僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 甘くなる?

2009年04月02日 | お知らせ
いくら待っても彼女の視線が辰雄と交わることはなかった。

辰雄のウォークマンはハービーマンのメンフィスアンダーグラウンドをプレイしている。

特別理由があったわけではなくメニューから曲目をスクロールしているうちに目に付いただけだ。
最近聞いてなかったけれど、何か行動を起こしたくなるリズムを体が求めたのだろう。


視線を窓の外に移し、つま先でリズムを取りながら今日は花を見逃さないようにしようと思った。


車内は乗客の熱気で温度が上がっている。

エアコンはまだ冷房になっておらず、コートを着た乗客はうっすらと汗をかき始めていた。

角砂糖は熱では溶けない。
溶かすには水分が必要なのだ。

水分があれば熱がなくても溶けるのだ。


溶ければ甘くなる?
そう、溶かせば甘くなる。

曇って外が見えなくなった窓ガラスを
花がのぞけるようにとそっと指先で拭った。

























コメント
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