アメリカの紙パの業界再編成の凄まじさを考えると:
昨日「電子計算機の進歩と発展」の中でアメリカの製紙産業の衰退について触れましたので、ここにあらためてアメリカの製紙産業界の再編成振りを振り返ってみます。なお、これは16年6月14日に纏めてお知らせしたものを基にしております。ここで顕著なことは「洋紙メーカーは何処に行ったのかと言わざるを得ない気がする印刷(紙)媒体の衰退」でした。
これまではWeyerhaeuser(W社)のみの衰退振りをお知らせしていましたが、アメリカの紙パの業界再編成(Consolidation)の勢いと言うべきか、経営統合か合併か吸収で救い合う以外に道がないかのような状態を、やや専門的にはなりますが、ほんのご参考までに採り上げてみます。こと紙媒体となると、新聞とその用紙の衰退が最も顕著で、10年間近くに60%も減ったと聞きました。
最近の例では、大手のミードウエストヴェイコ(MeadとWestvacoの合併)とロックテンという中位の会社がスマーフィットストーン(ジェファソン・スマーフィットとストーンコンテイナーの合併)が統合して「ウエスト・ロック」になるという板紙パッケージングと段ボール原紙界の再編がありました。因みに、Meadは私が1972年8月に最初に転身したアメリカ印刷紙・パルプとパッケージングの名門会社で、コート紙生産の技術は我が国のメーカーにライセンスを下ろしていたほどでした。
しかし、2000年代初期には板紙包装容器の名門Westvacoと合併しMeadWestvacoになってから印刷洋紙事業を売却し、その言わば第2会社だったNewPageは既にChapter 11となって再生されていました。実は、W社は2005年まではアメリカ最大級の上質紙(コピー用紙のような模造紙)メーカーだったのでしたが、将来性に危険を感じたのか、分離独立させてこの分野から手を引いていました。
今となっては私にも何処か何処と合併していたのか解りません。14年度の売上高第1位が、W社とともに「脱洋紙」の先駆者だったInternational Paperで235億ドル($1=¥125ならば2兆9千億円です)、2位には上記の洋紙メーカーではないロックテンがいたようですが、合併もあって売上高不詳。3位が何と2005年に洋紙事業を分離独立させ段ボール事業までを売却していたW社で74億ドル、4位がキンバリー・クラーク(Kleenexで我が国も広く知られている)の66億ドル、5位が板紙包装のPCAで58億ドル、6位がドムター(W社の洋紙事業部を引き受けた会社)で55億ドル。
以下、ミードウエストヴェイコ、ソノコ(紙管や板紙)、グライフ、グラフィック・パッケージング、キャップストーン、クリヤーストーン(確か元は洋紙から板紙とティシュペーパーと手広かったポトラッチから分離)等が続きますが、印刷紙というか洋紙メーカー主体のメーカーはほぼ消滅。W社にしたところで、出発点の材木会社主体に変換したら、住宅産業が復調して好決算が出来たと聞きました。しかし、16年9月末で紙パルプ事業からの撤退を終えていました。
このアメリカの実態から見れば、我が国の紙パは幸いにして未だ業界再編成というか印刷洋紙メーカーの衰退の仕方が遅れている?と言える気がしてなりません。業界の経営者たちは既に意識はしておられるでしょうが「我が国でもICT化がアメリカ並みに進みAIが現在以上に普及していけば(いや、いくでしょうが)、何れはというか『明日は我が身』であると意識せねばなるまい」との危機意識がより一層必要になってくるのではないかと危惧します。私はこれまでに何度も何度も「アメリカで起きた現象は何れ我が国もやってくるのだと思え」と主張してきました。
私はICT化は未だ未だ進むでしょうし、人手不足が時を追って深刻になっている以上AIの導入も増えていくでしょうから、間もなく「AIの普及は人減らしになる。労働の機会を奪われる」などと言っていられる時代ではなくなると、危惧しております。印刷媒体の衰退に伴う紙の需要減少を憂いているどころではない時代が来るのでしょう。
昨日「電子計算機の進歩と発展」の中でアメリカの製紙産業の衰退について触れましたので、ここにあらためてアメリカの製紙産業界の再編成振りを振り返ってみます。なお、これは16年6月14日に纏めてお知らせしたものを基にしております。ここで顕著なことは「洋紙メーカーは何処に行ったのかと言わざるを得ない気がする印刷(紙)媒体の衰退」でした。
これまではWeyerhaeuser(W社)のみの衰退振りをお知らせしていましたが、アメリカの紙パの業界再編成(Consolidation)の勢いと言うべきか、経営統合か合併か吸収で救い合う以外に道がないかのような状態を、やや専門的にはなりますが、ほんのご参考までに採り上げてみます。こと紙媒体となると、新聞とその用紙の衰退が最も顕著で、10年間近くに60%も減ったと聞きました。
最近の例では、大手のミードウエストヴェイコ(MeadとWestvacoの合併)とロックテンという中位の会社がスマーフィットストーン(ジェファソン・スマーフィットとストーンコンテイナーの合併)が統合して「ウエスト・ロック」になるという板紙パッケージングと段ボール原紙界の再編がありました。因みに、Meadは私が1972年8月に最初に転身したアメリカ印刷紙・パルプとパッケージングの名門会社で、コート紙生産の技術は我が国のメーカーにライセンスを下ろしていたほどでした。
しかし、2000年代初期には板紙包装容器の名門Westvacoと合併しMeadWestvacoになってから印刷洋紙事業を売却し、その言わば第2会社だったNewPageは既にChapter 11となって再生されていました。実は、W社は2005年まではアメリカ最大級の上質紙(コピー用紙のような模造紙)メーカーだったのでしたが、将来性に危険を感じたのか、分離独立させてこの分野から手を引いていました。
今となっては私にも何処か何処と合併していたのか解りません。14年度の売上高第1位が、W社とともに「脱洋紙」の先駆者だったInternational Paperで235億ドル($1=¥125ならば2兆9千億円です)、2位には上記の洋紙メーカーではないロックテンがいたようですが、合併もあって売上高不詳。3位が何と2005年に洋紙事業を分離独立させ段ボール事業までを売却していたW社で74億ドル、4位がキンバリー・クラーク(Kleenexで我が国も広く知られている)の66億ドル、5位が板紙包装のPCAで58億ドル、6位がドムター(W社の洋紙事業部を引き受けた会社)で55億ドル。
以下、ミードウエストヴェイコ、ソノコ(紙管や板紙)、グライフ、グラフィック・パッケージング、キャップストーン、クリヤーストーン(確か元は洋紙から板紙とティシュペーパーと手広かったポトラッチから分離)等が続きますが、印刷紙というか洋紙メーカー主体のメーカーはほぼ消滅。W社にしたところで、出発点の材木会社主体に変換したら、住宅産業が復調して好決算が出来たと聞きました。しかし、16年9月末で紙パルプ事業からの撤退を終えていました。
このアメリカの実態から見れば、我が国の紙パは幸いにして未だ業界再編成というか印刷洋紙メーカーの衰退の仕方が遅れている?と言える気がしてなりません。業界の経営者たちは既に意識はしておられるでしょうが「我が国でもICT化がアメリカ並みに進みAIが現在以上に普及していけば(いや、いくでしょうが)、何れはというか『明日は我が身』であると意識せねばなるまい」との危機意識がより一層必要になってくるのではないかと危惧します。私はこれまでに何度も何度も「アメリカで起きた現象は何れ我が国もやってくるのだと思え」と主張してきました。
私はICT化は未だ未だ進むでしょうし、人手不足が時を追って深刻になっている以上AIの導入も増えていくでしょうから、間もなく「AIの普及は人減らしになる。労働の機会を奪われる」などと言っていられる時代ではなくなると、危惧しております。印刷媒体の衰退に伴う紙の需要減少を憂いているどころではない時代が来るのでしょう。
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