しりあるき「らー」→「ら」るご・えんたていんめんと(ラルゴ・エンタテインメント)
「―日本企業が映画会社に出資するようになって、いろいろ変わったねぇ。先日も企画会議で、“これは大人の恋愛映画でして、マンハッタンの街角で中年の男女が出会い…”とまでいうと、それを遮って、“そこに出てくるのか、ゴジラが!?”って」
場内、爆笑。
これは、ある年の米オスカー授賞式における、司会ビリー・クリスタルのオープニングトーク。
ソニーのコロンビア買収(89年)をネタにしているけれど、
ほぼ同じ時期に日本企業「ビクター」が映画会社に出資、大物プロデューサー「ローレンス&チャールズ・ゴードン兄弟」と共同設立したのが、ラルゴ・エンタテインメント。
91年、その第一弾の作品となる『ハートブルー』(トップ画像)を発表。
キアヌ・リーヴスとパトリック・スウェイジを起用した新感覚の青春アクションで、のちに『ハート・ロッカー』(2008)で初の女性オスカー監督となるキャスリーン・ビグローが演出を担当する。
個人的にビグローはアクション描写に長けたひとだと思うので、新作も戦争を素材にしているというけれど、早いとこ「こっちの世界」に戻ってきてほしい・・・というのはあるが、それはまたべつの話。
『ハートブルー』はスマッシュヒットを記録し、ビクターもホッと胸を撫で下ろしたとか。
経済的な視点による「ジャパンマネーの脅威」については「さっぱり?」だったけれど、
日本の映画小僧として、「ビクター」の『JVC』が刻まれたオープニングロゴに触れたときは感動したものだった。
しかし。
映画制作において大事なのは金だけではない、豪腕プロデューサーの存在だけではない、
タイミングや「よいホン」だって必要なのだ―ということを、ビクターは思い知らされることになる。
90年代末に「消滅」するまでのあいだ、ラルゴは20本以上の映画を制作、しかし大ヒット作は生み出せず・・・
『不法侵入』(92…マデリーン・ストーが美しかったので、個人的にはセーフ)
名作のリメイク『ゲッタウェイ』(94…キム・ベイシンガーが美しかったので、個人的にはぎりぎりセーフ)
リー・タマホリの演出に注目が集まった『狼たちの街』(96…ジェニファー・コネリーが美しかったので、おおいに? セーフ)
『G.I.ジェーン』(97…デミ・ムーアの筋肉が美しかったけれど、リドリー・スコットが監督した割には・・・ということで、アウト)
などが話題になった程度で、全米興行にパンチを喰らわせるほどの痕跡を残せなかった。
兄のローレンス・ゴードンは20世紀フォックスの社長を経験したほどの男、
わずか2年で降格? したものの、
そのくらいの大物が関わっても、ダメなものはダメ、ダメなときはダメ、、、というのが、映画の世界の難しくて面白いところ、なのかもしれない。
さて。
もし自分が制作会社を立ち上げることになったら、どんな名前を冠するのか。
原一男が率いる「疾走プロダクション」というのがあるが、そういう格好いいやつがいいね。
10年くらい前から「これにしよう」と決めているのがふたつほどあって、
ひとつは『チーム・ティティナ』で、これは『モダン・タイムス』(36)より、チャップリンが初めて歌声を披露した『ティティナ』からいただいたもの。
もうひとつは、スコセッシ映画をそのままパクって、『チーム・グッドフェローズ』。
他力本願的過ぎて、これじゃあダメかな。
※ラルゴの代表作より。
しかしニック・ノルティといいチャズ・パルメンテリといいマイケル・マドセンといいクリス・ペンといいジョン・マルコヴィッチといい、
メラニー・グリフィスといいジェニファー・コネリーといい、
これだけ自分が好きな俳優が集まった映画も珍しい。
次回のしりとりは・・・
らるご・えんたていんめん「と」→「と」おいよあけ。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『畳とティッシュと、エロ本と』
「―日本企業が映画会社に出資するようになって、いろいろ変わったねぇ。先日も企画会議で、“これは大人の恋愛映画でして、マンハッタンの街角で中年の男女が出会い…”とまでいうと、それを遮って、“そこに出てくるのか、ゴジラが!?”って」
場内、爆笑。
これは、ある年の米オスカー授賞式における、司会ビリー・クリスタルのオープニングトーク。
ソニーのコロンビア買収(89年)をネタにしているけれど、
ほぼ同じ時期に日本企業「ビクター」が映画会社に出資、大物プロデューサー「ローレンス&チャールズ・ゴードン兄弟」と共同設立したのが、ラルゴ・エンタテインメント。
91年、その第一弾の作品となる『ハートブルー』(トップ画像)を発表。
キアヌ・リーヴスとパトリック・スウェイジを起用した新感覚の青春アクションで、のちに『ハート・ロッカー』(2008)で初の女性オスカー監督となるキャスリーン・ビグローが演出を担当する。
個人的にビグローはアクション描写に長けたひとだと思うので、新作も戦争を素材にしているというけれど、早いとこ「こっちの世界」に戻ってきてほしい・・・というのはあるが、それはまたべつの話。
『ハートブルー』はスマッシュヒットを記録し、ビクターもホッと胸を撫で下ろしたとか。
経済的な視点による「ジャパンマネーの脅威」については「さっぱり?」だったけれど、
日本の映画小僧として、「ビクター」の『JVC』が刻まれたオープニングロゴに触れたときは感動したものだった。
しかし。
映画制作において大事なのは金だけではない、豪腕プロデューサーの存在だけではない、
タイミングや「よいホン」だって必要なのだ―ということを、ビクターは思い知らされることになる。
90年代末に「消滅」するまでのあいだ、ラルゴは20本以上の映画を制作、しかし大ヒット作は生み出せず・・・
『不法侵入』(92…マデリーン・ストーが美しかったので、個人的にはセーフ)
名作のリメイク『ゲッタウェイ』(94…キム・ベイシンガーが美しかったので、個人的にはぎりぎりセーフ)
リー・タマホリの演出に注目が集まった『狼たちの街』(96…ジェニファー・コネリーが美しかったので、おおいに? セーフ)
『G.I.ジェーン』(97…デミ・ムーアの筋肉が美しかったけれど、リドリー・スコットが監督した割には・・・ということで、アウト)
などが話題になった程度で、全米興行にパンチを喰らわせるほどの痕跡を残せなかった。
兄のローレンス・ゴードンは20世紀フォックスの社長を経験したほどの男、
わずか2年で降格? したものの、
そのくらいの大物が関わっても、ダメなものはダメ、ダメなときはダメ、、、というのが、映画の世界の難しくて面白いところ、なのかもしれない。
さて。
もし自分が制作会社を立ち上げることになったら、どんな名前を冠するのか。
原一男が率いる「疾走プロダクション」というのがあるが、そういう格好いいやつがいいね。
10年くらい前から「これにしよう」と決めているのがふたつほどあって、
ひとつは『チーム・ティティナ』で、これは『モダン・タイムス』(36)より、チャップリンが初めて歌声を披露した『ティティナ』からいただいたもの。
もうひとつは、スコセッシ映画をそのままパクって、『チーム・グッドフェローズ』。
他力本願的過ぎて、これじゃあダメかな。
※ラルゴの代表作より。
しかしニック・ノルティといいチャズ・パルメンテリといいマイケル・マドセンといいクリス・ペンといいジョン・マルコヴィッチといい、
メラニー・グリフィスといいジェニファー・コネリーといい、
これだけ自分が好きな俳優が集まった映画も珍しい。
次回のしりとりは・・・
らるご・えんたていんめん「と」→「と」おいよあけ。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『畳とティッシュと、エロ本と』