まず・・・というのも妙な書き出しだが、
うまくいかなかったデートを、いくつか挙げてみる。
(1)出された飲食物が悉く不味い居酒屋に入ってしまった。
いや訂正、「お通し」のホタルイカだけは美味かった。
お通しがいちばんという店って、どうよ。
(2)隣りのテーブルに座るカップルが、別れ話を始めた。
聞かないように―と、こっちも大きめの声で話していたのだが、別れ話を切り出されたほうの男子が泣き始め、無視するというわけにもいかない状況に。
(3)デート直前に歯が欠けてしまう。
どれだけ熱心に口説こうと、自分が口を開ける度に彼女は目をそらす。
もちろん、笑わないためだ。
(4)深夜―腕を組んで歩いていたら、いきがるアンちゃん連中にからまれる。
これが自分にとっての最大のテーマ? で、男子諸君よ、こういう場合はどうするね? という話である。
逃げるのか、戦うのか、うまいこと誤魔化すのか、とりあえず謝っておくのか。
どんな展開が待っているのか分からないから、彼女に危害が及ばないよう謝るのが正しい・・・ような気もするけれど、やっぱり理想は「戦う」でしょ。
最近はなくなったが、20代のころはけっこうな頻度でからまれた。
地顔がヘラヘラしていることもあって、「なに笑ってんだよ!?」というような、なんとも情けないからまれかた。
なぜ「最近はなくなった」のかというと、坊主で髭で中途半端なガタイだからね、そんなのがヘラヘラ歩いていたら「危ないヤツだから、関わらないようにしておこう」と思うらしい。
願ったり? だが、じゃあ、からまれていた20代のころはどうしていたのか。
大抵は酔っているわけで、気が大きくなり、勝てる見込みのない相手にも向かっていっちゃったんだよね。
それで殺人に発展するケースもあるのに、こころのどこかでは「やられても、まさか殺されることはないだろう」なんて思っていたところがある、
勝てば彼女に格好つけられるし、負けたら負けたで介抱してもらえる。どっちにせよ自分にとって得だ、、、なんてね。
さて。
自分がアルバイトしていた映画館『清流』で、封切られたばかりの映画『フィールド・オブ・ドリームス』を観た―という、初めてのデートの話。
そこそこの座席数を誇るが、場末の劇場である。
だから支配人と切符売り場のおばちゃん、売店の女子高生、そして映写係の自分の4人しか働くものは居なかった。
自分が休みの日は、支配人自らが映写をする。
つまりこの日は、3人しか労働するものが居ない・・・はずなのに、どういうわけか、たまにしか顔を出さない映写補助の青年や、町にポスターを貼るおじさんまでやってきていて、皆が休憩所で自分と彼女を待っていた。
どうやら切符売り場のおばちゃんが「牧野くんが、彼女を連れてくるらしい」といい触らしたようなのだ。
くそ。
まるで『独裁者』(40)の、チャップリンとポーレット・ゴダードの初デートみたいじゃないか。(これだけで分かるひと、映画小僧と名乗っていいと思う)
しかも入場直前に支配人が「カップルシートがあるから、そこに座ったらいい」などと、余計なことをいう。
緊張するから、やめてくれって。
カップルシートとは、閑散が日常化している劇場を盛り上げようと、座席配置などを改造して作った特別席である。
列車の席を想像してもらえば分かり易いが、ソファのような長い座席の両隣にスペースが設けられていて、つまり他者に邪魔されることがない特別な空間ですよ、、、というわけだ。
残念ながら流行らなかったが、支配人の努力は認める。
なんかエラソーないいかただが、努力は認めるが、初デートの相手にかけるべきことばじゃあないでしょうって。
そんなこといって、とりあえず財布のなかにはコンドームが入っていたのだけれど。(ミチコロンドンのやつ)
『フィールド・オブ・ドリームス』が傑作であることは、どんな環境で触れたとしても変わらない。
ユーレイが出てくるの、ちょっと早過ぎかもしれない・・・問題があるとすればそのくらいで、初見となったこのときも、隣りに座る彼女のことを「一瞬」忘れるくらいに感動したものだった。
ただデートがうまくいったかというと、そんなことはない。
ほんの数ヶ月前まで肥満児であった自分は、ゆえにオクテでクチベタで、気の利いたことばのひとつも発せなかった。
そんなわけで映画のあとの食事も、ただふたりで黙々とハンバーグステーキを食すだけに終始し、食べ終わったらすぐに店を出て、彼女を送るという発想さえ浮かばず、「バイバイ」ではなく「さようなら」といって別れたのだった。
その後?
もちろん連絡はない。
自分の演出がダメダメだったにも関わらず、
「なんだよ、あの子のほうから、俺のこと、気になっているといってきたんじゃないのかよ」
などと逆ギレっぽく憤る自分。
まぁこういう失敗を重ねて、おとなになっていくもの、、、なのだろうね。
うまくいくヤツは、最初からうまくいくんだけれど。
※『フィールド・オブ・ドリームス』より、
シューレス・ジョーに「きみは、きみの“得”のために、野球場を作ったのか」と問われ、ことばに詰まるレイ・キンセラ。
印象的なシーンだが、そりゃあ、自分の得のためでしょうよ、、、とも思ったり。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『な に み て あ る く』
うまくいかなかったデートを、いくつか挙げてみる。
(1)出された飲食物が悉く不味い居酒屋に入ってしまった。
いや訂正、「お通し」のホタルイカだけは美味かった。
お通しがいちばんという店って、どうよ。
(2)隣りのテーブルに座るカップルが、別れ話を始めた。
聞かないように―と、こっちも大きめの声で話していたのだが、別れ話を切り出されたほうの男子が泣き始め、無視するというわけにもいかない状況に。
(3)デート直前に歯が欠けてしまう。
どれだけ熱心に口説こうと、自分が口を開ける度に彼女は目をそらす。
もちろん、笑わないためだ。
(4)深夜―腕を組んで歩いていたら、いきがるアンちゃん連中にからまれる。
これが自分にとっての最大のテーマ? で、男子諸君よ、こういう場合はどうするね? という話である。
逃げるのか、戦うのか、うまいこと誤魔化すのか、とりあえず謝っておくのか。
どんな展開が待っているのか分からないから、彼女に危害が及ばないよう謝るのが正しい・・・ような気もするけれど、やっぱり理想は「戦う」でしょ。
最近はなくなったが、20代のころはけっこうな頻度でからまれた。
地顔がヘラヘラしていることもあって、「なに笑ってんだよ!?」というような、なんとも情けないからまれかた。
なぜ「最近はなくなった」のかというと、坊主で髭で中途半端なガタイだからね、そんなのがヘラヘラ歩いていたら「危ないヤツだから、関わらないようにしておこう」と思うらしい。
願ったり? だが、じゃあ、からまれていた20代のころはどうしていたのか。
大抵は酔っているわけで、気が大きくなり、勝てる見込みのない相手にも向かっていっちゃったんだよね。
それで殺人に発展するケースもあるのに、こころのどこかでは「やられても、まさか殺されることはないだろう」なんて思っていたところがある、
勝てば彼女に格好つけられるし、負けたら負けたで介抱してもらえる。どっちにせよ自分にとって得だ、、、なんてね。
さて。
自分がアルバイトしていた映画館『清流』で、封切られたばかりの映画『フィールド・オブ・ドリームス』を観た―という、初めてのデートの話。
そこそこの座席数を誇るが、場末の劇場である。
だから支配人と切符売り場のおばちゃん、売店の女子高生、そして映写係の自分の4人しか働くものは居なかった。
自分が休みの日は、支配人自らが映写をする。
つまりこの日は、3人しか労働するものが居ない・・・はずなのに、どういうわけか、たまにしか顔を出さない映写補助の青年や、町にポスターを貼るおじさんまでやってきていて、皆が休憩所で自分と彼女を待っていた。
どうやら切符売り場のおばちゃんが「牧野くんが、彼女を連れてくるらしい」といい触らしたようなのだ。
くそ。
まるで『独裁者』(40)の、チャップリンとポーレット・ゴダードの初デートみたいじゃないか。(これだけで分かるひと、映画小僧と名乗っていいと思う)
しかも入場直前に支配人が「カップルシートがあるから、そこに座ったらいい」などと、余計なことをいう。
緊張するから、やめてくれって。
カップルシートとは、閑散が日常化している劇場を盛り上げようと、座席配置などを改造して作った特別席である。
列車の席を想像してもらえば分かり易いが、ソファのような長い座席の両隣にスペースが設けられていて、つまり他者に邪魔されることがない特別な空間ですよ、、、というわけだ。
残念ながら流行らなかったが、支配人の努力は認める。
なんかエラソーないいかただが、努力は認めるが、初デートの相手にかけるべきことばじゃあないでしょうって。
そんなこといって、とりあえず財布のなかにはコンドームが入っていたのだけれど。(ミチコロンドンのやつ)
『フィールド・オブ・ドリームス』が傑作であることは、どんな環境で触れたとしても変わらない。
ユーレイが出てくるの、ちょっと早過ぎかもしれない・・・問題があるとすればそのくらいで、初見となったこのときも、隣りに座る彼女のことを「一瞬」忘れるくらいに感動したものだった。
ただデートがうまくいったかというと、そんなことはない。
ほんの数ヶ月前まで肥満児であった自分は、ゆえにオクテでクチベタで、気の利いたことばのひとつも発せなかった。
そんなわけで映画のあとの食事も、ただふたりで黙々とハンバーグステーキを食すだけに終始し、食べ終わったらすぐに店を出て、彼女を送るという発想さえ浮かばず、「バイバイ」ではなく「さようなら」といって別れたのだった。
その後?
もちろん連絡はない。
自分の演出がダメダメだったにも関わらず、
「なんだよ、あの子のほうから、俺のこと、気になっているといってきたんじゃないのかよ」
などと逆ギレっぽく憤る自分。
まぁこういう失敗を重ねて、おとなになっていくもの、、、なのだろうね。
うまくいくヤツは、最初からうまくいくんだけれど。
※『フィールド・オブ・ドリームス』より、
シューレス・ジョーに「きみは、きみの“得”のために、野球場を作ったのか」と問われ、ことばに詰まるレイ・キンセラ。
印象的なシーンだが、そりゃあ、自分の得のためでしょうよ、、、とも思ったり。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『な に み て あ る く』