても、怪談を聞いたり観たりして実際に涼しくなったことはない。

たぶん「ゾッとする」「背筋が凍る」などの表現から生まれたものなのだろう、
だから風鈴や金魚売り、祭りなどとともに「夏の風物詩」といわれることに違和感は抱かないけれども。


ほんとうに恐ろしいのは生身の人間のほうだ・・・ということを実感して以降、
ホラー映画を本気で怖がる―という体験はなかなか出来なくなってしまった。

本気で怖がっていた少年時代が懐かしい。
『エクソシスト』(73)は夜も眠れなくなったほどであるし、コミカルな味つけで人気を博した『フライトナイト』(85…しかしリメイクは、「くそ」のつくつまらなさだった)にいたっては、劇場から逃げ出す始末だった。


愛嬌たっぷりのB級ホラー『ムカデ人間』(2009)が面白かったので、その続編『ムカデ人間2』(2011)を観に行った。

「前作がロックなら今作はヘヴィメタ」と評したひとが居たが、まさにそのとおり。

血と汗と精液と汚物でスクリーンが埋め尽くされる、エッジの効いたスプラッター。

血しぶき(=splash)を語源とするスプラッターは、70~80年代に隆盛を極めた。
『ムカデ人間2』はそんな映画史を踏まえ、、、と記したいところだが、歴史なんか関係ない、突然変異で生まれた異形の映画といったほうが適切で、そういう意味でもヘヴィメタなのだった。

血しぶきや身体破壊の描写は、度が過ぎると笑いに転化される。
その悪趣味性を笑い飛ばすのがスプラッター映画の醍醐味のはずなのだが、どうしても現実の犯罪―日本でいえば、もちろんМこと宮崎事件―を連想させ、後味を悪いものにする。
90年代以降のスプラッターの衰退は、そういうところにも遠因がある、、、はずで。

ホラーで涼しくなるという経験はなくても、「スプラッターで笑う」という経験は沢山あった。
「あった」と記したように、残念ながら過去の話ではあるけれど。

『ムカデ人間2』は確かにスプラッターだが、尖り過ぎていてゲラゲラ笑うことは出来ない。
満足感はあるものの、さすがに笑えない。

あぁスプラッターで、笑いたい。

というわけで、笑えるスプラッター映画をセレクトしてみる。


(1)『ブレインデッド』(92…トップ画像)

のちに偉大なシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』(2001~2003)を手がけることになる、ピーター・ジャクソンがニュージーランド時代に放った出世作。

ぐちゃぐちゃ。
びちょびちょ。

赤ちゃんまで血だらけ。

でも、すごく笑える。
腹を抱えるほどに。

(2)『死霊のはらわた』(81)

昔はB級専門、現在は巨匠。
まるでデ・パルマのようだが、サム・ライミが「映画は、勢いだ」という信念を抱いて撮ったかのような、奇跡のスプラッター。

(3)『悪魔のいけにえ』(74)

トビー・フーパーの代表作にして、スプラッター映画の金字塔でもある。

しかし笑えるようになるには、3度くらいの鑑賞が必要かもしれない。

そして。
笑えるようになったひとだけ、このTシャツを着ることが出来る。

超かっけー!

(4)『殺戮職人芝刈男』(2002)

21世紀のスプラッターは「もはや真面目に創れない」ということを証明したかのような映画。

出来はよくないが、笑えることは笑える。

(5)『死霊のしたたり』(85)

80年代のスプラッター狂想曲は、81年の「はらわた」に始まり、85年の「したたり」で幕を閉じる。
ある意味では、夢のような数年間だった。

物語はあってないようなもの、エログロのオンパレードに大爆笑した。

原作はラヴクラフトの「はず」だが、ぜんぜん参考にしていない潔さを買いたい。


※現在は「巨匠」のサム・ライミ、しかしこの精神はまだ死んでいないと思うのだ




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コメント (3)
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