とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

源氏物語を読む10「賢木」

2020-04-25 11:36:02 | 源氏物語
 「源氏物語を読む」シリーズの10回目。「賢木」です。メモとして書き残しておきます。

・政治小説
 この帖は政治小説のようです。右大臣側の権力が強まり、左大臣側が落ちていきます。光源氏は右大臣側の敵ですので、少しずつ権力を失っていきます。さらに桐壺院が亡くなります。光源氏の一番の庇護者である桐壺院の死は源氏の行く末を暗くします。そして左大臣家の娘であり、かつて朱雀帝に入内させようとしていた朧月夜の君との逢瀬の現場を右大臣に見つかってしまったために、源氏は絶体絶命の立場になります。政治の世界が物語を大きく展開させるというのは、現代的です。

・藤壺の出家
 この帖では藤壺中宮の出家も重大な事件です。どんなに重大な局面になろうと能天気に藤壺との逢瀬を画策する光源氏の存在は藤壺にとって苦しいものだったのでしょう。この苦しみから逃れるためには、現世を捨てて仏門に入るしかありません。

 六畳の御息所が伊勢に去り、藤壺中宮が出家し、朧月夜の君との関係は親にばれてしまいます。源氏にとって大きな位置を占めていた女性がみんな去っていくのです。

 政治的状況が、恋愛事情と重なり、悪い方向に向かっていくことが巧みに描かれています。

 
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岡江久美子さんのこと

2020-04-24 07:50:20 | どう思いますか
 岡江久美子さんが新型コロナウイルスの感染で亡くなったという。ショックを受けた。

 岡江さんと言えば、やはり『はなまるマーケット』での明るく元気な司会が印象に残っている。

 当時のワイドショーというと芸能のゴシップネタばかりで、しかも同じ話題をずっと続けていたので、社会の毒のような存在だった。誰かが何らかのスキャンダルに巻き込まれると、その人物をターゲットにして、芸能レポーターが群がる。あることないことでっち上げ、とことん追い詰める。こんな行き過ぎた番組が多くあったのだ。

 そんな中で、芸能ネタを扱わない『はなまるマーケット』は新鮮であり、画期的だった。 今は残念ながら終わってしまったが、その精神はNHKの「あさイチ」によって引き継がれているというのが私の考えである。

 『はなまるマーケット』は日本のテレビ史上に大きな足跡を残した番組である。そしてこの番組は岡江さんによって成立していた。

 あまりに若い死が悔やまれる。あらためて新型コロナウイルスの恐ろしさを痛感した。

 ご冥福をお祈りします。

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源氏物語を読む⑨「葵」

2020-04-22 06:01:34 | 源氏物語
 「源氏物語を読む」シリーズの9回目。「葵」です。メモとして書き残しておきます。

・背景となる政治力
 「葵」の帖は物語が大きく動き始めます。動き始めるきっかけとなったのは桐壺帝の譲位です。朱雀帝の世になったので、朱雀帝の母の弘徽殿の女御の父である右大臣が権力を握ります。弘徽殿の女御にとって源氏はにっくき桐壺の更衣の子供であり、右大臣家にとっては源氏は敵役になってしまいます。源氏にとってはあまりいい状況ではありません。

・車争い
 有名な車争いが前半のハイライトです。賀茂祭において六条の御息所と葵の上の車が場所取りでケンカになってしまいます。六条の御息所はしょうがないと思いながらも、意識の下ではかなりの恨みを感じていたようです。それが怨霊となって葵の上を苦しめて死に導くことになります。

 作者は無意識を認識していたように感じられます。自分の心を理性では抑えていても、無意識にたまっっていき、それが夢に出てしまうと考えていたようです。その夢が怨霊になるというのは科学的ではありませんが、他人のうらみが人にストレスを与え苦しめるという意味ならば、現代にもあてはまります。

 単なる空想でかたずけていいものではなさそうです。

・紫の君との新手枕
 葵の上の死の喪が明ける前に、源氏は紫の君との初夜をむかえます。さすがは源氏です。源氏が満20歳ぐらい。紫の君が満13~14歳くらいでしょうか。紫の君はかなりショックだったようです。当然ですね。お兄ちゃんだと思っていた男がいきなり性行為を迫ってきたのですから。

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「財政破綻覚悟」してしまったら本当に財政破綻してしまう

2020-04-21 10:56:45 | どう思いますか
 橋下徹氏が『あさチャン!』に出演し、「財政破綻覚悟」で対策すべきだと言っている。一方ではこんな時でも経済活動をとめるべきではないと言っている。結局何を言いたいのかわからない。

 橋下氏が言いたいのは政治は覚悟が必要だということのようだが、ただ自己主張を早口でまくしたて、他人に発言のすきを与えないので、論理が通っているのかわからない。しかも自分に批判的な人に対しては罵詈雑言である。このような議論が成立しない人間がトップにいたらと想像するとぞっとする。

 日本の現状の経済状況は借金が膨らんでいて財政出動ができない状況なのであろう。麻生太郎氏はそれを守ろうとしているのだろう。だからここまでしぶっていたのだと考えるのか自然だ。この危険な経済状況を作ったのは「アベノミクス」である。今、日本はぎりぎりの経済状況で綱渡りをしている状態なのだ。下手なことをしたら財政破綻が現実になる。「覚悟」どころではない。

 今、日本は本当に崖っぷちに立たされているのだ。だからこそ専門家の冷静な議論と、その議論を見極めて冷静かつ強いリーダーシップが必要なのだ。橋下徹氏のような冷静さの欠く、議論のできない自己主張だけの人間は、今は面倒くさいだけだ。

 橋下氏にお願いしたいのは、発言の機会は平等にあるべきであり自己主張だけしないでほしいということと、他人をバカ呼ばわりしないでいただきたいということである。橋下氏には実行力があり、その意見には貴重なものも多い。だからこそ議論を深めて実行の伴う提言にまで高める努力をお願いしたい。
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にびいろ

2020-04-19 18:58:31 | 国語
 国語教師でありながら、基本的なことがわかっていなかったと反省させられることばかりです。

 そのひとつ「鈍色(にびいろ)」。この言葉を今日までしりませんでした。これは平安時代に使われていた色の表現です。今でいえば灰色のことで、今の灰色も黒ではなく、白でもない色の広い範囲で用いられるますが、この鈍色も同じようです。「黒でも白でもない鈍い色」ということなのでしょう。喪服で用いられたようです。

 日本国語大辞典での説明は次の通りです。

にびいろ
〘名〙
① 薄黒い色。灰色。にびいろ。にぶいろ。どんしょく。
※醍醐寺新要録(1620)「僧正香也。法印以下有職至悉白色也。鈍色にふいろ訓。凡黒色事歟。雖レ然、黒色未二見及一。又旧記無レ之」
② 法衣(ほうえ)の一種。袍服と同じく上衣(袍(ほう))とはかま(裙(くん))と帯の三つから成るが、袍服が袷(あわせ)であるのに対して、単衣(ひとえ)である。無紋の絹の良質なもので仕立て、僧綱領(そうごうえり)を立てる。鈍色の衣。〔左経記‐長元八年(1035)三月二七日〕

 この「鈍色」を源氏物語の「葵」の帖で見つけました。葵の上が亡くなり、喪中の源氏が鈍色の服をきています。そこへ六条の御息所が手紙をよこします。その中の和歌。

限りあれば薄墨衣浅けれど涙ぞ袖をふちとなしける

(薄墨色の喪服を着ているが、悲しみの涙で袖が染まり、深い淵の濃い墨色になってしまいますよ。)

鈍色も色の範囲が黒から白までの広い範囲であったころがわかります。
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