新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月6日 その2 葦の髄から天井を覗く

2024-11-06 15:49:31 | コラム
思い付くままにあれやこれやと:

ハリスかトランプか:
昨夜のPrime Newsでは木村太郎氏はトランプが圧倒的に強いと言っていました。ハリスは民主党内で正規の手続きを経ないで候補になったのが弱い点だし、何方からだったか「主張していることの中身が乏しいので」という辛辣な意見も出ていました。

兎角この世では「こうなって欲しくない」と思うことが実現するものですから、トランプの勝ちかと思いました。ここには理屈なんてありません、カンだけの話ですから。長年の友人でカリフォルニアに永住している友人もトランプの圧勝と見ていました。この原稿を書いている時点では未だ決着は付いていないようですが。

日本で「もしトラ」だと騒いでいるのは単なる空気でしょう。こちらに住んでいてアメリカでの争いの実態など分かる訳がないと思うのです。これは私の偽らざる感想です。

103万円の壁の関連で:
日本では国会議員たちよりも財務省が上位にあり、政治家を指揮しているようですから、国民にとって都合が良いような税金の制度にはならないのでしょうね。岸田さんだって「財務省のポチ」と呼ばれていました。玉木氏は壁を破った後に出てくると言われている問題のことを承知で言い出したのでしょうから、先ずは自民党の税調を説得できないと、鼎の軽重を問われるのでは。

アメリカの有名大学の修士号:
話は変わりますが、玉木雄一郎氏もハーバードの修士だったし、多くの元官僚の議員たちは皆修士号を持っているのには凄いなと感心します。尤も、国民民主党の榛葉幹事長は何処か中近東の大学出身でした。そういう高い学歴と言うのかマスターの学位は何かの役に立っているのでしょうか。アメリカの大学院でdebate力を高めてこられたはずです。十分に発揮されてお国の貢献してくれると良いのですが。

年俸(給与)の問題:
私はアメリカのことしか語れません。アメリカでは超富裕層の凄い生活振りばかり喧伝されているので、そうではない層の多くの人、特に非白人がいることは知られていないと言うか、取り上げられていません。だが、アメリカに行って見れば低所得者層でも広い土地に大きな家に住んでいることがあるので、アメリカ人は金持ちだと見えるのでしょう。土地の価格が違うのです。

ここだけの話ですが、我が事業部の技術サービスマネージャーは1エーカー(=1,200坪)の土地に住んでいました。また、多くのベニア板の工場長を歴任した技術者は、自分で建築した3階建ての広大な家に住んでいました。

彼等が言うには「転職か転勤を続け、その度に家を買っては売るのを続けていたら、高度成長期のアメリカでも多額の売買差益が出て、蓄財できたので立派な家に住めることになった」のだそうです。さらに、地方に住んでいれば土地も家も物価も安いので、経済的な苦労はないとのこと。日本とは大いに事情が違うのです。

大谷君のような凄い稼ぎが出来る連中の多くは、ビジネスのエスタブリッシュメントの世界には縁が無いような階層の人たちだと思っています。マスコミはそういうアメリカの事情を知っているのか、知らないのか、知っていても言わないのか「凄い、凄い」と言うだけではアメリカの階層の問題や格差の実態は、日本には伝わらないでしょう。

但し、会社側に属するサラリー制で途中入社の世界に年功序列も役職手当も何もなく、年俸は雇い主である事業部長との話し合いで決まるので、日本のような高い/低いという基準はありません。入社前の千差万別学歴と職歴と能力で決まります。故に、自分の年俸を部内の他者と比べても意味がないのです。要するに「日本とアメリカの給与を比較しても意味はないと思う」のです。

103万円の壁の問題

2024-11-06 07:19:41 | コラム
「103万円の壁」を考えて見ると:

国民民主党は代表の玉木雄一郎氏の主導の下に、この「壁」の改革を強力に推進してきた。当方はこの事案については全く不案内だったので、この期に及んで少し勉強してみた。だが、如何に低賃金の時代であるとは言え「103万円を12で割れば1ヶ月の収入が8.58万円」とは低くないのかとは見ていた。

そこで、何時から103万円と決められていたのかを調べてみようと思い立った次第。見つけ出したのが、神奈川大学経済学部の飯近信夫教授の解説だった。そこには、

>引用開始
「基礎控除」と「給与所得控除」の最低保障額は1995年から103万円(基礎控除38万円+給与所得控除の最低保障額65万円)に引き上げられて以来、28年間据え置かれている。(中略)1989~1994年までは100万円、1984~1988年までが90万円だった。(以下略)
>引用終わる

とあった。「なるほど、そうだったのか」と認識できた。

この限度額を超えると扶養家族から外され社会保険料等の負担が生じるので、パートタイムで働く人たちが壁を越えないように勤務時間を調整するので、働き手が不足する流れが生じる。従って人手不足になるという点が問題なのだと、恥ずかしながら今頃になって漸く理解した次第。

財務省と自民党が早速「7~9兆円の税収の不足を来す」と否定的な姿勢を見せたのは、ごく普通の反応で驚くには当たらないと思う。だが、恐らく我が国の給与所得の約430万円は1995年頃と殆ど変わっていないのだから、103万円据え置きでも差し支えないとでも言うのかと思った。

だからと言って最低賃金を1,500円に上げようと石破内閣が目標を掲げているときに、103万を引き上げると税収が不足し、働く人の手取りが増えないかも知れないと言い出すのは矛盾ではないのだろうか。税制を30年近くも前の儘にしてあることは問題にはならないのだろうか。

当方は経営者の弱気(と言うか先行きの見通し不安)から内部留保増加には走っても、給与を増やそうとしない姿勢にも問題があると思っている。国民民主党も経済界も財務省に「税制の見直しを図れ」と申し入れたら如何かと思う。税収の安定を図る為に、働きたい人たち(収入を増やして生活を改善したい)の意欲を削いで良いものかと思う。自由民主党は何時まで財務省の代理人のような姿勢を採るのかと一寸疑問に感じた。

大蔵省(財務省か?)の出身の玉木雄一郎代表は壁の高さを引き下げれば、その向こうに手取りが減少するだろうリスクがあること位を承知で打ち出した政策だろう。故に、手取りを減らさずに済む手立てを考えていなかったとは思えない。玉木氏が財務省、自由民主党、立憲民主党など他の野党とどのように交渉ないしは説得するかの手腕を見守っていこうと思う。

でも、マスコミはこの件の話で持ちきりだが、これとても不安定であるかに見える石破首相の統治能力と比べれば、大問題ではないとしか思えないのだが。