僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

もっと速いもの

2006年10月13日 | SF小説ハートマン
「これを見てごらん、宇宙君。面白いよ。」
おじさんは大きな図鑑を広げて僕に見せた。いろんな乗り物のスピード競争が絵になっている表だった。初めて見たけどすごく面白い。僕が見ている間におじさんは
「電卓、電卓っと。」
と言いながら計算器とメモ帳を出してきて僕の横に座った。

「ほら、ジャンボジェット機が時速900㎞、車の10倍くらいの速さだね。時速って言うのは1時間走り続けるとどの位先まで行くかって事なんだけど、宇宙君は知ってるよね。」
「うん大体。じゃあロケットは?」
「それは次のページだ。ほらこれ、ロケットは時速じゃなくて秒速だ。1時間も計ってられない位速いから、1秒間にどれ位進むかで比べるんだ。」
「8㎞って書いてあるね。」
「そう、正確には秒速7.9㎞以上で地球を回る軌道に乗る。ということは、」

おじさんは電卓をたたいた。答えの数字を僕に見せながらつづける。
「ほら、時速に直すよ。1時間は60分。だから×60。1分は60秒だから×60。時速28440㎞だ。」

「やっぱりロケットが一番速いんだね、おじさん。」
「そうだね、乗り物だったらね。」

「え?じゃあ、まだ速いものってあるの?」
「それが今日の話の始まりなんだ。」

「ハートマンの話じゃないの?」
「宇宙君、ハートマンの大事な話だ。こんな話、つまんないかい?」    つづく
コメント (11)
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