働きすぎの時代岩波書店このアイテムの詳細を見る |
この本では、ひとことでいえば、働きすぎの原因を探り、それへの処方箋を示そうとしている。
働きすぎとは、簡単にいうと、一日に10時間以上働いてしまう人のことのようだ。
この定義だと、多くのサラリーマンがおそらく働きすぎということになるのだろう。
この本では、今の世の中では、一昔前の時短の傾向から、働きすぎの傾向が強くなっているという風に捉えている。
その原因としては、
a.グローバル資本主義の進展
これは、これまでは、下請け的であった発展途上国とも競争にさらされることになったため
b.情報資本主義の進展
携帯電話、メールなどIT技術の発展により、いつでもどこでも拘束されるようになった
c.消費資本主義の浸透
メディアによる耐えざる消費喚起により、消費が一種のアイデンティティを主張する手段となり、より消費をすることが前提となった
d.フリーター資本主義
労働時間が短いフリーターが増えた反面、それを補うかのように少数の正社員は労働時間が長くなった
といったことを挙げている。
また、働きすぎを防ぐために、労働者自身が心がけるべきこととして、
・3度の食事と睡眠はきちんととる。
・自分と家族の時間を大切にし、仕事以外にも生きがいを持つ
・家事労働は分担し、近所づきあいや地域のボランティア活動に参加する
・年休は目いっぱい取得し、年に一度は1,2週間連続休暇をとる
・残業はできるだけせず、労働が過剰な場合は、労働組合や会社に是正を求める
・職場の労働基準法違反が是正されないときは労働基準局に申告する
・心身の不調を覚えた時は、直ちに医師に診察を受け、指示に従う
・仕事に殺されそうな状態が続くときは転職するなどして自己防衛を図る
・情報ツールによる仕事のボーダレス化を阻止し、時間帯によっては受信を拒否する
・サービスや利便性を売り物にする消費のあり方を働き方から見直す
・流通・サービス部門で働く人は営業時間と労働時間の明確な区別を求める
・働きすぎと浪費の悪循環から抜け出して、スローライフに転換する
といったことが挙げられている。