リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

我が家のボーナス

2013-12-15 07:50:50 | オヤジの日記
ボーナスを貰わない生活から、ほぼ20年。

ボーナスのありがたみと羨ましさを完全に忘れてしまった。

取引先のほとんどは、ボーナスが出たようだ。

アベノミクスの影響でボーナスも上がったでしょう、と聞くと、得意先の若い人に「全然、関係ありませんね。あれは特定の業種だけでしょ!」とキレられた。

まあ、そういうところもあるだろう。

地方銀行に勤めている友人に、上がったろ、と聞くと「ナイショ」と言われた。
上がった、と思われる。


25年連れ添っているヨメが、結婚前に勤めていた会社は、社団法人だった。

ここが、恐ろしいほど気前のいい会社だった。

ボーナスが、年に3回、トータルで6ヶ月分出た。
他に有給が、人によって違うが、20~30日。
消化しないと上司から注意されたという。
また、残業をしていても、上司から注意されたらしい。

そして、2年に1回、研修と称して、ハワイかグアム旅行があった。
研修とは言うが、研修は2日目と3日目の午前中だけで、あとはフリータイム。
お小遣いまで出たというから驚く。

バブル全盛期とはいえ、夢のような会社ではないか。

ブラック企業ではなく、間違いなく「ゴールド企業」。

今では、それほどの待遇ではなくなったというが、他の会社よりは大分ましらしい。
だから、女子社員が結婚したがらず、女子社員の結婚率が低い。

結婚したとしても、自分の結婚した相手が、長時間労働にも関わらず少しも給料が上がらないことに嫌気がさして離婚し、会社に舞い戻ってきた人もいるという。

罪な会社である。

それを思うと、そんな楽園を経験しながら、我が極貧生活に耐えているヨメには、感謝の言葉しか見つからない。
大切にすべきだろう。


ところで、つい最近のブログだかツィッターだか忘れたが、「勘違いしてる奴多いけど賞与って企業には支払い義務ないんですよね。給与が安いって文句言うなら給与の高い所に行けばいいじゃん」と書いているお方がいた。

ご本人は、正論を吐いたつもりだろうが、企業に支払い義務はなくても、「社会慣習」というのがある。

多くの企業がボーナスを支給し、国や地方も公務員にボーナスを支給する。
支払い義務はなくても、それは慣習になっている。
それは、義務とは、確実に切り離されたものである。
だから、根底から理論が破綻している。

だが、不況でボーナスを出せない会社も多い。
その苦しさは、わかる。

私は、個人で仕事をしているが、金の収支の厳しい現実というのは、額が少なくても毎回強く実感している。
収支のマイナスは、会社の死活問題である。
ボーナスどころではない。

ただ、そうは言っても、慣習としてのボーナスは、金額の多寡はあっても、出せるように努力すべきだと思っている。

慣習としてのボーナスを出せない経営者は、無能だ。


取引先の社長で、「俺はもう4ヶ月給料貰ってないよ」という人がいた。
「この状態があと2ヶ月続いたら、俺んところは危ないよ」と、第三者である私に、平然として言うのだ。
そして、「でも、社員の給料だけは、ちゃんと払っているからね」とも言っていた。

それを聞いて、この社長は偉いな、とは私は思えないのだ。
社長が、社員に働いた分だけの給料を払うのは、当たり前のことだ。
威張ることではない。

自分の給料を犠牲にしてまで……、というのは美談に思えるかもしれないが、経営者は、会社を維持し、社員の生活を維持するのが役目である。

社長は、「俺のような末端の会社には、アベノミクスは関係ないね」とも言っていた。
そして、「まわりが、どんなに景気が良くなっても、俺には関係ない。俺のところにまで景気は来ない。だから、ボーナスは出せない。もう10年近く出していない」と言う。

つまり、ボーナスを出せないことが当たり前になっている現状を開き直っている。

それは、「俺は、経営者として無能だ」と言っているようなものだ。


私の同業者の一人は、「それほど儲かっているわけではないけど」と言いつつ、「俺は、毎年、頑張ってくれている女房に、年末にボーナスをあげるようにしているんだ。額は少ないけど、女房はいつも喜んでくれてね。その顔を見ると、張り合いが出て、来年も頑張ろうって気になるんだよ」と恥ずかしげに語っていた。


それを私は真似て、昨年から、ヨメにささやかなボーナスを渡すことにした。
ヨメは、泣いて喜んでくれた。

子どもたちにも、クリスマスやお年玉とは別に、一年間頑張ったご褒美に、ささやかなボーナスを渡した。
飛び上がって、喜んでくれた。

今年も、昨日、ボーナスを渡した。

喜んでくれたが、高校3年の娘は「大丈夫か。儲かっているわけでもないのに、こんなことして。アベノミクスのおかげなんてことは言うなよ。うちは、まったく関係ないのはわかっているからな。無理すんなよ」と、いたわってくれた。

ヨメと息子も、頷いていた。

では、ボーナスを返還するのか、と聞いたら、「それとこれとは別だ」と言われた。


人間とは、欲深き生き物のようだ。