「今年一番ビックリしたよな」と娘に言われた。
風呂から上がったときのことだった。
風呂場の脱衣所の一番上の棚に、いつも私の着替えが置かれていた。
半袖のTシャツと短パンだ。
部屋の中では、365日、私はこの格好で過ごす。
どんなに寒くても半袖短パンだ。
だから、この日も風呂上がりに半袖シャツ短パンに着替えた。
着替えた後に、リビングに行って、休もうと思った。
しかし、そのとき、大学4年の娘に言われたのだ。
「おまっ、それ、何だよ、何のギャグだ!」
いや、普通に着替えただけですけど・・・。
「だって、それ、ボクのTシャツだからな!」
改めて見てみると、普段は無地のはずのTシャツに色がついていた。
娘が好きな少女時代のユナちゃんの画像が薄くプリントされたTシャツだった。
間違って紛れ込んだようだ。
え?
娘は身長159センチ、41キロ。
私は180センチ、56キロ。
どちらもガイコツだ。
とは言っても、同じガイコツでも、サイズが違う。
しかし、何の違和感もなく、普通に着られたのだ。
こんなにもサイズがピッタリだなんて。
「何で違和感なく着られるんだよ」と娘。
だって、着られるんだもん。
「スゴすぎて、笑えるわ。今度から交互に着ようぜ」と娘に言われた。
それを聞いたヨメが、「普通は、父親が一回でも着たものは、嫌がるものじゃないの、娘って」と呆れた。
「だって、似合っているんだからいいじゃない」と娘。
娘の高校時代のクラスメートたちが、たまに我が家に遊びにくるが、その彼女たちが、こう言ったことがあった。
「父親の歯ブラシを見ただけで気持ち悪い」「父親の後にお風呂に入るのは絶対にイヤ」「洗濯も別々がいい」
えらい言われようである。
しかし、我が娘は、そのあたりは全然平気だ。
私の飲みかけの珈琲を勝手に飲むこともある。
チャーハンを食っているとき、油断していると横取りされることがある。
学校から疲れて帰ってくると、「あー眠い」と言って、わざわざ私の布団を押し入れから出して横になるのだ。そして、「オヤジ臭いな」と文句を言ってから寝る。
そんな娘と私がいまハマっているのは、我が家の家猫「セキトリ」の体を両側から吸うことだ。
最初は嫌がったセキトリも、いまでは、大人なしく吸われるままにしている。
セキトリにとっては、いい迷惑だろうから「仕方ないから、変わった親子に付き合ってやるかニャー」と、思っているかもしれない。
ところで、娘がセキトリが心配だから「ネコ保険」に入ろうと言い出した。
全員が賛成した。
中途半端に安価な保険は心配なので、それなりに保険料の高いものを選んだ。
誰が払おうか、という話になったとき、娘が真っ先に「私が払う」と手をあげた。次にヨメが「私が払う」、そして、息子が「俺が払う」。
最後に私が「じゃあ、俺が払う」と手を挙げたら、「どうぞどうぞ」となった。
そんな予定調和のコントの結果、保険料は私が払うことになった。
セキトリ、長生きしろよ。
ブッサイクすぎて、哀れだ!
私もそろそろ子どもとTシャツのサイズが同じになりそうです。
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