散り椿 府立植物園にて
(つづき)
銅鑼の音を聴くのも茶事の楽しみの一つです。
音色と間合いの良さが好ましく、Yさまの日頃の精進が伺えました。
後座の床に、白い鯛釣り草と紅い椿が春の歓びを謳い上げていました。
美しく自然釉がかかる花入は伊賀焼の旅枕でしょうか。
誰が袖棚にたっぷりした染付の水指が爽やかに映えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/48/443d0a2acd04dcbaa47e4eb7cda20a00.jpg)
鯛釣り草と紅い椿
黒の楽茶碗が運び出され、濃茶点前が始まりました。
袱紗捌きの衣擦れの音に心地好く耳を傾けていると、
ゆらゆらと釣り釜が揺らいで、なにやら眠気が・・・。
佳い薫りがして来て、眠りの谷底から覚醒しました。
湯を汲み、しっかりと練ってくださった濃茶の美味しかったこと!
湯の温度も熱すぎず、たっぷりと頂戴しました。
茶銘は錦上の昔、詰は柳桜園です。
前席のお菓子は、白と黄色のきんとん、黄身餡が珍しく新鮮でした。
ご亭主の手づくりの一品でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/35/dd2a688393b8ba2c1bbe4fae7a60a5b1.jpg)
菜の花畑
黒の楽茶碗を手に取ると、釉薬が二重掛けされているのでしょうか。
なだれが胴を一巡りして、独特の景色を作り出しています。
窯元は玉藻焼(たまもやき)、作者は初代・氏家常平でした。
香川県高松市にある高松城は海に面していて、玉藻城と呼ばれています。
柿本人麻呂が讃岐の国の枕詞に「玉藻よし」と詠んだことから、
このあたりは玉藻の浦と呼ばれ、名の由来となったそうです。
私にとって玉藻焼は懐かしい思い出があります。
四国遍路の折、玉藻城へ寄って、疲れた足を休めたことがありました。
そのことが忘れられず、玉藻焼の赤楽茶碗を入手し、今も愛用しています。
玉藻焼の黒楽で濃茶をいただけたことに嬉しいご縁を感じました・・・。
茶入は朝日焼の肩衝、粋な縞模様の仕覆は青木間道です。
茶杓は、方谷文雅和尚作の銘「華衣(はなごろも)」、
中節から下の景色が古代衣裳の「裳(も)」を連想させるステキな花衣です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/3e/333c0d770aa89e80876ab6760c6a5a97.jpg)
煮えが落ちてきたところで、後炭となりました。
釣り釜の初炭も久しぶりでしたが、後炭はさらにご無沙汰しています。
釣り釜が上げられると、炭が綺麗に流れていて、五徳がないせいか、
残り火の姿は一段と胸に迫るものがありました。
炭がご亭主の意のままに選び置かれ、輪胴止めでした。
この時の後炭の風情に心惹かれ、いつかしてみたい・・と思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/9d/533bb6b8b17981366548279d0ab10b5b.jpg)
六角堂(頂法寺)の柳
すぐに煮えがついてきて、薄茶になりました。
干菓子は野菜の砂糖漬け、ハス、サツマイモ、人参、柚子など5種、
これも手づくりです。
ステキな薄茶茶碗が次々と登場し、干菓子をモリモリ賞味しながら、
2服ずつ美味しく頂戴しました。
最後にご自服して頂き、はやお別れの時が近づいて来ました・・・。
相客のMさま、Sさまと愉しく過ごさせて頂きましたが、
ご亭主から懐石のヒントやお点前の刺激をたくさん頂戴しました。
お心こもるおもてなしに感謝しております。
正午の茶事-風吹南岸柳(1)へ戻る
(つづき)
銅鑼の音を聴くのも茶事の楽しみの一つです。
音色と間合いの良さが好ましく、Yさまの日頃の精進が伺えました。
後座の床に、白い鯛釣り草と紅い椿が春の歓びを謳い上げていました。
美しく自然釉がかかる花入は伊賀焼の旅枕でしょうか。
誰が袖棚にたっぷりした染付の水指が爽やかに映えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/48/443d0a2acd04dcbaa47e4eb7cda20a00.jpg)
鯛釣り草と紅い椿
黒の楽茶碗が運び出され、濃茶点前が始まりました。
袱紗捌きの衣擦れの音に心地好く耳を傾けていると、
ゆらゆらと釣り釜が揺らいで、なにやら眠気が・・・。
佳い薫りがして来て、眠りの谷底から覚醒しました。
湯を汲み、しっかりと練ってくださった濃茶の美味しかったこと!
湯の温度も熱すぎず、たっぷりと頂戴しました。
茶銘は錦上の昔、詰は柳桜園です。
前席のお菓子は、白と黄色のきんとん、黄身餡が珍しく新鮮でした。
ご亭主の手づくりの一品でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/35/dd2a688393b8ba2c1bbe4fae7a60a5b1.jpg)
菜の花畑
黒の楽茶碗を手に取ると、釉薬が二重掛けされているのでしょうか。
なだれが胴を一巡りして、独特の景色を作り出しています。
窯元は玉藻焼(たまもやき)、作者は初代・氏家常平でした。
香川県高松市にある高松城は海に面していて、玉藻城と呼ばれています。
柿本人麻呂が讃岐の国の枕詞に「玉藻よし」と詠んだことから、
このあたりは玉藻の浦と呼ばれ、名の由来となったそうです。
私にとって玉藻焼は懐かしい思い出があります。
四国遍路の折、玉藻城へ寄って、疲れた足を休めたことがありました。
そのことが忘れられず、玉藻焼の赤楽茶碗を入手し、今も愛用しています。
玉藻焼の黒楽で濃茶をいただけたことに嬉しいご縁を感じました・・・。
茶入は朝日焼の肩衝、粋な縞模様の仕覆は青木間道です。
茶杓は、方谷文雅和尚作の銘「華衣(はなごろも)」、
中節から下の景色が古代衣裳の「裳(も)」を連想させるステキな花衣です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/3e/333c0d770aa89e80876ab6760c6a5a97.jpg)
煮えが落ちてきたところで、後炭となりました。
釣り釜の初炭も久しぶりでしたが、後炭はさらにご無沙汰しています。
釣り釜が上げられると、炭が綺麗に流れていて、五徳がないせいか、
残り火の姿は一段と胸に迫るものがありました。
炭がご亭主の意のままに選び置かれ、輪胴止めでした。
この時の後炭の風情に心惹かれ、いつかしてみたい・・と思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/9d/533bb6b8b17981366548279d0ab10b5b.jpg)
六角堂(頂法寺)の柳
すぐに煮えがついてきて、薄茶になりました。
干菓子は野菜の砂糖漬け、ハス、サツマイモ、人参、柚子など5種、
これも手づくりです。
ステキな薄茶茶碗が次々と登場し、干菓子をモリモリ賞味しながら、
2服ずつ美味しく頂戴しました。
最後にご自服して頂き、はやお別れの時が近づいて来ました・・・。
相客のMさま、Sさまと愉しく過ごさせて頂きましたが、
ご亭主から懐石のヒントやお点前の刺激をたくさん頂戴しました。
お心こもるおもてなしに感謝しております。
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