暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

盆香合

2010年05月22日 | 稽古忘備録
先日のお稽古は盆香合、台天目、茶通箱でした。

5月の風が爽やかに吹き抜ける庵(稽古場)へ伺うと
一休宗純和尚筆「薫風自南来」が床に掛けられていました。

竹筆で書かれた字の擦れが力強く薫風を呼び込み、
禅機とでも云うのでしょうか、書き手の気迫が迫ってくる、
めったにお目にかかれない書でした。
もちろん本物ではなく工芸品で、熱海のMOA美術館に
本歌があるそうです。

炭手前はどれも好きですが、特に盆香合は楽しみな点前です。
香合が名物であったり、由緒がある場合
香合を炭斗に入れずに、後から盆に載せて運び出し、香を焚きます。
床に荘られていたステキな香合を使わせて頂きました。

釜を下ろし、畳中央へ引き終えた頃に
「お釜は?」
「淡々斎お好みの筒釜で、与斎でございます」
「地紋がおありのようですが・・」
「地紋は竹の絵、鐶付が雀になっております」
「鐶は?」
「石目で、釜と共で与斎でございます」

下火を直し、すぐに炭が熾るように隙間を按配しながら
炭を置いていきました。
月型を切ったあとの灰ですが、向こう側の谷へ
灰匙を勝手付きに向けてサラリと撒きました。

灰器を下げ、盆にのせた香合を運び出し、
香(白檀)を手でとり、胴炭の上、向こうと2枚焚きました。
盆にのせた香合を鐶付きに拝見に出してから、客付きで控えます。
香合が正客の縁外におさまってから釜を最初に置いた位置まで引き戻し、
薬缶を持ち出し(薬缶の口が火(風炉)の方へ向くように置く)、
水を注いでから釜を清めます。

いつも通り濡れ茶巾で蓋、釜の向こうの肩、胴、
手前の肩から「つの字」に清めていくと、先生からお声が掛かりました。
「筒釜(長めの釜)ですから三回ずつ清めてください」
釜の向うの肩、胴2本、こちらの肩、胴を「つの字」に清めました。

香合についての問答です。
「香合のご由緒は?」
「悠仁親王さまの初節句をお祝いして作られました
 兜香合でございます。
 親王さまのお印の高野槙を使っておりまして、
 利斎の作でございます」
「高野槙の木目が麗しく、初節句の慶びが溢れる兜でございますね。
 お盆は?」
「利休お好みの桐四方盆でございます」
「香合の槇と同じ白木ですが、それぞれ違う味わいがあり、
 清々しい気持ちで拝見いたしました。ありがとうございます」

稽古のたびにあれこれ考えて話すように心掛けていますが、
問答は難しいですね・・。