娘が社会人になった日。
入社式を終えて帰ってきた娘が、仕事をしている私のそばにやってきて言った。
「なあ、手をつないでもいいか」
もちろん。
娘の手を握った。
幼い頃から知っている、大きさは変わったが、感触は変わらない娘の手だ。
20秒くらい、手をつないだ。
娘は目をつぶっていた。
最初は、緊張が感じられた娘の顔が、最後はいつもの穏やかな顔に戻った。
「いただきましたぁ! よし、明日からも頑張るぞぉーい!」と叫んで、娘は自分の部屋に入っていった。
私は子どもたちと濃密に関わってきた。
子どもたちの学校行事には、どんなに忙しくても必ず参加した。
入園式、運動会、お遊戯会、遠足、餅つき大会、うどん作り、カレー作り、卒園式、入学式、運動会、学芸会、マラソン大会、二分の一成人式、授業参観、卒業式、入学式、運動会、文化祭、合唱祭、吹奏楽部演奏会、卓球大会、授業参観、三者面談、卒業式、入学式、運動会、文化祭、発表会、卓球大会、吹奏楽部演奏会、授業参観、三者面談、卒業式、入学式、学園祭、成人式、卒業式。
仕事は大事だが、自分の子どもの成長と健康に勝るとは思っていない。
息子とは、中学2年まで一緒に風呂に入った。
娘とは中学1年まで、風呂に入った。
「ボクは今でも平気だけどな」と娘は言う。
嬉しいことだ。しかし、俺が照れるから、やめている。
息子とは、中学2年まで手をつないで歩いた。
27歳になった今でも「眠れないから」と言われて、たまに手をつなぐことがある。
娘とは、いまも手をつないで歩くことがある。
父親として、無上の喜びだ。
手と手。
それが触れ合うだけで、人は、密度の高いエネルギーを得る。
私も娘と息子の手から、いつもエネルギーをもらっている。
それは、私の気持ちを確実に高揚させてくれる。
いま子育て中のパパさん、ママさん。
あなたのお子さんの手には、人知を超えたエネルギーがあります。
それは、無限のエネルギーと言っていいでしょう。
いつまでも、いくつになっても握ってあげてください。
手をつなげば、強くつながるのが親子。
親子ではなくても、手をつなげば、人は強くつながります。
手は 心とつながっているんです。