僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 いいこと

2009年04月15日 | ケータイ小説「パトスと…」
目を望遠レンズのようにして後を追った。

その人はお揃いの青い制服を着て、二人ずれだった。
交差点を渡りきると向かい側のオフィスビルに消えた。

あっという間の時間だったが妙に嬉しいような気持ちで窓ガラスに額を付けていた。
もう一度戻って姿を見せて!とテレパシーを送れば伝わるような気もして、力を入れて念じてみたが、通りかかった同僚に「何やってんだお前」と言われて照れ笑いをする辰雄だった。


その日の仕事はなぜか順調で、ちょっとしたことで上司に誉められたり得意先から直接海外土産の菓子を手渡されたりした。

こんな日もあるのかとうきうきした気持ちにつられて、駅までの帰り道ちょうど売り出されたジャンボ宝くじを10枚買ってしまったりもした。

その人が「当たるかも」と言ったような気がしたのだ。







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