Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(19)

2012-09-25 00:15:00 | コラム
まず・・・というのも妙な書き出しだが、
うまくいかなかったデートを、いくつか挙げてみる。

(1)出された飲食物が悉く不味い居酒屋に入ってしまった。
いや訂正、「お通し」のホタルイカだけは美味かった。

お通しがいちばんという店って、どうよ。

(2)隣りのテーブルに座るカップルが、別れ話を始めた。
聞かないように―と、こっちも大きめの声で話していたのだが、別れ話を切り出されたほうの男子が泣き始め、無視するというわけにもいかない状況に。

(3)デート直前に歯が欠けてしまう。
どれだけ熱心に口説こうと、自分が口を開ける度に彼女は目をそらす。

もちろん、笑わないためだ。

(4)深夜―腕を組んで歩いていたら、いきがるアンちゃん連中にからまれる。

これが自分にとっての最大のテーマ? で、男子諸君よ、こういう場合はどうするね? という話である。

逃げるのか、戦うのか、うまいこと誤魔化すのか、とりあえず謝っておくのか。

どんな展開が待っているのか分からないから、彼女に危害が及ばないよう謝るのが正しい・・・ような気もするけれど、やっぱり理想は「戦う」でしょ。

最近はなくなったが、20代のころはけっこうな頻度でからまれた。

地顔がヘラヘラしていることもあって、「なに笑ってんだよ!?」というような、なんとも情けないからまれかた。
なぜ「最近はなくなった」のかというと、坊主で髭で中途半端なガタイだからね、そんなのがヘラヘラ歩いていたら「危ないヤツだから、関わらないようにしておこう」と思うらしい。

願ったり? だが、じゃあ、からまれていた20代のころはどうしていたのか。

大抵は酔っているわけで、気が大きくなり、勝てる見込みのない相手にも向かっていっちゃったんだよね。
それで殺人に発展するケースもあるのに、こころのどこかでは「やられても、まさか殺されることはないだろう」なんて思っていたところがある、
勝てば彼女に格好つけられるし、負けたら負けたで介抱してもらえる。どっちにせよ自分にとって得だ、、、なんてね。


さて。
自分がアルバイトしていた映画館『清流』で、封切られたばかりの映画『フィールド・オブ・ドリームス』を観た―という、初めてのデートの話。

そこそこの座席数を誇るが、場末の劇場である。
だから支配人と切符売り場のおばちゃん、売店の女子高生、そして映写係の自分の4人しか働くものは居なかった。
自分が休みの日は、支配人自らが映写をする。
つまりこの日は、3人しか労働するものが居ない・・・はずなのに、どういうわけか、たまにしか顔を出さない映写補助の青年や、町にポスターを貼るおじさんまでやってきていて、皆が休憩所で自分と彼女を待っていた。
どうやら切符売り場のおばちゃんが「牧野くんが、彼女を連れてくるらしい」といい触らしたようなのだ。

くそ。
まるで『独裁者』(40)の、チャップリンとポーレット・ゴダードの初デートみたいじゃないか。(これだけで分かるひと、映画小僧と名乗っていいと思う)

しかも入場直前に支配人が「カップルシートがあるから、そこに座ったらいい」などと、余計なことをいう。
緊張するから、やめてくれって。

カップルシートとは、閑散が日常化している劇場を盛り上げようと、座席配置などを改造して作った特別席である。
列車の席を想像してもらえば分かり易いが、ソファのような長い座席の両隣にスペースが設けられていて、つまり他者に邪魔されることがない特別な空間ですよ、、、というわけだ。
残念ながら流行らなかったが、支配人の努力は認める。
なんかエラソーないいかただが、努力は認めるが、初デートの相手にかけるべきことばじゃあないでしょうって。

そんなこといって、とりあえず財布のなかにはコンドームが入っていたのだけれど。(ミチコロンドンのやつ)

『フィールド・オブ・ドリームス』が傑作であることは、どんな環境で触れたとしても変わらない。
ユーレイが出てくるの、ちょっと早過ぎかもしれない・・・問題があるとすればそのくらいで、初見となったこのときも、隣りに座る彼女のことを「一瞬」忘れるくらいに感動したものだった。

ただデートがうまくいったかというと、そんなことはない。
ほんの数ヶ月前まで肥満児であった自分は、ゆえにオクテでクチベタで、気の利いたことばのひとつも発せなかった。

そんなわけで映画のあとの食事も、ただふたりで黙々とハンバーグステーキを食すだけに終始し、食べ終わったらすぐに店を出て、彼女を送るという発想さえ浮かばず、「バイバイ」ではなく「さようなら」といって別れたのだった。

その後?

もちろん連絡はない。

自分の演出がダメダメだったにも関わらず、
「なんだよ、あの子のほうから、俺のこと、気になっているといってきたんじゃないのかよ」
などと逆ギレっぽく憤る自分。

まぁこういう失敗を重ねて、おとなになっていくもの、、、なのだろうね。

うまくいくヤツは、最初からうまくいくんだけれど。


※『フィールド・オブ・ドリームス』より、
シューレス・ジョーに「きみは、きみの“得”のために、野球場を作ったのか」と問われ、ことばに詰まるレイ・キンセラ。
印象的なシーンだが、そりゃあ、自分の得のためでしょうよ、、、とも思ったり。




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初体験 リッジモント・ハイ(18)

2012-09-24 00:15:00 | コラム
酒が「そこそこ、いける」子としか付き合ったことがないので、20歳を過ぎてからのデートのメインは「ほぼ」酒である。
どこへ行って遊ぼうが、そのすべては酒を呑むための前戯に過ぎぬと。

で、いわゆる本番が居酒屋やらレストランやらバーやらで酒を呑むことで、
肝心のエッチが出来たとしても、それは「余波」であると。

それでいいんか?
とも思うが、まぁ楽しめればそれもOK。

映画小僧だからといって、デートのスケジュールに映画鑑賞が組み込まれることは「あんまり」ない。
期待している作品であればあるほどそうで、スコセッシやリンチ、塚本晋也の新作はひとりで観たい。それが2度目だったとしても、ひとりがいい。
「観たあとに感想をいい合いたい」というひとも居るが、感動したり衝撃を受けたりすると、自分は黙り込んでしまうタイプだから。

そんな難しい男なので、デートで鑑賞出来る映画も自然と絞られてくる。
映画祭やオールナイトなどのイベントムービー的なるもの、とか、ひたすら明るいコメディとか。(その基準で『キューティ・ブロンド』(2001)を選んだときは、大正解だった)

「いろいろ教えてほしい」といわれることもあるけれど、格闘技観戦も基本的にはデートに適さない。
自分にかぎっての話・・・だけれども、試合に集中し過ぎるから、教えるもなにもないのである。
立ち技競技にしろMMAにしろ長時間興行になることが多く、そのあいだ、可能なかぎり飲食もしないし、そんなのデートとして楽しくないでしょう。(そもそも長時間興行に耐えられる女子というのが、かなーり少ないのである。すべての試合が判定となると、7時間を超えるケースも)

じゃあ、どんなデートしているのかって?

映画と格闘技に関しては自分の我儘を通すことのほうが多いので、基本的には相手の希望に合わせる。
すると、動物園や水族館、博物館、プラネタリウム、ショッピング、ライヴ、散歩? スイーツめぐり?? みたいな感じになる。
多摩動物園なんて、何度行ったか分からぬほど足を運んでいるし。

ここ最近で印象に残るデートは、

(1)『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』に参加
(2)焼肉
(3)自宅に呼んでアンナコトコンナコト

というスケジュールだった。

『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』は「まっくらやみ」のエンタメで、これはオススメ。
アテンド(視覚障害者)先導のもと、真の意味における暗闇で様々なことを感じることが出来る


前置きがやたらと長いが、今回の初体験は「デート」。

生まれて初めてのデートは、高校2年の春。
クラスメイトの紹介で知り合った、えくぼが可愛い他校のおんなのこだった。

♪ えくぼは恋の落とし穴 ♪ と、ももクロ(夏菜子のパート)も歌っている。

写真部に所属する文化系才女、しかも小柄で色白。

その時点でノックアウトだが、スケジュールを組み立てる余裕なんかなかった。
とりあえず映画を観て、食事をする―ということだけは決まっていて、選んだ映画は『フィールド・オブ・ドリームス』(89)だった。

当時の自分は市で唯一の映画館『清流』でアルバイトをしており、「無料で入れるから」と誘ったのである。
格好つけてみればいいものを、タダを売りにするというのが、なんとも、、、ねぇ。


つづく。


※『キューティ・ブロンド』主題歌PV
ほんとうに、元気の出る映画だ。




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すっとこどっこい

2012-09-23 00:15:00 | コラム
鬼畜系のエロ本ばかり出している出版社から、「今年、グンと伸びた女子たちを。エロ限定でなくて、よし」という原稿依頼があった。

先走り傾向の強い自分でも、さすがに「年間総括って、早過ぎじゃね?」と思ったが、そうかそうか、
月刊だけでなく隔月・季刊もあるし、ナンダカンダでもう10月になるし、自分だって11月に入れば総括を始めるわけで、遅過ぎるよりはいいのかな、、、と。

ではまず、30人くらいの女子をリストアップしてみよう―そう思って酒呑みながらボーっとテレビを観ていたら、テレビ東京で『勝ち犬負け犬』(東野幸治×今田耕司)という番組がやっていた。
「上半期の勝ち男子と勝ち女子を挙げていく」という、自分にヒントをくれるような内容であったが、はっきりいって面白くなかった。

芸人たちが挙げた「勝ち男子」は、香川真司(サッカー)やダルビッシュ有(野球)、内村航平(体操)など、ほとんどがスポーツ関係だった・・・って、内村は下半期じゃないの?

自分が選出するとすれば・・・
やっぱり香川とダルビッシュは外せないけれど、ほかに、
(去年に続き)映画監督の園子温、5月に亡くなった100歳の新藤兼人、あとは作家の田中慎弥あたりか。

外国人も取り上げたいところだが、長くなるので年末の総括に取っておこう。


芸人たちが挙げた「勝ち女子」は、さしこ指原莉乃やあっちゃん前田敦子、そして「ももクロ」など、アイドル勢強し。

概ね納得。

分野別に自分が挙げると・・・

映画女優「として」
二階堂ふみ、橋本愛、安藤サクラ、Cocco、沢尻エリカ、水原希子

AV女優「として」
愛内希、つぼみ、二宮沙樹、加藤リナ

タレント「として」
平愛梨、ローラ、さしこ、重盛さと美、鈴木奈々、夏目三久

作家「として」
本谷有希子、西川美和

スポーツ界から、
田中理恵、石川佳純、鮫島彩、RENA

音楽界から、
村治佳織、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ

そしてアイドル界からは、もちろん、
ももいろクローバーZ、、、であると。


断っておくが、好き嫌いではない。あくまでも「伸びた女子」である。
社会全体の流れを汲んでの選出なので、そこまで的外れな結果にはなっていないかと。

これを参考に、エロ本に載せる「三大女子」を熟考すると・・・

橋本愛、夏目三久、ももクロになるか。

もちろんエロ本なので、ここに愛内希などをからませるつもりではあるが、こういう原稿は楽しくて何度も何度も書き直したくなる。
書き直す度にひとが入れ替わるのが常で、そこらへんは「オールタイムの映画ランキング」に似ているかもしれない・・・が、それを含めて楽しい作業なのだった。


こういうことだけを書いて「そこそこの原稿料」をもらい、AVでナニして一生を終える、、、というのも悪くないような気もするが、
おっと、西川美和が不敵な笑みで「待ってるのに」という表情をしている。

♪ 天下を取りにいくぜ ♪ と歌う『ピンキージョーンズ』を聴きながら、シナリオ完成を目指さなきゃ。


※聴く度に好きになっていく。そのクセして、最後のことばが「すっとこどっこい」といっていたの、最近になって気づいた。
そのことを「ももクロ狂」の友人に伝えると、馬鹿かオメーは? という顔をされた。




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冬のほうが喰うんだけどね。都下はとくに。

2012-09-22 00:15:00 | コラム
今月15日、なら国際映画祭で「自転車発電による」映画上映が企画された。

4台の自転車のペダルを参加者が代わる代わる漕ぐことによって、短編アニメーションなどを上映。16日に上映されたのは、自転車が鍵となる映画『E.T.』(82)だったという。

河瀬直美を生んだ奈良らしい、ユニークな企画だと思う。


昨夏、東京FMによる企画『東京タワー 人力ライトアップ大作戦』に参加したが、モノスゴ面白かった。ずっと漕ぎたいくらいに熱く・暑くなれた。

むかし小林よしのりがいっていたが、なにをするにも楽しむことが大事である―って、ほんとうにそう思った。


というわけで、電気、、、というか節電の話。


マジか!?

マジでそんなに安いんか!?

というか、なんでそんなに安いんか??? と、何度も振込用紙の金額を確認する。

うん、やっぱり3550円となっている。

神経質にはならなかったが、確かに節電の努力はした。

いままでモノを書くときは、パソコンのモニターに「向かっているのに」テレビのCS放送で音楽を流していたのだが、テレビを切ってパソコンでラジオを聴くようにした、、、とか。
入浴時はすべての部屋の電気を消し、月のあかりを頼りにした、、、とか。
AVを観てナニをナニするときも節電を忘れず、なるべく早く果てるようにした、、、とか。

まぁ早漏はいまに始まったことではないが、そんな感じで今年の夏を過ごした。

とはいえ、基本的に昼に寝る自分は猛暑に耐え切れず、冷房をつけて寝る日々―だったはず。

ぶっちぎりで最高気温を出した館林出身でも、東京の夏は堪える。頭のどこかには常に原発のことがあるわけだが、それでも「ごめんなさい」といいながら冷房のスイッチを入れていたのだ。
それなのに電気代が3000円クラスとは、けっこう頑張ったんじゃないか自分! と褒めようとしたら、それはガス代の明細書だった。

いや、間違えるのにはちゃんとした理由がある。

自動引き落としにしているひと―ほとんどが、そうか―には通じ難いと思うが、
東電の振り込み用紙と、東京ガスの請求書(振り込み用紙、ではない)って、なぜかそっくりなのだ。

冷房がんがんつけておいて3000円で収まるはずもなく、自分が馬鹿だった―といえば、それだけの話だが。(ところで芸人「ほっしゃん。」の、ガス代の『すべらない話』は面白かった。ガス代の支払いを忘れないよう「ガス代、忘れない」とメモ帳に記しておいたら、奥さんが「がすよ」という女だと勘違いし、「ガス代って、誰よ?」と喧嘩を吹っかけてきた・・・という話。マジか? と思ったが、作り話だったとしても面白いからOK)


結局、実際の電気代は6000円くらいだった。
家にこもってモノばかり書いている人間としては、妥当な数字だと思う。


しかし去年も同じようなことを書いたような気がするが、夏より冬のほうが確実に電気を喰うんだけれどね。個人的には。

都下に住んでいれば分かるが、都心と比べると数度低いし。
使っているのが電気ストーブである、、、というのもあるし。

だから「節電で夏を乗り切った」とメディアが報じていても、すぐ冬がくるのにな・・・とか思っている。


さあて、冬をどう乗り切ろうか―などと書くと、ほんとうに寒い東北のひとに怒られそうだが、とりあえずの対策を考えてみたものの、暖房つける代わりにハニーとベタベタしてみる、、、とか、くだらんことしか思い浮かばない。


どうしたもんだろうか。

ちなみに去年の1月の電気代は、確か8000円くらいだった、、、ような気がする。


※80年代のスピルバーグより、2000年代以降のスピルバーグのほうが、
不気味で、歪んでいて、わけがわからなくて、すごい好きだ―という映画小僧、けっこう多いと思う。




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ぷろ、ろーぐ

2012-09-21 00:15:00 | コラム
映画好きであればあるほど、「傑作かどうかは、冒頭で分かったりする」などというが、それはけっこう当たっている、、、と思う。

冒頭で傑作の予感がした映画でも、その後の展開によって「あれれ・・・」な出来になっちまうことはゼロではないが、駄作と化す可能性は「かぎりなくゼロにちかい」。
逆に最初からピント外れの映画は、外れまくりのままエンディングに向かうことが多い。

「その長さすべて」が映画であることを理解しつつ、それでも「冒頭で決まる」などという映画的テーゼ? を発したくなるのが、映画好きの生態なのだった。

ここでいう冒頭とは、いわゆるプロローグを指し、スタッフやキャスト名が映し出されるオープニング・クレジットとはちがう。

簡単にいえば「前置き」で、主人公を端的に表現するエピソードだったり、物語の発端となる事件が描かれたりする。

で、またまた自作シナリオの話。

今回の作品、約140分くらいのドラマを想定している―ことは記したが、プロローグが「やや」長めで20分くらいを費やしている。
警察署で展開される会話が延々と何十ページも続き、容疑者である主人公が釈放されフェイド・アウト、そのあと、やっとのことでタイトルが表示され本筋が始まる。

そのまま映像化されたとして、映画好きが「傑作の予感!」を抱いてくれるかどうかまでは分からないが、物語の性質上、どの描写もどの台詞も削れないのである。
削れない代わり、観客を飽きさせないようにと色々工夫を凝らそうとしたが、そんなことしたら余計に長くなってしまう。

どうしたものかと、プロローグの優れた傑作たちを観返す日々が続くのだった。

以下は、観返した10本の教科書たち。
勉強する・参考にするつもりで鑑賞したはずなのに、不覚にもどっぷりと浸かってしまった。

傑作とは、そういうものなのである。


(1)『ミラーズ・クロッシング』(90…トップ画像)

主要キャラクターが一同に会す。
敵対するギャングのボス、キャスパーだけがぎゃんぎゃん喚くシーンが続くが、それを聞いているのかどうなのか、主人公のトムはゆっくり酒を呑む。

耳をすませていると、静かな風の音が聞こえる。
そう、ミラーの十字路(=ミラーズ・クロッシング)に吹く風である。

つまりこの時点で、映画の主題が提示されているのだ。

(2)『ゆきゆきて、神軍』(87)

仲人を務める主人公・奥崎謙三の政治的? 祝辞で始まる、独特な披露宴が映し出される。

そのあと、奥崎の逮捕歴が大写しにされ、タイトルクレジット。

インパクトという点で、これに勝るプロローグはない。

(3)『カジノ』(95)

文末動画参照。
誰が似合うのかというピンクのスーツを着たデ・ニーロが、車のエンジンをかけた途端、宙に吹っ飛ぶ。
それに続くタイトルクレジットも含め、スコセッシ×ソール・バスの作品における最高傑作かと。

(4)『真夜中のカーボーイ』(69)

自信と希望に満ち溢れた主人公が、陽気に歌いながらシャワーを浴び、カウボーイスタイルに着替え、バスに乗る。
後半の展開と対をなす、効果的なプロローグ。

(5)『レザボア・ドッグス』(92)

若い世代のなかでは、これがいちばんか。
マドンナの巨根話に始まり、チップのあれこれで終わる。
本編とは無関係な会話が続くゆえ、かえって印象に残る技ありのプロローグ。

(6)『ユリイカ』(2000)

これは変化球として選出。
タイトルは、ずっとあと、、、というか、エンディングに至ってようやく登場。
つまりそれまでの物語すべてが、発見(=ユリイカ)であったということ。

(7)『アマデウス』(84)

語り部が自殺を図るという衝撃的な幕開けは、すべての創り手にとってのお手本であろう。

(8)『セブン』(95)

夜になっても止まぬ喧騒。
主人公の初老の刑事は「いつものこと」という風に、メトロノームのリズムに頼って眠りにつく。

舞台背景の特異さが端的に表現されており、物語の「嫌な感じ」まで想像出来るようになっている。

(9)『トレインスポッティング』(96)

イギー・ポップの軽快な音楽に乗せて、主要キャラが「名前つき」で紹介される―この冒頭をタイトルクレジットと勘違いする向きも多いが、いやいや、タイトルそのものはもうすこしあとに出てくる。

このスピーディな映像表現に乗れたひとは最後まで楽しめるし、乗れなかったひとは途中で降りる・・・のかもしれない。

(10)『マグノリア』(99)

世紀の傑作だと思うが、三つのエピソードを語るプロローグに関しては、少し丁寧に説明し過ぎている、、、ような気がする。
「こういうこともあるから、この物語も“あり”でしょう」ということだが、これがあってもなくても、物語そのものは力強さとリアリティに溢れ、充分納得出来るものなのだ。

ただ、それでも「とりあえず、やっておきたい」というポール・トーマス・アンダーソンの強い自己主張に折れてみよう、、、ということで、この作品も挙げておく。


※どうよ、これ!




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