Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(210)

2017-06-14 00:10:00 | コラム
きちが「い」→「い」んもらる(インモラル)

三島由紀夫の意外な一面がうかがえる快作、『不道徳教育講座』。

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この本を多少まじめに読んでくれる青年のために、附加へなければならぬことは、十年前の日本が今よりもずつと「偽善」の横行してゐた社会だつたといふことである。その鼻持ちならない平和主義的偽善を打破するためには、かういふ軽薄な逆説、多少品のわるい揶揄の精神が必要だつたのである。

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「不道徳」と冠している割には・・・と読み始めたら、三島本人がこう書いているように、本作は「多少」「品が悪い」程度の内容で。


不道徳を英訳すると、「immoral」になる。

ほかに、「不品行な」「ふしだらな」「身持ちの悪い」という意味も。

すべてとはいえないが、表現は「良識を撃つ」役目があって、映画だけでなく小説も漫画も、ある意味では存在自体がインモラルであると。


すでに古典ともいえる、キューブリックの『時計じかけのオレンジ』(71)。




初見は高校生のころで、ずいぶんと過激な映画に思えた。

しかしいろんな映画に触れているうちに、この作品は過激といえば過激かもしれないけれど、インモラルと評するには「お洒落に過ぎる」のではないかと。

時代が追いついたために、そう感じるのかもしれない。


そんな自分が選出する、真にインモラルな映画4傑は、以下のとおり。

時代が追いつこうが、この物語は真に病んでいるなぁ、、、と。


『ブルーベルベット』(86)

鬼才リンチの代表作。

切り落とされた耳の「奥の、奥」に、異様な世界が拡がっているという構造自体がどうかしている。

デニス・ホッパーの怪演ばかりが話題になるが、




何度も観ていくうちに、涙するローラ・ダーンのほうが狂っているようにみえてくる不思議。


『クラッシュ』(96)

交通事故の衝撃で性的興奮を得る、特殊な男女を描いた世も末映画。



彼らはそのために、「わざと」事故るのだった。


『カノン』(99)

本編に、「モラル」ということばをでかでかと掲げ、それに対抗することを宣言している。

観るひとしか観ない映画だろうが、観たひとにとって、「好き嫌いを超えて」忘れられない作品になるだろう。


『ニンフォマニアック Vol.1』(2013)

デンマークのキチガイ、トリアーが描く性と性と性と性と性の物語。



トリアーと、映画そのものの力を信じる熱い俳優たちが集結、みんな楽しそうにインモラルを演じている。


次回のしりとりは・・・
いんもら「る」→「る」ーれっと。

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明日のコラムは・・・

『自分でやりたい』
コメント (2)
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