どっぷり暗くなった露地に灯火が道を照らして・・・中立にて
8月16日(金)に大文字・夕去りの茶事をしました。
折しも大型台風10号が襲来する予報があり、どうなることやら?と心配していましたが、幸い関東地方は直撃を免れたのでした。
当日の朝、雨が小降りになり、午後には上がりましたが、台風の吹き戻しの風が強く、夜まで続きました。
そんな中で行われた大文字・夕去りの茶事へお客様が遠くから馳せ参じてくださって、もうもう感謝でございました。
お正客は数年前捨意菴(しゃいあん)の茶事へお招き頂いたH氏です。
突然に「閑翁宗拙の茶杓」のことでお尋ねのメールが舞い込み、ご縁を感じてお招きしました。
それに、素晴らしいお茶人さんなので暁庵の拙い茶事にお出まし頂くのは・・・と気が引けて、茶事にお呼びしていなかったのが気になっていました。
次客はM氏。親友Oさまの茶友で、いろいろな茶書の古典を研究している方です。
この機会に古典に精通しているH氏にぜひお引き合わせしたい・・・と思いました。
三客はOさま。暁庵の茶事の常連さんですが、Oさまが居るだけで席がふんわり和やかになります。
四客はPさま。昨年悟朗軒の月釜を主宰され、暁庵は2回も伺ってお心こもるおもてなしを受けました。いつかお招きしてもっと親しくなりたいと思っていたのです。
詰はHさま。お互いに茶事が好きで、今までに何度もお招きし合って切磋琢磨しています。今回はあちこち故障がちだったので、Hさまの存在が頼もしく支えになってくださいました。
迎え付けで、枝折戸のところで座られたお正客様に合わせて、座って一礼を交わしました。
久しぶりに他流(表千家流)のお正客さまをお迎えして緊張感がつのります・・・・。
待合の短冊 「千本鳥居」 市川団十郎画
最初から失敗話で恐縮ですが、いつも迷う夕去りの茶事の花。
夕去りには白い花を・・・前回も書きましたが、16時の席入りから17時の椅子席への動座の間に開花している花を見つけるのが難しく、失敗ばかりしています。
今回は台風のため、当日の朝に採取に出かけたのがまずかったようです。
白い芙蓉が強風に吹かれながらも凛として咲き誇っていました。
2本だけ採取して、すぐ根元を焼き、深水に養って水揚げしました。
もう一つはイタドリ(虎杖)、こちらも白い花でとても地味ですが、大きな花瓶に沢山活けるとステキな味わいになります。
芙蓉とイタドリを1本ずつ桂籠に活け、初座の床の中釘に掛けました。
・・・でも、席入りの16時には凛としていた芙蓉が少ししぼんでしまって・・・・こちらもショボンでした。
(優しいお正客さまは慰めてくださいましたが・・・)
茶事の数日前に八ヶ岳から吾亦紅がたくさん届きました
気を取り直して、初炭は炭所望です。
どなたに所望したらよろしいか・・・悩みましたが、正客は表千家流でしたので、次客M氏にお願いしました。
M氏が炭を置いている間に正客H氏から炭道具についていろいろお尋ねがあり、炭道具の拝見がかかりました。
炭道具の拝見が掛かるのは初めてです。
ちょうどS先生から炭道具の拝見の出し方を教えて頂いた直後でしたので、嬉しい所望でした。
もう一つ、糸目桐文車軸釜がお目に留まり、作者の長野新氏が同門社中とのことで、釜師・長野新氏の応援団としては嬉しいご縁が繋がりました。
灰器を下げ、風炉中を拝見すると、それはそれは美しく炭が置かれていて・・・Mさま、ありがとうございます。
香を焚き、釜を引きつけ、鐶を置くと、H氏から
「風炉中の拝見をお願いします」と声が掛かりました。
置いた炭の美しさと共に灰形二つ山の大文字を皆様に見て頂きましたが、灰形は冷や汗ものです・・・。
拝見に出した炭斗
灰器(古染付盤)と灰匙(韓国製スッカラン)
能画の敷き布団(?)(リバーシブルで裏は黒布です)
鵜籠の炭斗に羽根、火箸1本、鐶1つを入れて拝見にお出ししました。
灰器の古染付盤は、古染付コレクターの半東N氏のお持ち出しで、じっくりお客さまに見て頂けてヨカッタ!です。
鵜籠の炭斗の中に手づくりの敷き布団(?)を敷きました。布は春の三溪園の茶会の折、Eさまから頂いた贈り物に包まれていたもので、能画がプリントされています。
炭斗 鵜籠 淡々斎好 竹宝斎作
羽根 白鳥
鐶 高橋敬典作(だと思う?)
火箸 岡山城大手門古釘を以て造る
香合 屋形船(浮見堂古材を以って作る) 誠中斎作
灰器 古染付盤
灰匙 韓国製スッカラン
大文字・夕去りの茶事を終えて・・・(2)へつづく お盆の独り言・・・夕去りの茶事支度へ