わが家族が住むオンボロアパートが、今年の6月にぶっ壊されることになった。
そこで、アパート、駐車場、理髪店、美容院を経営するオーナーの政治力を使って、新しいマンションを紹介してもらえることになった。
しかも、あそこが不便だ、あそこが汚いと文句を言って、家賃を1万円負けさせるという力技(チカラワザ)も使ってくれた。
中央線国立駅から徒歩10分以内の築5年のマンションだ。
本当は5月末に引っ越す予定だったが、住んでいる家族が急遽2月初めに越すことになったため、3月には引っ越せる状態になった。
オーナーから「引っ越すかい?」と聞かれたので、しかるべく、と答えた。
つまり、引っ越しが早まった。
恐れ多いことに、引っ越し代、敷金、3月から5月分の家賃はオーナーが負担してくれるという。
今どきの言い方をするなら「神対応」と言っていいのではないだろうか。
その噂を聞きつけて、娘の高校時代のお友だち3人が、昨日我が家にやってきた。
娘は韓国留学中なのに、いいの?
「パピーの作る料理が食べたくて」と嬉しいことを言ってくれた。
(娘のお友だちは、私のことを『パピー』と呼んだ)
春巻きが食べたい、というリクエストがあったので、春巻きとエビチリ、コショウを多めに使った麻婆豆腐を作ることにした。
米は7合炊くことにした。
なぜなら、お友だちのうちの一人が、一食に3合を食べるからだ。
この子は、中学3年のとき、ワケがあって、我が家に一年間居候をしていたことがあった。
その詳しい経緯は述べないが、とにかく米が好きな子だ。
明太子一本だけで、米を3合食べる姿を見て、最初は驚いた。
ただ、だからと言って、太っているわけではない。
我が娘は、159センチ、39キロの瘦せ型。
お友だちは、同じ159センチで、45キロ程度。
平均より痩せていると言っていいかもしれない。
だが、食べる。
気持ちがいいくらい食べる。
味噌汁も毎回5杯は、お代わりをするのである。
たらこバター・スパゲッティなら、4人前は当たり前に食べる。
キャベツの千切りも、キャベツ半分食べてしまうのだ。
「大食い女子」だ。
ほかの二人の子は、高校の吹奏楽部で娘と一緒だった。
二人とも、大学は音大に進んだ。
一人はピアノ。
もう一人は、金管楽器が専門だ。
二人とも、東京事変、椎名林檎様が好きというところが、娘、私と一致していた。
そんな3人に、私は、普段疑問に思っていることを聞いてみた。
我が家では、息子も娘も、平気で友だちをこのオンボロアパートに連れてくるが、恥ずかしくないのだろうか・・・と。
俺だったら、恥ずかしくて連れてこれないと思うけど、と問いかけた。
大食い女子が、考える間もなく答えた。
「夏帆はね、親が近くにいれば、住むところは、どうでもいいんだって。
家に、形や綺麗さはいらない。
家族が住むところなんだから、家族がいれば幸せなんだって」
「あたしも、居心地のいい、この家が好きだな。
1年間住んでみて、夏帆と同じように感じたよ。
古い家だけど、帰りたくなる家だった。
だから、今も来るんだよ」
「引っ越しても来るけど、いいかな?」
いいともー!
ボロくても、居心地のいい家か。
大量の皿を持って、流しに立った。
食器洗い用のスポンジで、あふれ出る涙を拭いた。
洗剤が浸み込んだスポンジだった。
「痛ってえぞ!」
痛くて目が開けられない。
そこで、ボールに水をためて、目を洗おうと思った。
しかし、いつまでたっても、水がたまらない。
「パピー、それ、水切りカゴだよ。水がたまるわけないじゃん!」
オー・マイ・ガッ!
結局「大食い女子」に目を洗ってもらうことになった。
「これだから、この家は飽きないんだよね」
娘のお友だち3人に笑っていただいた。
これで・・・いいのか?
そこで、アパート、駐車場、理髪店、美容院を経営するオーナーの政治力を使って、新しいマンションを紹介してもらえることになった。
しかも、あそこが不便だ、あそこが汚いと文句を言って、家賃を1万円負けさせるという力技(チカラワザ)も使ってくれた。
中央線国立駅から徒歩10分以内の築5年のマンションだ。
本当は5月末に引っ越す予定だったが、住んでいる家族が急遽2月初めに越すことになったため、3月には引っ越せる状態になった。
オーナーから「引っ越すかい?」と聞かれたので、しかるべく、と答えた。
つまり、引っ越しが早まった。
恐れ多いことに、引っ越し代、敷金、3月から5月分の家賃はオーナーが負担してくれるという。
今どきの言い方をするなら「神対応」と言っていいのではないだろうか。
その噂を聞きつけて、娘の高校時代のお友だち3人が、昨日我が家にやってきた。
娘は韓国留学中なのに、いいの?
「パピーの作る料理が食べたくて」と嬉しいことを言ってくれた。
(娘のお友だちは、私のことを『パピー』と呼んだ)
春巻きが食べたい、というリクエストがあったので、春巻きとエビチリ、コショウを多めに使った麻婆豆腐を作ることにした。
米は7合炊くことにした。
なぜなら、お友だちのうちの一人が、一食に3合を食べるからだ。
この子は、中学3年のとき、ワケがあって、我が家に一年間居候をしていたことがあった。
その詳しい経緯は述べないが、とにかく米が好きな子だ。
明太子一本だけで、米を3合食べる姿を見て、最初は驚いた。
ただ、だからと言って、太っているわけではない。
我が娘は、159センチ、39キロの瘦せ型。
お友だちは、同じ159センチで、45キロ程度。
平均より痩せていると言っていいかもしれない。
だが、食べる。
気持ちがいいくらい食べる。
味噌汁も毎回5杯は、お代わりをするのである。
たらこバター・スパゲッティなら、4人前は当たり前に食べる。
キャベツの千切りも、キャベツ半分食べてしまうのだ。
「大食い女子」だ。
ほかの二人の子は、高校の吹奏楽部で娘と一緒だった。
二人とも、大学は音大に進んだ。
一人はピアノ。
もう一人は、金管楽器が専門だ。
二人とも、東京事変、椎名林檎様が好きというところが、娘、私と一致していた。
そんな3人に、私は、普段疑問に思っていることを聞いてみた。
我が家では、息子も娘も、平気で友だちをこのオンボロアパートに連れてくるが、恥ずかしくないのだろうか・・・と。
俺だったら、恥ずかしくて連れてこれないと思うけど、と問いかけた。
大食い女子が、考える間もなく答えた。
「夏帆はね、親が近くにいれば、住むところは、どうでもいいんだって。
家に、形や綺麗さはいらない。
家族が住むところなんだから、家族がいれば幸せなんだって」
「あたしも、居心地のいい、この家が好きだな。
1年間住んでみて、夏帆と同じように感じたよ。
古い家だけど、帰りたくなる家だった。
だから、今も来るんだよ」
「引っ越しても来るけど、いいかな?」
いいともー!
ボロくても、居心地のいい家か。
大量の皿を持って、流しに立った。
食器洗い用のスポンジで、あふれ出る涙を拭いた。
洗剤が浸み込んだスポンジだった。
「痛ってえぞ!」
痛くて目が開けられない。
そこで、ボールに水をためて、目を洗おうと思った。
しかし、いつまでたっても、水がたまらない。
「パピー、それ、水切りカゴだよ。水がたまるわけないじゃん!」
オー・マイ・ガッ!
結局「大食い女子」に目を洗ってもらうことになった。
「これだから、この家は飽きないんだよね」
娘のお友だち3人に笑っていただいた。
これで・・・いいのか?