ビールが冷えていなくても飲める、と私が言うと「ビールは冷えてないとダメ」と全否定する人がいる。
私は、ビールではない第3のビールであるクリアアサヒを主に飲んでいた。
私は、クリアアサヒがキンキンに冷えてなくても大丈夫だ。
しかし、友人からは必ず「いや、夏はキンキンに冷えてないとマズい、無理!」と言われる。
そう言われて、なんで? といつも思う。
コマーシャルの影響を受けているからだろうか。タレントさんが、いかにも美味しそうに冷えたビールを飲む映像。たしかに、いい画では、ありますけどね。
でも、ぬるいビールも言うほどマズくはない、と私は思いますよ。
大学時代の友人、オノの家を訪問したら、クリアアサヒを出された。
オノに関しては、コチラに書いたことがあった。
そして、オノに「あんまり冷えてなくてごめんな」と謝られた。
なぜ、謝る?
「俺の体には、冷たいものと塩分が毒だから、食べ物や飲みものをあまり冷やさないようにしてるんだ」
オノの病名が何なのか私は知らない。興味がない。
だが、やっていけないことは、やらないほうがいい。
オノが結婚してから、すべてがポジティブな方向に向かっているのはわかっていた。
つい最近まで、ビールを飲むことができなかったオノが、350缶のビール半分を飲むことができるようになったのだ。
もちろん、残りの半分は、オノの新妻が飲む。
晩ご飯のとき、半分ずつ飲み合うのが最大の喜びだったという(しかも、コップにつがないで缶のままだ)。
ノロけやがったな、この野郎。
いま、オノは、週3~4日、1日5時間、総菜屋さんで働いていた。
ほかに、ボランティアで、病院や公民館で、子どもたちに読み聞かせをしていた。
結婚するまで、オノは、総菜屋さんで残ったものを持ち帰って毎食の食事にしていた。
しかし、総菜屋さんの食事は、日持ちをさせるために、塩分を少し濃くする場合が多いと聞く。
それは、オノの体に、ダメージを与えていたと思う。いくら、食事代を浮かせるためとはいっても、それは寿命を縮める行為だ。
奥様は、福祉関係のケアマネージャーをしている人だ。奥様は、それが、オノにとって、いいことでないことが、すぐにわかった。
同棲するようになってから、塩分を抑えた料理を作り、体の冷えない料理を作って、オノの体調を管理した。
だから、オノの体はビールが飲めるまでに急激に回復した。
(今は、ノンアルコール・ビールを飲んでいるらしい。なぜだろう?)
ぬるくても、ビールはビールだ。
なんで、ビールがぬるいくらいで、文句を言わなければいけない?
私が、そう言うと、オノが笑いながら「俺は大学時代、マツのそんなところが嫌いだったんだよな」と言った。
そうなのだ。大学時代同じクラスだったとはいえ、私たちはお互いを嫌い合っていた。
オノは、まったく運動神経がない男で、中学のときから体育会系の部に入ったことはなかった。それなのに、大学に来るとき、オノは必ずテニスラケットを持ってきていたのだ。
ただ、恰好をつけているだけではないか。使わないラケットを持って来るなんて、アホとしか思えなかった。
それに対して、オノが言う。
「20歳前後の若造が、やたら落ち着き払って、静かにみんなの間に紛れ込んでいるのを見て、『なにカッコつけてるんだ』と思ったよ。そんなマツが俺は本当に嫌いだった」
だが、オノが50歳過ぎに大病にかかったとき、なぜか「マツに会いたい」と言ってきたのだ。
断る理由がないので、オノに会いにいった。それから、なぜか親しくなった。
さらに、オノが言う。
「でも、今はわかるんだ」「こいつは、落ち着いているわけではなくて、ただ、すべてが面倒くさかっただけなんだ」「大声を出したり怒ったり、友だちと同じテンションで騒ぎ合うのが、面倒くさかっただけなんだ」「要するに、こいつは欠陥人間だったんだな」
正解です。
同じようなテンションで触れ合ったとしても、それで本当の仲間になれるわけではない、と欠陥人間である私は思った。
そんなものは、一時的なものだ。そんなことで仲間意識を共有できるとは私は思わない。刹那的な意識を仲間とは言わない。
お互いの存在が、心に沁み込んだときが「仲間」だ。当時も今も私はそう思っていた。
むかし、そんなことを違うブログに書いたら、「カッコをつけたただの馬鹿だな」「自分に酔ってるんだろ」などという有り難いコメントをいただいた。
はい、カッコつけてます。酔ってます。ゴメンナサイ、とコメント返しをしたら、「馬鹿にしてるのか」と怒られた。
馬鹿にしていないんですけど・・・・・。
だって、カッコつけているのは素直に認めているわけですから。
オノの奥様の作ったホウレンソウの酢みそ和えとサーモンのマリネ、黒酢を使ったゴーヤたっぷりのモヤシチャンプルーを食いながら、クリアアサヒを飲んだ。
二人はノンアルコール・ビールだ。
ただ食い、ただ飲みしながら、私は催促をした。
もういい加減、本題に入った方がいいのではないだろうか。
「本題?」
できたんだろ。
「なぜ、わかった」とオノ。
8か月ぶりに、オノが奥様の携帯電話で連絡してきた(オノは携帯電話を持っていない)。
こんなときは、金を貸せか、おめでたに決まっている。だが、オノが私に金を貸せ、というのは絶対にない。
すると、残るのは・・・・・。
オノの奥様の年齢は知らない。37~44歳と勝手に推測していた。だから、産めるではないか、と思った野田英樹(変換ミスだ)。
奥様の顔を三田寛子(変換ミス)。
私の視線を受けて、奥様は、こちらが聞いてもいないのに、「40で初産ですよ。いま5か月です」と顔を赤くしながら一反木綿(変換ミス)。
俺の推測、当たってたジャン・クロード・ヴァンダム(変換ミス・しつこい?)。
40歳で初産なんて、いまや当たり前田敦子(我慢してくだ斉藤由貴。怒って灰皿を投げないでくだ西城秀樹・合掌)。
オノ、俺にもう一本、クリアアサヒをくれないか。
「ぬるいけど、いいのか」
いや、お前たちの熱さと比べたら、キンキンだよ(カッコつけた)。