新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月19日 その2 再度クリーブランドクリフス社ゴンカルヴェスCEOの暴言に対して

2025-01-19 13:56:27 | コラム
林芳正官房長官殿、それじゃ駄目なのですよ:

遅まきながら、林官房長官のゴンカルヴェス氏の暴言に対する発言を聞いて、大いに落胆したと言おう。失礼を顧みずに言うと「ハーバード大学の大学院で修士号を取られたのにも拘わらず、『外国の民間企業の方の発言に対して政府は一々言及しない』などと言われたのでは、アメリカと如何に交渉すべきかを学んでこられなかったのですか」と問いかけたい思いなのだ。

察するに、クリーブランドクリフス社(CC社)は既に一度USSの買収に失敗していたし、今回もまた買収をかけたが日本製鉄が$55/株の価格を提示したのに対して、CC社は$30台で買い負けの状態なので、感情的にもなったのかと見える。

当方は15日と16日に「ゴンカルヴェスCEOは何かを誤解しているか、アメリカの製鉄業界の地位が世界市場でどれほど低下したかをご存じではない様子だ」と真っ向から批判した。その際に当方が手抜かりだったかもしれない点もあった。

それは、アメリカの企業と折衝する場合には「彼等の提案乃至は抗議する発言に対して、何らの反論も異議も唱えずに沈黙していれば、「その提案は受け入れます」または「異議は認めました」となってしまうのだという事を付記しなかった点だ。これは、彼等と交渉するか何事か話し合う場合に忘れてはならない大原則で常識なのである。

ゴンカルヴェス氏に好き勝手な誤った発言を許し、言われっぱなしでは駄目なのだ。林官房長官が礼儀正しく、あのような緩い事を言えばゴンカルヴェス氏に「そら見ろ。宝山鉄鋼にアメリカ向けに安売りしろと唆していたじゃないか」と勝ち誇らせてしまうのではなかろうか。

再度林官房長官に申し上げたい事は「このような初歩の交渉術乃至は駆け引きをご存じでなかったでは済まない事態になりませんか」という点なのだ。我が政府は何とも歯がゆい事態にしてしまったようだと嘆くのは当方だけか。

今からでも遅くはないから、武藤経産大臣か事務次官をオハイオ州に派遣して、ゴンカルヴェスCEOに厳重抗議させたら如何か。我が国を悪し様に罵り、嘗てはわが国を代表する企業だった日本製鉄の名誉を傷つけられたままに放置して良いとは思えないのだから。

ピアニスト・辻井伸行君を讃える

2025-01-19 06:50:16 | コラム
辻井伸行君が弾く英雄ポロネースの「魂の響き」:

ここ数日の事で、YouTubeで偶然に引き当てた辻井伸行君が弾く「魂の響き」とつけられたショパンの英雄ポロネースを、毎日のように聴いている。この曲は「自分の葬式の時にかけて欲しい」と言った事があるほど好きなので、辻井君の素晴らしい演奏は何度聴いても飽きない。

辻井伸行君は目が不自由なピアニストである事は、彼が子供の頃に将来は名ピアニストになるだろうと期待されて登場した頃から聴いている。その頃は未だ素質で弾いているだけの少年で、この英雄ポロネースで聴かせてくれているような「魂が籠もった」かのような演奏をするまで名手の域には至っていなかった。その頃のCDも持っている。

だが、今回聴いた35歳になっていた頃の辻井君はその技術(技巧)も凄味を持つようになっていたし、「物凄い」と形容したくなるほどの気迫がこもっていた。今日までにルビンシュタインや反田恭平君の英雄ポロネースも聴いてきたが、この辻井君が醸し出しているような「英雄」を感じさせてくれる演奏ではなかった。因みに、この画面にはフジテレビのロゴマークが見える。

このコメント欄に「ピアノの音が惜しい」というのがあった。何回か聴いているうちに、私の耳にも確かに音質が良くないのか、録音に問題があったのか不明だが、高音が割れているように聞こえた。まさか、あのような演奏会でスタインウェイ&サンズのピアノの調律が狂っているとは思えないので、録音のせいだとしておこうかと思っている。

YouTubeには他に辻井伸行君のモーツアルトのトルコマーチの素晴らしい演奏が出てくるが、私には他に興味を感じた事があった。それは、この画面の奥に辻井君の演奏振りに見入っている(魅入られている)バイオリニスト、即ちオーケストラの楽団員までが何とも言えない表情で聴き入っている様子が、とても印象的だった点なのである。