サンジェルマン高田馬場店が閉めていた:
こちらが一寸不在にした間の10月29日に上記の高田馬場の店を閉じたと張り紙があった。ネットのニュースなどでパン屋さんの廃業や閉店が増えているとは承知していた。理由は「ロシアがウクライナに侵攻したことで小麦の供給不足が生じ小麦粉の価格が高騰し、電力等のエネルギーコストも上昇し、人件費を上げても人が集まらないし、物流費も上がった等々」である。何ら目新しい話はない。
私が気になるのは「物流費の上昇」が入っているという点だ。今回はパンの話から逸脱するが、輸送費(物流費)の話をしてみようと思うのだ。この辺りは当方の守備範囲内の事柄ではないが、最低限の常識の持ち合わせ程度はあるので、語ってみようという事。
その物流業界の関係者によれば「確かに上がったと言うほど上げて貰えていないが、上がったと関連業界筋の方がそう言われるのならば、上がったと思う。だが、製品の最終価格(店頭の価格)に影響を与えるほどの次元にはないだろうと言える」と、言わば否定的な話し方だった。
私はこの業界筋の発言が物流費の上昇の実態だろうと思っている。どういう意味かと言えば「経験的にも、荷主も受け入れ側もトラックの運賃の値上げの申し入れまたはお願いに対して協力的ではなく、極力抑えようとする方針を採ってくると言えるから」なのだ。嘗ては業者側も過当競争を演じていた時期もあったので、その頃に気楽に値切れ、コストを抑えられた流れが未だに続いている感がある。
在職中に輸送の専業者に精密に「重量、距離、使用する車等々に基づいたトラック運賃の料率表」(tariffと言うようだ)を見せて貰ったことがあった。その専門家が言うには「実際に街を走っているトラックは、此処に規定された料率の何分一かしか取れていない」という話だった。要するに、料率表は「そこからどれだけ下げるかの叩き台に過ぎない場合が多いのだ」と言いたいかのようだった。
運送業者もガソリン代の高騰(円安にも起因する)に苛まれた上に、人件費も上昇させざるを得ない状態なのに、長引く不況下では運賃の十分な値上げも儘ならない状況下にあるようだ。
そういう時代が続いた為もあるが、大型のトラックを運転できるようになる為には普通免許では通用しないし、その大型何とかの免許を取る為の費用がかかるのに対して、雇用主が運転手さんたちを高給で迎え入れるだけの財政的な余裕がない経営状態だから、人材不足が慢性的になっていると聞く。それでも、大手企業は輸送費の上昇を抑えようとするのだとか。
そんな背景があっても、東名高速などを移動してみれば、サービスエリアでもパーキングエリアでも、常時無数の大型トラックが駐まっている。何故かと言えば、受け入れ側が納入時刻を厳格に指定するので、ウッカリ早めに着いてしまわないように調整しているのだそうだ。見方を変えれば、景気が悪くても必要な材料や最終製品は流れているという事だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「103万円の壁」の打破に懸命な努力をしておられるが、その他にも「トラック運賃の料率表が交渉の叩き台」になっているような現実の市場での難関というか隘路の問題にも配慮されたら如何かと思う。話は逸れるが、野党はこの件を何で自民党と交渉するのだろうか。何でも税金にして取ろうとする財務省こそが相手ではないのかなと思ってしまう。