Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん女優列伝(309)山田五十鈴

2022-02-08 06:36:33 | コラム
17年2月5日生まれ・2012年7月9日死去、享年95歳。
大阪出身。

巧いなぁ、イヤミなほどに―と思う日本の女優さんを若手から列挙していくと…

伊藤沙莉、二階堂ふみ、満島ひかり、斉藤由貴、大竹しのぶ、

樹木希林、乙羽信子、杉村春子、

そして山田五十鈴(やまだ・いすず)さんです。


とくに杉村春子と五十鈴さん。


恋多きおんなとしても有名ですが、スケールがでか過ぎて、我々の倫理や道徳で断罪することなんか出来ないひとだったのかな、、、そんな風にも思いますよね。

黒澤信者ゆえ代表作と問われれば『蜘蛛巣城』と即答しますが、じつはそれ以前のキャリアがとんでもなかったりするのです。


※デジタル化によってだいぶ分かり易くはなったけど、それにしても台詞が聞きとりづらくって…(^^;)



<経歴>

父は新派俳優・山田九州男、母は売れっ子の芸者さん。
娘は女優の瑳峨三智子。

五十鈴さんは4度結婚していますが、瑳峨さんは月田一郎(最初の旦那)とのあいだに生まれました。



30年、日活に入社。
父親との関係もあり、新人でありながら厚待遇であったそうです。

映画俳優デビュー作は、同年の『剣を越えて』。
主演は大河内傳次郎、本作について自分が多くを語れないのは、観てないからです(^^;)

この30年には『元禄快挙 大忠臣蔵 天変の巻・地動の巻』、『素浪人忠弥』、『興亡新選組』などの数々の話題作に出演、瞬く間に日活の売れっ子俳優となりました。

31年…『殉教血史 日本二十六聖人』『続大岡政談 魔像解決篇』『仇討選手』
32年…『國士無双』『弥太郎笠』『闇討渡世』『白夜の饗宴』
33年…『真珠夫人』『盤嶽の一生』『月形半平太』『丹下左膳 第一篇』

34年…『武道大鑑』『風流活人剱』『ちりめん供養』『丹下左膳 剣戟の巻』『忠臣蔵 刃傷篇 復讐篇』『愛憎峠』
35年…『折鶴お千』『マリヤのお雪』『父帰る 母の心』『新納鶴千代』

この34~35年に日活を退社したり子を身ごもったり移籍があったりと、大忙し。
でありながら、これだけの映画に出演しているって、濃密ですよね…。


36年…『浪華悲歌』『祇園の姉妹』『沓掛時次郎』
37年…『大坂夏の陣』
38年…『静御前』『鶴八鶴次郎』
39年…『その前夜』

40年…『新妻鏡』
41年…『昨日消えた男』
42年…『待って居た男』『婦系図』
43年…『歌行燈』
44年…『芝居道』『四つの結婚』
45年…『名刀美女丸』『勝利の日まで』 
46年…戦後1作目となった『檜舞台』、『或る夜の殿様』

第2次東宝争議により同志たちと「十人の旗の会」を結成、これが新東宝映画製作所の設立へとつながっていきますが、五十鈴さんはすぐに退会、
そのほか50年代にはレッドパージの対象にもなるなど「揺らぐ時代」もありましたが、「演じるためには」という精神に貫かれているため、ブレている感じはしないのですよね~。

47年…『東宝千一夜』『女優』
48年…『小判鮫』
49年…『甲賀屋敷』

50年…『殺陣師段平』
51年…『おぼろ駕籠』『我が家は楽し』『鞍馬天狗 角兵衛獅子』『海の花火』『大江戸五人男』『薩摩飛脚』
52年…『母なれば女なれば』『箱根風雲録』『赤穂城』『續 赤穂城』『月形半平太』『現代人』
53年…『江戸いろは祭り』『加賀騒動』『女ひとり大地を行く』『女間者秘聞 赤穂浪士』『縮図』『雲ながるる果てに』『あばれ獅子』『ひろしま』
54年…『唐人お吉』『地獄の剣豪 平手造酒』『からたちの花』『億万長者』『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』
55年…『愛すればこそ』『愛のお荷物』『番場の忠太郎』『路傍の石』『たけくらべ』『青銅の基督』『人生とんぼ返り』『石合戦』『源義経』
56年…『夕やけ雲』『母子像』『病妻物語 あやに愛しき』『京洛五人男』『猫と庄造と二人のをんな』『流れる』『続源義経』

57年…『蜘蛛巣城』『東京暮色』『大忠臣蔵』『どん底』『黒い河』『下町』『侍ニッポン』


58年…『四季の愛欲』『暖簾』『眠狂四郎無頼控 魔剣地獄』『悪女の季節』『大東京誕生 大江戸の鐘』
59年…『風来物語 仁侠篇』

このあいだに俳優となった娘ともスタジオで再会したそうですが、娘は自分を捨てた母を許しておらず、最後まで関係は冷え切ったままだったようで涙
(瑳峨は92年に死去)

60年…『予科練物語 紺碧の空遠く』『ぼんち』『草間の半次郎 霧の中の渡り鳥』『夜の流れ』

61年…『もず』『大坂城物語』『用心棒』『釈迦』


62年…『三百六十五夜』『秦・始皇帝』

このころより活動の場を舞台とし、映画への参加は激減します。
また、『必殺からくり人』から始まるテレビドラマ『必殺』シリーズ(テレビ朝日、76~)での演技も好評で、世代的に自分なんかは映画よりもドラマで五十鈴さんを知った、、、のかもしれません。

80年、帝国ホテルの一室で生活を送り始める。
(安全上の理由などによる)

その他の映画作品に…
『大奥㊙物語』(67)、『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』(75)、
『疑惑』(82)、『必殺! THE HISSATSU』(84)、『必殺! ブラウン館の怪物たち』(85)。

2002年に脳梗塞を患って以降は、公の場に姿を現さなくなりました。

2012年7月9日、多臓器不全により鬼籍に入る。
享年は95歳、映画の遺作は『必殺!』になりますね。


「おっかない」「勝気な」イメージが強いのは、やっぱり黒澤映画の影響でしょうね。
そのなかでも「唯一」愛嬌があったのは『用心棒』の「おりん」かな、

今度の休日、ちょっと観直してみようかと思います。

何度も観ている映画ですが、いつ観たって面白いし、五十鈴さんの巧さに唸るのです^^

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(310)裕木奈江』
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にっぽん女優列伝(308)山田杏奈

2022-02-07 00:10:00 | コラム
2001年1月8日生まれ・21歳。
埼玉出身。

公式プロフィール

ここ2~3年で成長著しい若手俳優、その筆頭にくると思われるのが山田杏奈(やまだ・あんな)さん。
いよいよ21世紀に生まれた俳優さんが映画に主演するようになりました、そりゃ自分もおじさんになりますよ(^^;)

この子はくる! と確信したのは、…まぁ多くの映画ファンがそうだったことでしょう、初主演作となった『ミスミソウ』(2018)です。


日本版キャリーといいましょうか、
ホラーというジャンル映画ですから描写はひたすらえげつないです、ほんとうにもう、イヤになるくらいえげつない。

しかし、そんなえげつない物語と描写がつづいていくなかで、それでも杏奈さんは神々しいほどに清新なままなのです。

これはもう、持って生まれた魅力というほかない、、、みたいな。



<経歴>

「ちゃおガール☆2011オーディション」グランプリ受賞。

少女漫画雑誌『ちゃお』が企画したオーディションで、受賞後は誌面モデルとして活動する。

2013年ごろより本格的な芸能活動を開始、
映画俳優デビュー作は、2016年の『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でした。

『咲―Saki―』(2017)、『野球部員、演劇の舞台に立つ!』(2018)を経て前述した『ミスミソウ』に主演、映画ファンがいっせいに注目する。

『わたしに××しなさい!』(2018)
じつは自分の友人も出演しているオムニバス『21世紀の女の子』のなかの「恋愛乾燥剤」(2019)、
『小さな恋のうた』(2019)、二役を演じた『五億円のじんせい』(2019)、『屍人荘の殺人』(2019)、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020)など出演作が相次ぐ。

このころに出した写真集も好評で、


自分も買うかどうか「たいへん」悩みました^^


『名も無き世界のエンドロール』(2021)、『哀愁しんでれら』(2021)、やっぱりホラーが似合うことを証明した『樹海村』(2021)、

さらに『ひらいて』(2021)で熱演、これはキャリアでふたつめとなる代表作といえると思います。


最近作に『彼女が好きなものは』(2021)、まもなく公開される『HOMESTAY』(2022)。


乗りに乗っていますが、先月下旬コロナウィルスに感染。

もう復帰しましたかね、こんなことで躓くことなく疾走をつづけてほしいです。

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『にっぽん女優列伝(309)山田五十鈴』
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けっしてNGではありません^^

2022-02-06 00:10:00 | コラム
いま問題になっている漫画の違法ネタバレサイト(=摘発された)とは別の話です、こっちは著作権が絡んでいるから問題なのだけれど、

自分、映画のネタバレ、それからスポーツの結果を先に知らされてしまっても「なんだよ、このー!」みたいに怒ることはないのですよね。

なんというか、それはそれとして、それを知ったうえでもぜんぜん楽しめるというか。

自分みたいなタイプ、けっこう少ないのかもしれない。

古くはヒッチコックが『サイコ』(60)でネタバレ厳禁を宣言、


『クライング・ゲーム』(92)とか『ユージュアル・サスペクツ』(95)とか、その最たるものだとは思う…ものの、オチや衝撃展開を知ったうえでも自分は楽しめるなぁ。


けれどもTwitterでは「ネタバレするひとだからフォロー外してブロックした」みたいな呟きをよく見るし、

『RIZIN』とかでも地上波放送前にYahoo!に結果記事が出てしまうことに対し、毎回毎回怒っているコメント目にするからね。

どっちがアアダコウダというつもりはないのだけれど、
いっぽうで信じられないのが初見だといっているのに、地上波の映画をTwitterで呟きながら観ているひととか居ると「集中しないの?」と思うことはあるし、そんなひとが同じアカウントで「ネタバレ許せん!」とかいっていると、さすがに?????とはなるわけです^^


※ネタバレ厳禁の映画といえば、いまはコレでしょう


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映画スタッフ別10傑(47)リチャード・D・ザナック

2022-02-05 00:10:00 | コラム
~リチャード・D・ザナックのキャリア10傑~

まるでマフィアのような、とっても怖い顔をしているザナックは、たしかにキレモノではあるけれど柔軟な面も持ち合わせたプロデューサーだったようで。

2012年に72歳で鬼籍に入る。
父親ダリル・F・ザナックも高名なプロデューサー(=ジョン・フォードと組み数々の名作を生む。また、『トラ・トラ・トラ!』(70)では黒澤と衝突した)、でも自分の世代は息子さんのほうが馴染み深いのよね。


(1)『ジョーズ』(75)

スピルバーグの残虐性、底意地の悪さが光るパニック映画の大傑作。

うまく動いてくれないサメのラジコンーザナックはその扱いに口を出さなかったようなので、スピルバーグを信用していたのだろうね。



(2)『サウンド・オブ・ミュージック』(65)

最もポピュラーなミュージカル、、、なんじゃないだろうか。

好き嫌いを超えて、この大作感に圧倒されちゃうんだもの。
(どうやら自分は、そこまで好きじゃないらしい笑



(3)『ドライビング Miss デイジー』(89)

老女とその黒人運転手の長きにわたる友情を描いた、オスカー作品賞受賞作。

モーガン・フリーマン、このころからよい味を出しているんだよね。


(4)『評決』(82)

ポール・ニューマン主演、シドニー・ルメット監督による法廷劇だが、ニューマン演じる酔いどれ弁護士の再起の物語のほうが主軸。

たぶん、自分が最初に観たニューマンの映画だったと思う。



(5)『コクーン』(85)

現代人の死生観に迫る意欲的なSFだが、SFの割には「そうでない映画」以上に地味かもしれない。
ザナックは意外と、派手さを好まないひとなのかも。

一時期、日曜洋画劇場が暇さえあれば?放映していた作品で、自分も何遍観たか覚えていないほど。


(6)『狼たちの街』(96)

マオリの血を引く(当時の)新鋭、リー・タマホリによる男くさいアクション。

でも、そんなことよりもジェニファーが素敵過ぎて笑



笑ってしまうのがウィキペディアの解説で…
「似たタイトルの映画にウィリアム・フリードキン監督の映画『L.A.大捜査線/狼たちの街』(TO LIVE AND DIE IN L.A.)というのがある」

…って、なんだそれは。

そんなのいちいち挙げていいのであれば、いろんな作品についていえるだろが!笑


(7)『ターゲット』(85)

ジーン・ハックマン&マット・ディロン主演のサスペンス。

ニューシネマ前後に活躍したアーサー・ペン監督、しかしキレのある演出は健在だった。


(8)『アイガー・サンクション』(75)

イーストウッドの主演&監督作のなかでは「凡作」扱いされてしまうのだが、いやいや、特撮で済ませず、実際に登山して撮られた映像の迫真性は凄まじいものがあり、もうそれだけで満足出来ると思うけど?


(9)『ロード・トゥ・パーディション』(2002)

トム・ハンクス主演、グラフィックノベルを映像化した話題作…だったはずなのに、いま、この映画を語ろうとする映画ファンを見かけない。


雰囲気あって嫌いじゃないけれどね、忘れられた不憫な映画かもしれない。


(10)『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)

晩年はティム・バートンと気が合ったようで、いくつかのバートン作品を手がけている。
これは、そのなかでもいちばんバランスが取れている映画だと思う。

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かーちゃんまで、あと1年。

2022-02-04 00:03:00 | コラム
48歳になりました。

かーちゃん死んだのが49歳だったので、あと1年で追いついてしまう。

信じられないなぁ、
ぜんぜん、実感がわかないなぁ。

とりあえずは、それを追い越すことが親孝行というものでしょう。
(そんなこといって、100歳でもくたばらない鋼鉄ジジイになりそうだけど(^^;)

数年前までは「誕生日に起こった出来事」を大長文で記してきたけれど、さすがにネタ切れなので、本日は短めに、しんみり系?でいきます。


かーちゃん、こんなしょーもないヤツですが生きてます。

生んでくれてサンキューです。

この世は美しい、戦う価値があります。

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『映画スタッフ別10傑(47)リチャード・D・ザナック』
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