Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

『拝啓、〇〇様』(13)

2019-03-16 00:10:00 | コラム
~北野武の巻~

第一夜:北野武のキャリアを我流紹介
第二夜:北野武への手紙

きょうは、その第一夜。

あまりにも濃密なキャリアを送っているひとなので、かなり端折ってまとめてみよう。

本名は北野武、芸名はビートたけし。
文化人としては前者、そのほかの場合に後者という風に名前を使い分けている。

20歳を過ぎたころに芸人を目指し始め、25歳でストリップ劇場『フランス座』のエレベーターボーイに。

幕間コントの芸としてタップダンスを習得、
やがて兼子二郎(のちのビートきよし)と出会い、ツービートを結成する。

とはいえすぐに売れたわけではなかった。
先鋭化していくギャグ―「寝る前にちゃんと絞めよう親の首」―は好き嫌いが分かれ、漫才ブームが訪れなかったら、北野武もここまでの存在になっていなかったかもしれない。

漫才ブームは文字どおり一過性のものであり、期間としては80年から82年あたりでわずか2年ほどのことだった。
スターになったはずの芸人のなかにも消えていったものは多く、相方のきよしも生き残れなかった(とされている)。

生き残ったたけしは黄金期を迎え、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)や『スーパージョッキー』『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ)などの高視聴率バラエティをいくつも放ち、
テレビでみせる芸をさらに先鋭化させたラジオ番組『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で信者を生んだ。
そんな信者たちのトップ(?)が、のちの「たけし軍団」を構成するメンバーだった。


86年12月9日―。
有名人とプライバシーの問題を突きつけることになった「フライデー襲撃事件」を起こす。

我々はそんな風な視点で捉えたが、たけし本人は身内を守りたかっただけだったのだろう。



ただ「軍団を連れていくべきではなかった」と後悔のことばも残している。
(このあたりをふまえて『HANA-BI』(98)を観ると、とても興味深い。=「一般のひとは、自分の周囲のことだけで精一杯なんだよ」)

89年、『その男、凶暴につき』で映画監督デビューを果たす。

深作欣二が降板したことによる「代打」ではあったものの、「その他大勢」の異業種監督とはちがい、映画的センスがずば抜けていることは誰の目にも明らかだった。

以降、コンスタントに映画を撮るものの興行的には惨敗、批評的には「まあまあ」だったが、海外の一部識者から高評価を受けるようになる。

94年、バイク事故により顔面に後遺症が残るほどの怪我を負う。



皮肉なことに北野映画は、事故復帰作(=96年の『キッズ・リターン』)から興行的な成功をおさめるようになった。

98年、『HANA-BI』でベネチア映画祭の金獅子賞を受賞。


現在72歳、
去年、自らが立ち上げたオフィス北野からの独立により「ちょっとした? 騒動」が起こる。

軍団たちの今後も気がかりではあるものの、映画ファンとしてはそれ以上に、新作の制作や配給がどうなるのか心配なのであった。


ではあすの第二夜で、北野武への手紙を展開してみよう。


※バックコーラスのおねいさんたちも、あぁ時代だなぁって思う



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明日のコラムは・・・

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graduate

2019-03-15 00:10:00 | コラム
♪ あぁ卒業式で泣かないと、冷たいひとといわれそう ♪


ブログで、何遍もいってきたことだけれども・・・

斉藤由貴の熱狂的なファンだったし『卒業』を名曲であると評価したうえでいえば、

上記歌詞の感覚が、ずっと分からないでいた。

卒業式で泣く感覚。
もっといえば、卒業式を「すごく大事なこと」として描くドラマや映画への違和感。

『3年B組金八先生』のシリーズがCSのTBSチャンネルで流れていると、けっこう好きだし面白いから何度となく観てしまう。
しまうのだが、卒業式を必要以上に盛り上げる演出や、答辞を問題児だった生徒に務めさせる「恒例の展開」だけは理解が出来なかった。

それはたぶん、自身の経験に根差したものなのだろう。


小学校の卒業式―。

99%の生徒が同じ中学校に進学するので、なーんの感慨もなくヘラヘラしていた。

ふたりだけだったかな、私立に入学するため離れ離れになるが、ふたりとも笑っていたように記憶する。

ただひとり、瞳という子だけが泣いていたんだっけか。

小4のときに転校してきた子だ、たしか都会からだったんじゃないか、やっぱり都会の空気を吸ってきた子の感受性は強いな、、、と皮肉なことを考えていた。


中学校の卒業式―。

肥満児だったから、楽しいことなんてひとつもなかった。

ひとり拗ねているガキだったので分かり合える友もおらず、別れに対し感情が動くこともなかった。


高校の卒業式―。

1年時で進路を決めてしまったため、残り2年が苦痛でしかなかった。

卒業式の感想は、これで東京に行ける、せいせいするなぁ! だった。


専門学校の卒業式―。

群馬時代とはちがって分かり合える友も出来たが、もういいトシなので泣くわけもなく。

だいいち、録音コースが選曲した卒業生入場の曲が上々颱風(!)だったから、笑ってしまい涙どころではなかった。


こんな感じで生きてきた男が、ドラマで描かれる卒業式で感動するわけもないか。

正直、シラケてしまう。


これは時代がそうさせたのかな、いまのアンチャンネーチャンもさすがにこういうので感動はしないだろう、古臭いのヒトコトで終わるかな・・・と思っていたのだが、

卒業を背景にしたカルピスの最新CMを観て、



えー。

やっぱりみんな、そんな感じなのかなって。(そういやソフトバンクのCMもそうだね)


そういう想い出がない自分は珍しいのかなぁ・・・。

ちがうと思うけれど、実際はどうなんだべか。

(映像とかやりたいと思う連中は、みんなクソみたいな青春時代を送ってきたと信じているところがあるから余計にそう思う。つまりあれだよ、連中がこんな演出をするのは、自分が経験してこなかったから「敢えてやっている」のではないか、、、と)


※この曲も好きだな。

ヒトエちゃん以外はいろいろあったけれど、いろいろあるのが人生だものね。

魔性の女っぽくなってしまった上原多香子、未だ好きですよ。

次にhiro。

ただ昔から今井絵理子は、なんとも思わなかったなぁ。。。



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映画監督別10傑(43)リチャード・ドナー

2019-03-14 00:10:00 | コラム
~リチャード・ドナーのキャリア10傑~

前々回で取り上げたトニー・スコット同様、80~90年代のハリウッドでメガヒット作を「何度も」放ったヒットメーカー。

もう88歳、というかコッポラやスコセッシの上の世代であることに驚いちゃった。


ホラーにアクション、SFやコメディ。
オールジャンルに対応出来る監督だったんだなぁと、あらためて感心。

さすがにしんどいのか、10年くらい新作が発表されていないけれど、自分の青春時代を彩った監督なので、もういっちょドナー節を!! とか期待しちゃうのよね。


(1)『オーメン』(76)



このショットだけで充分に怖い、雰囲気抜群のホラー。

6月6日、午後6時に生まれた「悪魔の子ダミアン」をめぐる物語。

趣向を凝らした殺人(?)シーンが鮮烈。


(2)『リーサル・ウェポン』(87)

回を追うごとに派手になっていくシリーズだが、第1作目のマーティン・リッグス(メル・ギブソン)は自殺願望を宿す型破りな刑事という設定に重きを置いた、いわゆるアンチヒーローのキャラクターだった。




(3)『グーニーズ』(85)

これを楽しめない少年少女なんて居るのだろうか。

冒頭から終幕まで、ひたすらワクワクが止まらない「青春」冒険活劇。




(4)『マーヴェリック』(94)

50年代に放送されていたテレビシリーズを、メル・ギブソンとジョディ・フォスターの主演で映画化したコミカルな西部劇。

「陰」の一切ないキャラクターを演じるのはジョディにとって初であったろうが、こういうジョディもチャーミングで悪くないね。


(5)『スーパーマン』(78)

じつは個人的には、それほど思い入れのないシリーズ。

湖の水を凍らせてそれで火災を防ぐなど「3」が最も面白かったと思うが、パート1の無駄に豪華なキャスティング(だってマーロン・ブランド出ているし)も、観ているだけで楽しくはあった。


(6)『リーサル・ウェポン2』(89)

前述したように、1作目のキャラクター設定はどこへやら? みたいな描写はつづくものの、「3」や「4」に比べればまだ観られる・・・と思えたのはたぶん、ヒロインのパッツィ・ケンジット(本業はシンガー)が魅力的だったからでしょう。




(7)『3人のゴースト』(88)

何度も舞台化・ドラマ・映画化されているディゲンズの『クリスマス・キャロル』を、現代風にアレンジしSFXを駆使、さらにコミカルな味つけをした佳作。

仏頂面が個性のビル・マーレイは、冷酷な主人公にぴったり。


(8)『暗殺者』(95)

脚本はウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)、主演にスタローンとバンデラス、そしてジュリアン・ムーアが共演したアクション。

闇の世界の世代交代をスリリングに描いて面白いが、このころパッとしなかったジュリアンの、その後の飛躍ぶりを思うと感動的でさえある。




(9)『ロストボーイ』(87)

こちらはプロデュース作品。

ティーンたちの吸血鬼騒動(?)をポップに描きスマッシュヒットを記録、このころのキーファー・サザーランドはワルガキを演じさせたらピカイチだった。


(10)『レディホーク』(85)

ルトガー・ハウアー、そして有名になる直前のミシェル・ファイファーが主演したファンタジー。

東京国際ファンタスティック映画祭に出品された目玉映画のひとつであり、お年玉のすべてを使って観にいった記憶が鮮烈に残っている・・・ものの、本編そのものの記憶は「なぜか」ゼロだったりする苦笑

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『graduate』
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2時間ドラマ、なくなるってね

2019-03-13 00:10:00 | コラム
なくなるのかな、それとも、もうなくなったのかな、ネット記事で、そんなような見出しを目にした。

という自分は『火サス』などを熱心に観てきたタイプでもないので「隔世の感」みたいなものは抱かないのだが、
「ネット配信の映画」という新しい形式が登場する時代だもの、
テレビドラマも「そのまんま」というわけにはいかないのか、いろいろたいへんだなぁ・・・とは思う。

各局はこれからどんな番組を放送していくのだろう、情報系やバラエティがメインになるのかな、それとも1時間のドラマを増やしていくのかな。

これと似た現象が、20年くらい前に起こった。
各局が放送していた「○○映画劇場」は、レンタルビデオ文化の浸透により視聴率が低迷、そのほとんどが姿を消した。

これにより、映画批評家の存在が一般のひとに認知され難くなった・・・と自分は思っているのだが、
それはともかくとして、
おや? と思うのが、生き残っている「金曜ロードショー」(日本テレビ=何度も生まれ変わっての、いまの姿『ロードSHOW!』だけど)の視聴率。

悪くない、、、というか、かなりよい成績なんだよね。

毎回とまではいかないみたいだが、先日放送された『カメラは止めるな!』(2018)はもちろん、細田守のアニメーション、ジブリ系などは何遍やっても高視聴率というじゃない、

※びっくりするのが、ジブリや『ハリーポッター』シリーズのあいだに、この映画が歴代高視聴率にランクインしていること。
まぁ面白いのだけれども笑




ということは、、、だ。

ちょっと単純に過ぎるかもしれないが、制作費より放映権料のほうが安くつくはずなのだから、新番組よりも映画をばんばん流すべきじゃね?

テレビをつけたら「たまたまやっていたのでなんとなく観ていただけなのに、いつの間にか引きこまれた」みたいなことが、かつてあったわけですよ。

そんな映画との出会いも、悪くないと思わん?


ただこれは映画ファンだからそう思えるのであって、テレビマンたちは「映画の力を借りずに俺たちだけの力で人気番組を作ってやる!!」とか闘志を燃やすのでしょうなぁ。。。

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『映画監督別10傑(43)リチャード・ドナー』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(284)

2019-03-12 00:10:00 | コラム
あー「めん」→「めん」るい(麺類)

好きな麺類を、細かなメニューで10種まで挙げてみる。

(1)ジャージャー麵
(2)塩焼きそば
(3)長浜ラーメン
(4)ミートソーススパゲティ
(5)天ぷらそば
(6)カレーうどん
(7)長崎ちゃんぽん
(8)喜多方ラーメン
(9)明太子スパゲッティ
(10)冷やし中華

・・・こんな感じかな。

あすには変わっている気がするけれど笑

結論をいえば、ヒトナミに麺類が好きであると。

ただ米・パン・麺の順になるから、「麺類大好き!!」というわけではない。


少し前か、外国人観光客が日本人のラーメンの「ずずずぅ~~~」音が不快だとかいうネットニュースに触れたことがあるが、
スパゲッティ・パスタはともかく、ラーメンやそば、うどんは「ずずずぅ~~~」といきたいよね、
逆にいかない日本人はどうかと思うし、
外国人にしたって、ウチらを真似て豪快にいってほしい。




以下、映画のなかで印象的な麺類の5選。

『ブラック・レイン』(89)

トップ画像は後半、箸の使いかたが上手になったマイケル・ダグラスがうどんを食するところ。

こちらの動画は、前半、健さんの食べるざるそばに反応したアンディ・ガルシアが「美味そうだな」というシーン。




『花様年華』(2000)

水筒より多機能に見える携帯型ポットというのか、そこにラーメンみたいなものを入れ、昼食を取るマギー・チャン。

ヒロインの生活水準がいまひとつ分からず、だから、これが香港の一般的スタイルなのかはっきりしない・・・けれど、ギャップというやつですか、なんかこのさまでさえ色っぽく見える。




『グラン・ブルー』(88)

パスタをバカ喰いするジャン・レノ。

公開当時、これにキュンとくる女子が多く―少なくとも自分の周囲はそうだったんだ―、だから自分はこのころから無精髭を生やし、パスタをよく食べるようになった笑


『タンポポ』(85)

グルメ映画をコメディタッチで展開するべく、ウェスタンの作劇を取り入れたという発想の勝利。

とはいえ思春期の男子にとっては、ラーメンうまそ~♪ ではなく、生卵の口移しキスばかり注目したわけなのだ。


『ガンモ』(97)

風呂に浸かりながらスパゲッティを食べる少年。

この少年の、スパゲッティ(=spaghetti)のアクセントが素晴らしくキュート。



ハーモニー・コリンの話題作だが、「壊せばいいってものではない」といった識者が居た。

うん、分かる。

分かるが、この映画には、単に奇をてらったわけではないであろう、創り手の魂が宿っている。

それは、きちんと観てもらえれば分かると思う。


次回のしりとりは・・・
めんる「い」→「い」ど。

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明日のコラムは・・・

『2時間ドラマ、なくなるってね』
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