杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

喜久酔の屋号

2007-12-27 16:59:52 | 地酒

 午前中、「喜久酔」の蔵元・青島酒造へ酒粕をもらいに行きました。蔵は午前中は洗米作業、午後は新酒の瓶詰め作業で大忙し。昼休み前のわずかな時間を狙って、ずうずうしくお邪魔し、ひとしきり、今冬の仕込みの展望などをうかがってきました。手土産に持参した吉見書店のダイアリーを見て、専務兼杜氏の青島孝さんから「真弓さん、昔より絵が上手くなったねえ」と冷やかされました。

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 私もお返しに、造りが始まると修行僧のようなヘアスタイルになる青島さんを冷やかそうと思ったら、彼の作業着に、〇に八に・(点)のマークを発見。青島酒造の屋号だそうですが、菩提寺に預けてあった家系図や古文書が焼失してしまったため、どんな意味か、いつから使われているのか判らないそうです。

 青島家では、本家は〇と八と●(星)でマルハチボシ、分家は〇と八でマルハチ、あるいは〇と●(星)でマルボシ、八と●(星)でハチボシというように、使い分けているとか。孝さんは「マルハチボシは、酒樽を真上から見た図じゃないかな。酒樽の蓋の注ぎ口を"ホシ”というんだ。八の意味は判らないけど、八の字の付く名前のご先祖がいたのかも」と推測します。

Photo_3 酒樽の注ぎ口が上蓋に付いていたら「天ホシ」、樽の脇に付いていたら「胴ホシ」と言うそうです。なぜ、ホシというのか判りませんが、星から注ぐ米の滴…なんてキャッチコピーが出来そう。

 酒造道具には、ねこ(櫂入れするときの踏み台)、きつね(もろみを酒袋に入れるときに使う小さな桶)、かえる(傾斜のついた足場台)など、愛らしい名前が付いたものが多く、つらく厳しい酒造労働の中で、道具を大切にしてきた職人たちの思いがしのばれます。

 藤枝の郷土史に詳しい方で、マルハチボシの意味がお解かりの方がいらっしゃったら、ぜひご一報ください。


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