黄金の絨毯

makotoは、こういうところで育った。
水田を荒らしちゃいけないと、近所の人にも、学校でも、もちろん家でも言われて育った。
畑を荒らす男の子たちでさえ、水田は荒らさなかった。
子供心にこいつはシャレにならないと感じていたものだ。

地域で大切に育てられた稲は、収穫を迎えている。
農家じゃなくても、こうして無事に実っているのを見ると、なんだかとてもありがたい。

広い面積を占める水田は、季節ごとに色を変え、匂いを変える。
春。枯れ草を掘り起こすと土が顔を出し、黒くなる。
と同時に、暖かく湿った土の匂いが地域を覆う。
風が冷たくたって、春を感じるんだ。
そして田植え。梅雨。。。

梅雨が明ける頃には、勢いのいい稲ですっかり覆われ、まるで緑の絨毯。
風とともに、若い青い匂いがやってくる。

少し乾いたような匂いとともに、黄金色の絨毯が一面を覆う。
収穫と脱穀が始まると、村は粉っぽい糠っぽい枯れ草っぽい匂いになる。
もうすぐ。