Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

期待値とプレッシャー

2020-09-02 00:10:00 | コラム
某巨大ショッピングモールの防災センター、つまり施設警備員をやっていたころの話―。

施設警備員の主な仕事は、入館の管理。
不審者が侵入するのを防ぐため、「施設内に入ってよい人物か否か」を判断するってこと。

各テナントの店員さんは、必ず防災センター前を通って入館・退館せねばならず、つまり施設警備員って全テナントと接する機会があり、ショッピングモール内で働くひとのなかで最も「顔見知りが多い」存在になる。

各テナントごとに、よく話す店員さんって出来るもので。

自分が仲良くしていたのは、某アパレルショップで働く女子大生Aちゃん。

なにが気に入ったって、彼女の格好。
私服がね、ガッチガチのロリータファッションだったんですよ。

巡回警備の際に彼女が働く店を覗いてみると、おとなしめの服装にきっちり着替えている。
聞けばモールの近所に住んでいるとのことだし、つまりは通勤の10分前後のためだけに気合いを入れてロリータファッションに身を包んでいるのだった。

「―きょうのも、ばっちり決まってる。最高っす。写メ撮りたいけど、職務上ムリなんで」

べつに惚れてたわけじゃないけれど、こんな風に声をかけていると周りには勘違いされる。

実際に噂話も出てきてしまったが、んなこと気にせず彼女の服装を褒めつづけた。

・・・ら、ある日、
「もう~。うれしいけど、かなりのプレッシャーだよ」と返された。

「えー、でも好きでやってるんでしょ」
「そうだけど、そこまで期待されると裏切るわけにはいかないし」

遅刻しそうな日とか雨が降っている日は普段着で行こうと思うが、警備員さんの顔が浮かび急いでロリファッションを着る、、、と。

そんなものかねぇ、好きでやっていることでもプレッシャーなんか感じるものなのかねぇ・・・そんな風に思っていたのだが。


先日―。

某雑誌の女編集長から「―牧野くんのTシャツ見るの、毎回楽しみで楽しみで」といわれて。

「そうですか?」
「10年間くらい付き合いがあって、最近は頻度は減り気味だけど、月に3~4回は会うでしょ。あたしの記憶がたしかならば、いちどとして同じTシャツだったことがないもの」
「(苦笑)そうかもしれません」
「しかも、知っているTシャツであったためしがない」
「(苦笑)」
「どこで買ったのか、なんのデザインなのか、聞くのがいつも楽しみで」

・・・いや、うれしいんだけど、これか! これがプレッシャーというやつか!! と気づいたのでした。


期待値の高さ、ゆえのプレッシャー。

うん、生きている感じがして、悪くないね。




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明日のコラムは・・・

『松屋抜いて一服』
コメント (2)
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