たけ「ママ、大事件があったんだよっ!!!」
ママ「あぁ~?」
たけ「ママが居なかった夜ね、ピンポーンって鳴ったから、美鞠が出ようとしたんだけど、危ないから、たけ、美鞠に上に居るように言って、だだだって階段降りて、ドア開けたんだよ」
「そしたら、どうしたと思う???
「女の人が、すごく泣いて、なんだか言ってたんだよっ!!!」
ママ「ほぉ~」
たけ「たけ、すんごく怖くて、バン!ってドア閉めようと思ったよ!」
「だけど、いけない、いけないって、我慢して、話しを聞いたら、彼氏に殴られて血が出てるから救急車呼んでくれって言うんだ」
「たけ、だだだって階段登って電話取って来て、000(緊急ナンバー)を押して、はいって女の人に、ドアの隙間から手を伸ばして渡したんだ」
「女の人は、オペレーターと話しをして、救急車を呼んだんだよ」
ママ「へぇ~!」
たけ「たけ、そのまま、電話を返してもらって、ドアをバン!って閉めたかったんだよぉ~」
「だけど、すんごく我慢して、救急車が来るまで、女の人と一緒に外で待ってたんだ」
「すんごく、怖かったんだよぉ~~!!」
ママ「だけど、あんた、合気道やってるから、もし、悪いやつが来たら、こうやって倒すんだ!って頭の中で、シュミレーションしてたんでしょう?」
たけ「うん!!! すっごくしてたよ!!! 背中から教われないように、壁の近くに立ってたんだ!漫画かなんかで見たんだ!」
ママ「救急車が来るまで、女の人はどうしてたの?」
たけ「女の人は、ガレージのドアによっかかって座ってた」
ママ「んで、たけしは、立ってたんだ?」
たけ「うん!すぐに逃げれるからっ!座ったら逃げれないでしょう?」
ママ「あんた、女の人捨てて家に入らなかったんだ?」
たけ「すんごく怖かったけど、なんか入れなかったんだよ。泣いてたし」
ママ「あはは!だけど、なんでお隣さん呼ばなかったの?? ニックでかいし怖い顔してるじゃん」
たけ「・・・・・・・ママ。。。隣、遠かった。。。」
ママ「ええっ!!! お隣のドアまで、ほんの5メートルだよ!」
たけ「うん、でも、遠かったぁ~」
ママ「あはは!!!!」
「それで、救急車はどれくらいで来たの?」
たけ「5分くらいかなぁ」
ママ「あ、すぐ来たんだね。良かったねぇ」
たけ「ええ!すんごい長かったよ!!!!!!」
「たけには、30分も、1時間も待ったように感じたよ!!!!」
毎朝、バスを相手にポーカーフェイスの訓練をしているだけあって、腹の中は逃げる事ばっかり考えていたけど、涼しい顔をして女の人と一緒に救急車を待ち、救急隊員が来たら女の人を渡して家に戻ったそうな。
家のドアを閉めたとたん、でっかいため息が出て、すんごく幸せになったのだそうな。
隣が遠いって! 5分が長いって! たけし、頑張ったねぇ~
もう、可笑しくて、可笑しくて、倒れそうだ(笑)
女の人が、救急車に乗る時に、何度も何度も「ありがとう」って言ってくれたんだって。頑張って良かったと思ったって。
いやぁ~ たけし、男だねぇ。
顔見た瞬間、ドアをバン!って閉めなくて良かったねぇ~ あはは!
やっぱり、合気道と剣道やってるから、少し自分に自信がついたらしく、女の人と一緒に救急車を待っててあげれたらしい。もっと練習して、強くなろうって思ったのだそうな。
母は、このくだりを聞いた時「これか!」と思いましたよ。
武士、強くなる為に、こういう女性を呼んだんだねぇ。
これで練習に身も入るだろうよ。
たけ「だけど、どうしてママが居ない時に来たんだ??」
「いつもは、ママ居るのに、居ない時に来るなんて。。。」
そりゃ、ママが居たら、あんたネトゲーやって出て来ないでしょう。
美鞠を守らなくちゃいけないし、女の人は捨てられないし、武士、大人ってのは、体を張って誰かを守らなくちゃいけないんだよ。
あんた、責任てやつを、ちょっと見ちゃったね(^^)
たけ「うぅ。。。たけ、いやだぁ。。。」
責任、嫌なんですって(笑)
でも、強くなろうって決めたらしいから、良かった良かった。
あとは、数学の授業で寝ないでくれ。
今日も「たけ、博士欲しい」と言ってたけど、寝てたら博士どころか卒業だってやばいじゃん。
たけ「ママ、大学って、どうも自分で勉強するところらしいよ。。。」
「なんだか、レクチャーも完璧じゃないみたいだし。。。」
「先生の作ったノートをコピーするだけじゃ、足りないみたい。。。」
だから、教科書買ったんだから、勉強しなさいっ
ぜんぜん、開いて無いじゃんっ
オーストラリアの大学は、簡単に落とされて捨てられるんだからっ
たけ「うん、わかっているんだけどねぇ。。。」
だめだこりゃ。
ホリデー気分が、まだ抜けてないし。
ま、留年するのは、あんたなんだから。せっかく1年早く大学入ったって言うのにねぇ。ぶつぶつ。せめて、1年目くらいは、するっとクリアーしてくださいよ。
※武士は年度末の12月生まれ。日本で言えば3月生まれと同じ。通常、日本で言う早生まれの男の子は精神的に幼いので、小さい頃に1年留年させるのだ。でも、ちびっこ武士は、絶対留年しない!と言い張ったので、母は、スパルタ教育で息子を鍛えたのでありました。