新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

DeNAベイスターズが日本シリーズを制覇した

2024-11-04 08:22:50 | コラム
ベイスターズはモメンタムを維持していた:

こういう事が起きるものだと、今更ながら「勝負事の流れの恐ろしさ」と「野球はモメンタムのスポーツである」と再認識させられた。私独特の表現を使えば「ソフトバンク・ホークスが誤った作戦を続けたので、ベイスターズの勢いを止めることが出来なかった事による無残な敗戦だった」のである。特に投手起用の失敗が大きな敗因になっていたと思うが、その辺りは後で触れていく。

先ず、小久保監督は「敗軍の将兵を語らず」だと思うので、作戦(「ゲームプラン」でも良いと思う)の誤りから入って行こう。もしかすると、ホークスは日本シリーズまでに空白が長過ぎたことに加えて、圧倒的に優勝したモメンタムを失っていたかも知れない。

第5戦と6戦の中継ぎの投手の起用を誤っていたことが4連敗になった大きな原因の一つだった。第5戦では「左打者対左投手」と今となっては迷信かも知れない中継ぎを使ったことが敗因だったと指摘したが、昨夜も既に横浜に戻った後で「有原とモイネロが当たってきたベイスターズを抑えてくれるかが鍵を握っているのではないか」と予測した通りで、有原の起用が敗因になっていた。

それだけではなく、スチュアートJr.や新人の岩井俊介の起用は「それでも勝つつもりか」と疑ったほどの悪手だった。そこまでで11点も失っていたが、後続の投手たちは失点無し。酷すぎる失態。

私は有原が1回の裏に「無死一二塁」にしてしまったところで「小久保監督が何処で有原を見切れるかが勝敗の分かれ目だ」と見たほど不安定だった。そこではベイスターズはチャンスをものに出来なかったが「チャンスを逃しても次には何とかするこのティームのことだから心配ない」と踏んでいた。

そこに2回のあの筒香のホームランが出た。打たれたのは有原。明らかな「有原を引っ張り過ぎた」で采配のミスだった。当たりが出て来ているベイスターズの打者たちは「2度も同じ投手にやられてなるものか」という気迫を感じさせていた。特に桑原将志。

このホームランこそがホークス敗戦の原因の一つだ。筒香はMLBの150km超の速い真っ直ぐが打てずに帰ってきた打者だ。それにも拘わらず、ホークスのスカウティング不足か、あの打たれた投球はアウトサイド低目の変化球。研究不足だ。筒香はCSだったかでも同じような投球をレフト前に鮮やかに流し打っていた。甲斐捕手の情報量不足かベンチの失態であろう。満塁での2塁打も同じ配球だった。

通算29イニングの得点無しはホークス打線が「モメンタムを失っていたこと」であろうが、そう言ってしまったのでは「ベイスターズ」の中継ぎ投手たちの大健闘を忘れたことになる。山崎康晃、中川颯、坂本裕哉、濱口遥大、森原康平等々見事な締め出し投球だった。先発陣ではジャクソン、ケイ、大貫、東たちも鮮やかにホークスの「モメンタム」を削いで見せた。

打つ方では、牧、オースティン、佐野、宮崎が低打率で相当程度足を引っ張っていたが、そこを補って余りある大活躍をしたのが、当方が「ベイスターズで最も雑な打者」と酷評してきた桑原将志がMVPを取って見せた大活躍。山本祐大欠場の穴埋めどころではない獅子奮迅の大活躍だった戸柱恭孝、ここまで実力が伸びていたら素晴らしい森敬斗という具合で、下位打線が強打者の不調を補っていた。

ベイスターズにはこれほどまで勝てる材料が揃っていたのにも拘わらず、ホークスが誇る打線が「やる気がないのか」または「ベイスターズの投手たちに欠陥を衝かれて手も足も出なくなっていたのか」の何れか一方か、あるいは両方だったのか知らないが、29回(=3試合分以上)も得点が出来なかったのでは、負けるのも仕方がなかっただろう。

小久保監督の責任まで問う必要があるかどうか分からないが、打撃と投手コーチたちの責任は重大だと思う。だが、それ以上の失態を「スカウティング・ティーム」が犯していると見ている。あれほどベイスターズの打者に打ち込まれただけではなく、弱いと思われていたベイスターズの投手たちを最後まで打てていなかったではないか。研究不足だったのではないか。

貶すだけはない事を言えば「ホークスの投手たちは最後までオースティンにはアウトサイドの高めには投げていなかった。オースティンがCSで打っていたホームランはこの「アウトサイド高め」だったのだ。第5・6戦共に彼には高めには一球も来ていなかった。でも、筒香には「アウトサイド低目」を6戦だけでも2回も打たれた。

大谷君は常にベンチでタブレットに見入り、そばにコーチと通訳がいるではないか。他の連中もタブレットを良く見ている。フットボールだけではなく、野球も情報量(データとでも言うか)即ちスカウティングが重要な要素になった時代だと、ホークスの敗戦が今更ながら実感させてくれたのだった。

緊張感があって面白いシリーズだったが、ホークスは緊張に耐えきれなかったのか。勝ったのは予想外だったなどとは言わないで、ベイスターズ三浦大輔監督・コーチ、選手たち、裏方に心から「お目出度う」と言って終わる。

本筋を離れた話題だが、TBSが桑原将志のインタビューを途中で切って次のドラマの放映をしたのは非難されるだろう行為だと思った。だが、恐らく後番組のスポンサーに延長の了解を得られなかったのだろうと思うことにした。


コメントを投稿