Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(167)甲本雅裕

2012-09-20 00:15:00 | コラム
65年6月26日生まれ・現在47歳。
岡山出身。

兄貴、49歳。どっちも若い。

公式プロフィール


交わるようで、交わらない。
しかしニアミスっぽいこと―ブルーハーツのヒット曲が鍵となる映画、『リンダリンダリンダ』(2005)に出演したり。出演CMの音楽にハイロウズを使用したり―は、する。
この絶妙な距離感こそ、互いの活動が長続きする秘訣なのでしょうか。

まるで、中森明菜と中森明穂のよう。
それはちょっと、ちがうのか。明穂は、すぐに引退しちゃったし。だったら、まだ荻野目慶子と荻野目洋子を出したほうが適切かも。

というわけで。
自分の世代に絶大な支持を得るミュージシャン、甲本ヒロトを兄に持つ甲本雅裕(こうもと・まさひろ)さんの登場です。

兄貴に比べて柔らかな印象を受けるのは、いや、だから、それは兄貴がヒロトだからでしょう。

たったいちどだけ、ヒロトに会ったことがあります。
ひと回りくらい上なのにヒロト呼ばわり出来るのは、それはやっぱりヒロトだから・・・といっていいのかどうか、とても気さくなひとでしたが、
『リンダリンダリンダ』の感想を聞いてみると、恥ずかしそうに微笑むだけで、なにも答えなかったのが印象に残っています。
そういう「いかにも」照れそうな質問、イヤなのでしょうね。

雅裕さんの露出が増えるのは、90年代の末から。
コメディリリーフも出来ればヤクザもこなしたりと、意外に器用なのです。

自分が「ひょっとして、ヒロトの兄弟?」とピンときたのは遅く、『3年B組金八先生』の第7シーズン(2004~2005、TBS)で演じた暴力団員役がきっかけでした。
あれ、目が似ている、、、と。


※この映画での出演場面は「いつも以上に」短いけれど、好きな作品なので。




<経歴>

「いつも以上」と記したように、基本的には主役を張らず、脇で作品を支えるタイプの俳優さん。

大学卒業後に就職するも、友人の誘いを受けて退職し、東京サンシャインボーイズの一員に。
三谷幸喜が旗揚げしたことで知られ、ちょうど雅裕さんが加入した直後あたりから人気になった劇団です。

映画俳優デビュー作は、95年の『南の島に雪が降る』。

テレビシリーズ『踊る大捜査線』(97、フジテレビ)のコミカルな演技で雅裕さんを知ったひとも多いはず、
好評を受けて映画化された『踊る大捜査線 THE MOVIE』(98)にも同じキャラクターで出演しています。(2003年の第二作、2010年の第三作、そして公開中の最終作にも出演)

ところで雅裕さん云々ではなく、
この最終作、どのくらいのファンが満足、、、というか、納得したのでしょう。

本広監督って、ちゃんとすればちゃんと出来る? ひとだと思うのですが、
なんか、かゆくないところにまで手を伸ばそうとする過剰なサービス精神が、かえって白けさせている気がしないでもないでもないでもないです。

『催眠』(99)、
本広組として『スペーストラベラーズ』(99)や『サトラレ』(2001)に出演、
しかし個人的には、『コンセント』(2001)や負け犬映画の金字塔『KT』(2002)のような、シリアス路線の雅裕さんのほうが好みです。
ですから、とくに『突入せよ! あさま山荘事件』(2002)、『美しい夏キリシマ』(2003)、前述した快作『リンダリンダリンダ』など、じっくり見せる映画が続いた2000年代前半あたりに「このひと、いいな」と思うようになったのでした。

(SPEEDの)hiroが可愛かった『バックダンサーズ!』(2006)、『嫌われ松子の一生』(2006)、『神童』(2007)、
佳作『グミ・チョコレート・パイン』(2008)、学芸会みたいだった『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(2008…つまり黒澤映画のリメイクで結果を残しているのは、現時点ではゼロ)、
『ザ・マジックアワー』(2008)、『鴨川ホルモー』(2009)、『曲がれ!スプーン』(2009)、『花のあと』(2010)、『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(2010年)、サイバラ作品と映像は意外と相性がいいことを知った『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(2010)などなど、端役ということもあって、様々な映画にちょこちょこと顔を出しています。

去年度も『プリンセス・トヨトミ』『はやぶさ/HAYABUSA』『源氏物語 千年の謎』に出演、
テレビドラマにも「端役で出まくり状態」ですが、
印象に残るには、『カーネーション』(2011~2012、NHK)と、WOWOW制作の『マークスの山』(2010)ですね。

今後も、ときどきニアミス的共演? をしてもらい、ファンを楽しませてほしいです。


次回のにっぽん男優列伝は、神山繁さんから。

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にっぽん男優列伝(166)小出恵介

2012-09-19 00:15:00 | コラム
84年2月20日生まれ・現在28歳。
東京出身。

公式サイト

いきものがかりが歌ったのは『風が吹いている』、AKBが歌ったのは『風は吹いている』・・・という風に、似たタイトルが多くてややこしいですが、
駅伝をからめた青春映画『風が強く吹いている』(2009)が好きです。
(町田に在住していたこともあったことから)個人的に親近感を抱いている作家、三浦しをんによる原作小説も素晴らしいけれど、駅伝走者たちに血と肉を与えた俳優陣の好演により、映画は躍動感に満ちた快作に仕上がっています。
この映画で主人公を演じていたのが、本日の主役となる小出恵介(こいで・けいすけ)くん。

それまでにも様々な映画で顔を見せるものの、名前を把握するのがやっとといった印象で、きちんとチェックすることはありませんでした。
『風が』で俄然興味が湧き、いろいろ調べてみたところ、映画小僧が応援したくなるキャリアを築いていたことを知ったのでした。

(1)シネフィルと自称出来るほどの映画好き。

(2)それがネタではない証拠に、学生時代に自ら監督をしていた。

(3)これは、あまり・・・というか、ぜんぜん関係ないけど、川瀬智子のファンだった。
自分も好きなので、これはこれでポイントアップ。


映画小僧として、こういうのって悔しいのですよね。
本来ならデビュー初期から応援すべきで、名前が知れ渡ったころに「遅いんだよ」と周囲にいいたいからです。

ともかく。
将来的に、小栗旬のように映画監督デビューする確率、そーとー高いと思われます。
それでシネフィルぶりがどの程度のものか、はっきりするんじゃないでしょうか。(・・・って、そういえば、そんな小栗の処女作『シュアリー・サムデイ』(2010)の主演を務めたのは、小出くんだったのですよねぇ)


※『風が強く吹いている』予告編




<経歴>
父親の仕事の関係で、小学生時代をインドで過ごす。
慶應義塾大学の文学部(人文社会学科美学美術史学専攻)を卒業。

映画の世界を目指すも、イケメンであったため? とりあえずオーディション情報誌にエントリー、所属事務所となるアミューズから声がかかって芸能界デビューを果たす。

映画俳優デビュー作は、2003年の『偶然にも最悪な少年』。

『パッチギ!』(2005)や『リンダ リンダ リンダ』(2005)などで、チョイ役ながらも活きのいい学生を演じる・・・と記したものの、好きな映画で繰り返し観ているのに、正直、小出くんの印象は薄かったです。

2006年の『初恋』で宮崎あおいの相手役を演じ、注目を集める。
三億円事件の犯人が女子だった・・・という大胆な設定の青春映画ですが、設定に負けた感はあり。

曲者俳優が多数共演した快作『キサラギ』(2007)、どうにも笑いが止まらない『恋空』(2007)、
物語はともかく、綾瀬はるかがひたすら可愛いので小出くんチェックを忘れてしまった『僕の彼女はサイボーグ』(2008)、
『ROOKIES ―卒業―』(2009)、『キラー・ヴァージンロード』(2009)などなど、作品にアタリハズレはあるものの、順調にキャリアを築く。
そして前述した『風が強く吹いている』で初主演を果たし、映画小僧から期待の若手俳優のひとりに挙げられる存在に。

『のだめカンタービレ 最終楽章 前編/後編』(2009/2010)、現代の闇を切り取った行定勲の佳作『パレード』(2010)、小栗旬の初監督作『シュアリー・サムデイ』、『雷桜』(2010)、
公開控え作品に、ウッチャン内村光良が監督する『ボクたちの交換日記』(2013)、『ストロベリーナイト』(2013)があります。

うん、順調順調、いい感じです。

付け足しのようになりますが、テレビドラマの出演も多数です。
『白夜行』(2006、TBS)などのほかに、まもなく終了するNHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』にも出演していますね。

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びん、かん。

2012-09-18 00:15:00 | コラム
ビールの瓶・缶に埋もれている。

映画小僧を自称するものなのに、格闘技マニアを自称するものなのに、アイドル狂を自称するものなのに、AVオタクを自称するものなのに、煙なきゃモノが書けないという愛煙家を自称するものなのに、
フェイスブックのタイムライン画像はこんな感じで
大して強くもないクセして、酔いどれな自分に酔っている。


毎週土曜は「ビン・カン」のゴミ収集日で、大量の瓶・缶を捨てながら思う、あれ、世帯主としては若いほうの自分が、(団地)住民のなかで最も高価なビールを呑んでいるのか、、、と。
こういうところで節約しないから、多重債務者になった―かつて、ね―のだと思い知らされるが、そうなのだ、発泡酒・第三のビール隆盛の時代にあって、稼ぎがいいわけでもないのに純正ビールにこだわっているのである。

先日は団地の祭りがあり、生ビールをぐいぐいやりながら女子中高生の生態を観察していたら、同じ棟の奥さんに見つかり「あなたは家でも外でも、酔っているのね」といわれた。
確かにそうかもしれない・・・って、なぜ部屋のなかの自分のことを知っているんだ?

まぁいいや。
当たっているのだから。


ビールに埋もれている理由。

(1)頒布会に申し込んでいるので、毎月、ベルギーやドイツのビールが送られてくる。

その結果、呑まないひとだった「かーちゃん」の仏壇背景は、こんな感じに

迷惑かな?

(2)在庫を切らさないよう、ギャラが入る度にビールのケース買いを続けている。

そして、

(3)新聞奨学生という過去がそうさせるのか、新聞の勧誘は絶対に断らないようにしているのだが、この前、約7年後の契約を結んだ。

「いまってあれだもんね、ビール券はないんだよね?」
「えぇビール券はお渡しすることは出来ないのですが、発泡酒なら買ってまいります」

買って? まいるという表現に疑問を感じたものの、あげるというものを断る理由などない。

「じゃあ、お願いします」
「『淡麗』か『のどごし生』か選べますが」
「『淡麗』で」
「グリーンラベルですか」
「いえ、ふつうのやつで」
「では10分後に」

というわけで、1ケースいただいた。

買ってくるという疑問を有耶無耶にしつつ、本題はここから。

この拡張員、ふたりでやってきた。
自分と同世代の女子がメインで、20歳前後の男子がサブ。
男子はこっちに会釈するだけで、なにも喋らない。
たぶん新人研修みたいなもので、大袈裟にいうと師弟関係である。

ドアを閉めてからの会話が想像出来る。
「こんな客は稀だ。いまは大抵が、門前払いされる。きょうはラッキーだ」とかなんとか、いっているにちがいない。

師弟の映画といえば真っ先に思い浮かべるのは黒澤の『野良犬』(49…トップ画像)だったりするが、初期の成龍ジャッキーの映画もその構造が多い。香港のカンフー映画といったほうが適切か。
そんな香港映画に憧れてタランティーノは『キル・ビルvol.2』(2004)を創り、師弟とは関係ないが、『野良犬』からヒントを得て創られたのがPTAことポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』(99)である。

どんな職場でも新人さんはベテランに仕事を教わるわけで、広義の意味では師弟関係は沢山存在する。
ただドラマに成り易いのは芸術や武道、そして、やはり刑事だろう。

自分の経験で最も印象に残るのは、私服保安員。
窃盗現場を確認し、犯罪を成立させてから逮捕する―ひとを犯罪者にする公安関連の仕事だから、そう簡単には「独り立ち」させない。かといって試験などがあるわけでもなく、師匠が頷くのを辛抱強く待つ、、、という日々が続く。

自分が所属していた警備会社は、私服保安部門を立ち上げたばかりだった。
じつは自分が第一号であり、自分は他社に派遣されて「独り立ち」をした。
その「毛が生えたばかり」の新人保安員が自社に戻り、唐突に昇進、アルバイトであったにも関わらず「次長」の肩書きをもらい、新人教育を始めるのである。
考えてみれば、ムチャクチャな話だった。

経験3ヶ月の男が、新人を教える。形は師弟だが、あまりにも頼りない師匠。
しかしそうもいっていられないので、ハッタリかまして毎日を乗り切る。

助平だからではなく、弟子が女子のほうが仕事はうまくいった。
同性の友人同士を装って万引き犯を監視するよりも、カップルや夫婦を装ったほうが自然に見えてばれにくかったから、、、である。
あとたぶん、こころのどこかで「自分がしっかりしなければ」という気持ちも働いていたにちがいない。

しかし。
その数ヶ月に自分は犯人捕獲に失敗し、大怪我を負うことになる。

これに懲りたのか、会社は私服保安部門から撤退。
「やってみたい」という興味だけでは、あまりにもリスクが大きい仕事だったのだ。

ただ、いい経験になったことは確か。
そんな自分にとっての理想の師弟関係は、映画界の是枝裕和と西川美和。

互いが刺激し合い、きちんと結果を残しているから。

じつに、うらやましい。


※『マグノリア』より。
エイミー・マンの歌声、大好き。




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アイリスに恋をして

2012-09-17 00:15:00 | コラム
きのうの、シナリオ創作「あれこれ」のつづき。

主人公のキャラクター造形は、凝り過ぎというくらいに凝っていて完璧である。
これは、読んでもらった識者にもそういわれた。

ただ主人公が際立ち過ぎ、その他が弱いらしい。
主人公の原動力となるはずのヒロインが、主人公の強烈なキャラクター性に「なにもかも、負けてしまっている」とは、識者の評。

なるほど、バランスが悪いということなのだろう。

19歳のころに書いたシナリオから、自分の作品には必ず「亜希」というキャラクターが登場する。
石井隆の「名美」に似た運命のヒロインだが、主人公になったことは一度としてない。
登場場面は少ないが、常に主人公の原動力になっている、、、というキャラクター設定である。

分かり易くいえば、「助演」のキャラ。

というわけで、助演キャラの優れた映画を片っ端から再鑑賞することにした。

きょうのタイトルのアイリスとは、もちろん、『タクシードライバー』(76)でジョディ・フォスターが演じた少女娼婦の名前である。
この映画にはふたりのヒロインが登場するが、印象に残るのは「どう考えても」アイリスのほう。
ベッツィ(シビル・シェパード)がプライドの高い「移り気な」女だから、、、ではない。アイリスこそが、主人公トラビスの原動力になっているから、、、である。(あんなに気の触れたトラビスは、それでもアイリスを抱こうとしないのだ!)

アイリスのようなキャラクターをものにしたい、そう思う。
ときに主人公を喰うほどのインパクトだが、そういった「すれすれの」線を狙いたい。

悩むが、すらすらと書けるのは第一稿くらいで、二稿目三稿目とは、なかなか進まないもの。
思いっきり苦悩してやろうじゃないの。


以下に挙げた映画のキャラクターは、主人公を喰うことはないが、ある意味では作品のなかで最も輝く助演の女子キャラクターである。
傑作のなかにも「助演女子キャラは添え物」という映画が多いなかで、彼女たちはきちんと呼吸している。息をしている。素晴らしいじゃないか。


(1)八重、『飢餓海峡』(65)…演じるは左幸子
犯人(三國連太郎)の爪を、大事に大事に取っておく。
切ない。

(2)リンダ、『ディア・ハンター』(78)…演じるはメリル・ストリープ
好いている男を忘れるために、好いていない男をベッドに誘う。
これまた、切ない。

(3)ミハル、『あつもの』(99)…演じるは小島聖
「触ってもいいですよ」と、主人公(緒形拳)に呟く。
男たちは、彼女の魔性に狂わされた。

(4)ミハル、『機動戦士ガンダム2 哀・戦士編』(81)…声優は間嶋里美
同じミハルでも、彼女はスパイだった。

(5)ダニエル、『ケープ・フィアー』(91)…演じるはジュリエット・ルイス
10代の危うい性を見事に体現したジュリエット・ルイス、彼女のキャリアのなかで最高のパフォーマンスだったと思う。

(6)フローラ、『ピアノ・レッスン』(93)…演じるはアンナ・パキン
愛らしさのなかに残酷性を宿す。

(7)オーレン石井、『キル・ビル』(2003)…演じるはルーシー・リュー
アニメパートも含めて、第一作目のなかで出色の出来。

(8)ひづる、『東京FIST』(95)…演じるは藤井かほり
ひづるにボコボコに殴られる主人公・塚本晋也。殴られたあとの顔の腫れは劇画的だが、暴力行為が愛情表現にまで高められた最高のシーンだと思う。

(9)アンナ、『第三の男』(49)…演じるはアリタ・ヴァリ
長い長いラストシーンがなければ、キャラクターとしては弱かった「はず」。
あのラストによって、彼女のキャラクターも永遠となった。


そして、

もちろんアイリス。


※『ディア・ハンター』より・・・
主題曲『カヴァティーナ』を、村治佳織と沖仁の共演で。




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短いというだけで不遇、解せねぇぜ。

2012-09-16 01:37:24 | コラム
創作欲というものが衰えることは「まず」ないが、
西川美和の傑作『夢売るふたり』を観て、こんなことじゃいけないな・・・と、脱ぎかけのパンツを元に戻して? パソコンのモニターに向かった。
第一稿を終え放置されたままになっている新作シナリオを、なんとかしなければ、、、と。

創作欲を刺激してくれる作品・作家って貴重だ。
映画漬けの日々を送っていても、刺激をもらうことは稀だから。
スコセッシやリンチの作品は、あくまでも「堪能するもの」であって、「よし、自分も!」という気にはさせてくれない。
いやむしろ、その完璧過ぎる世界観に落ち込むことのほうが多く、精神的にはあんまりよくない。

ほどよい刺激を提供してくれるのは、やはり、自分と同世代であったり、ひとつ上あるいは、ひとつ下の世代の作品。
負けてられるかっ! という気持ちが起こるから。

というわけで、シナリオ第二稿の創作をスタートさせた。

140分くらいの映像を計算して紡ぐ長編だが、これはシナリオが「基本的に」ひとりで創られるものだから、シロートでも完成までこぎ着けられる長さ。
これが映像作品となると、この長さを完成させるのは、なかなかに難しい。
予算もあるしね。
そうはいっても、30年前に比べれば容易にはなっているわけだが。
なぜならデジタル化の隆盛によって、予算が大幅に軽減出来ているから。(驚いたのは・・・閉幕したばかりのベネチア映画祭で、フィルム上映された公式出品作はポール・トーマス・アンダーソンと、北野武の作品だけだった、、、ということ。武が意外と意固地「出来ればずっと、フィルムでやりたい」―であったことは、うれしいけど)

未来の映画監督たちは、名刺代わりの意味で短編映画を制作する。
これまでは「名刺だから、短く完結に」という理由のほかに「予算的に、長編は無理」という事情もあったが、デジタル化によって後者はなくなるかもしれない。

日本の劇場は「日米」が主流ではあるものの、世界中の映画を上映してくれる―という点で恵まれてはいるが、短編映画には優しくない。

映画小僧はともかく、
一般の映画ファンは、好きな俳優が出ていないかぎり、レンタル屋さんで借りようと思うひとも少ないだろう。

小説では短編も長編も同じように受け入れられるのに、これじゃあ短編映画が不遇である。

料金の問題?

分かるけど。
だったら、3本立てくらいにすればいいだけで。


以下に挙げる短編映画は、短編にカテゴライズするには長過ぎる作品も含まれる・・・が、自分のなかで「長編とはいえない」と思っている、、、ということで。

野心的な映画小僧が習作として撮ったものもあれば、ベテランが敢えて撮ってみたものもある。
ただ一点だけ共通するものがあって、それはもちろん、映像の力を信じている、ということ。

素晴らしいじゃないか。
それだけでもう、なんというか、泣けてくるじゃないか。


『カルネ』(94)
世紀の傑作『カノン』(98)の前日譚。
約40分だが、くだらねー長編に触れるのだったら、これ3回くらい観返したほうが人生「確実に」得をする。

『π』(97)
数学的パラノイアを描いた、ダーレン・アロノフスキーの劇場デビュー作。
尖った感じが、いかにも新人っぽくていい。

『担え銃』(18…文末動画を参照)
チャップリン短編時代の代表作のひとつ。
のちの『独裁者』(40)に通ずる描写が散見されて興味深い。

『アルファベット』(68)
これ一本で、デヴィッド・リンチはアート界の「ときのひと」に。
何度観てもわけが分からないが、リンチらしさ全開で飽きない。

『ニューヨーク・ストーリー』(89)より、『ライフ・レッスン』
変化球として選出。
いわゆるオムニバスで、ニューヨーク派と称される三巨匠―スコセッシ、コッポラ、ウディ・アレン―が愛しの街を背景に物語を綴っている。
『ライフ・レッスン』は、もちろんスコセッシが担当したもの。

『ラ・ジュテ』(62)
静止画像を繋げて展開される、静謐で幻想的な物語。
ここからヒントを得て制作されたのが、テリー・ギリアムの『12モンキーズ』(95)。

『四月物語』(98…トップ画像)
岩井俊二が松たか子を起用して制作した、小さな小さな物語。
しかし。
ひょっとすると、自分のなかで岩井映画の最高傑作か、、、と。

『フランケンウィニー』(84)
ティム・バートンがディズニーに在籍したころに撮った、「らしさ」に溢れたファンタジー。
チョイ役で、いまをときめくソフィア・コッポラが出演している。

そして本年、セルフリメイクしたゴージャス版の『フランケンウィニー』が公開される。

『アンダルシアの犬』(28)
鬼才ルイス・ブニュエルと、画家のサルバドール・ダリによる共作。(個人的にコラボってことば、恥ずかしくて使えない)
物語のない16分の映像だが、インパクトという点で21世紀でも充分通用する。

『アリス』(88)
ヤン・シュヴァンクマイエルが独自に変態的に解釈した、『不思議の国のアリス』。
深夜に偶然観て、「これは!」と唸った。


※器用な不器用、チャップリンの面目躍如




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