12月13日(金)に仙台電力ホールで開催された「立川談春」独演会に行きました。長い落語が2席。見事な語り芸を聞かせてもらいました。
一席目は「双蝶々」。めったにやらない演目だそうです。「長いし何がおもしろいのかわからない。」と談春師匠自身が言い訳をあらかじめしながら演じます。しかしそれは自身の芸に自信があるからこその言葉です。
主人公の長吉は根っからの悪人です。その悪人が親を騙し、奉公先の番頭を騙し、そして人殺しまでして大金を手に入れます。ここまでが前半。後半ではそんな息子をもった父親が逃げるように転居を重ね、不遇な余生を送っています。その父を気遣って、地方で親分になった長吉が偶然出会います。悪人でありながら、それでも親を気遣う長吉にリアリティがあります。人間誰もが悪人です。しかしどれだけ悪いことをしたのかは、時がたたなければ本当の意味では気づかないのだと思います。悪事を働いているその場では、理屈ではわかっても、本当にはわかっていない。心にしっかりと落ちてこないほうが多いのです。そんな悪人長吉の心が伝わっていきます。熱演でした。
中入り後の二席目は「大工調べ」。江戸っ子の喧嘩の噺です。ケンカの過程がリアルに描かれます。お互いに引くに引けずに感情的になっていく。いつのまにか聞いている私もケンカ腰になっていきます。らんめい調の早口が見事です。
年末にいいものを聞かせてもらいました。
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