朝日新聞4月3日の「折々のことば」より。このことばについての鷲田清一氏の解説を引用する。
忸怩たるとはここでは「責任を感じる」ということ。郵便物を搬送する飛行士が遭難した。看護にあたる僚友は、彼が「人間のあいだに新たに建設されつつあるもの」に自ら職務を通じて繋(つな)がっていると感じていたと言う。人々の歓喜や悲嘆と自分は無縁でないと。20世紀フランスの作家の自伝的小説『人間の土地』(堀口大學訳)から。
自分に関係のないことに対しては責任を感じてはいけないというのが、現代的な考え方である。責任を感じてそれを口に出してしまえば、責任をとらなければいけないからだ。訴訟時代である現代は他人事を他人事にするように育ってしまう。
しかし本来、人間というのは他人事を自分の問題として考えるから発展してきたのだ。この「当たり前」を改めて言葉にしなければいけない「現代」こそがいびつな時代なのだ。
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