先日の静岡県清酒鑑評会表彰式の会場で、個人的にとても嬉しいことがありました。それは、蔵元や従業員の方から、ブログを楽しみに見てるよ、と声をかけてもらえたこと。森本酒造の森本社長からは「俺の顔をまた勝手にのせやがって」と、いつものように(半分照れくさそうに)小言を言われ、吉屋酒造(忠正)の川口さんからは「僕、“あかい奈良”の定期購読申し込みました。いい雑誌ですね」と嬉しいお言葉。
下請業務の多い地方の職業ライターにとって、自分の仕事を表立って紹介する機会というのは、新しい取引先に挨拶に行くときや、コンペに履歴書代わりに出すときぐらいで、一般向けにはほとんどありません。ましてや、地酒業界の人の多くは、私が、酒以外の取材や原稿執筆で生計を立てていることはあまり知らないと思います。
ブログを始めたのは、ひとつは、酒の映画づくりを始める前に、自分のことをよく知ってもらうという目的がありましたが、本当に知ってもらうのはライター個人ではなく、ライターが出会った素晴らしき取材対象者。当たり前のことですが、私は“接着剤”に過ぎないんです。それでも、川口さんが『あかい奈良』と出会って、川口さんが今まで知らなかった奈良の魅力を知る・・・そのお手伝いができるなんて、なんて素敵なことだろうと思います。
私が手がける仕事は、公的機関の発行物で一般の人も入手可能なものが多いので、興味がありましたら、ぜひお手にとってご覧ください。そこに紹介された人やモノや場所は、伝える価値のある素晴らしいものばかりです。
とりあえず、今日は、今年1~3月までに手がけ、過去ブログでも取材や制作過程にふれた仕事のいくつかを紹介します。
JA静岡経済連発行の季刊誌『スマイル』。私が全面的に取材・執筆・写真撮影・編集をしています。
2月に発行されたみかん特集号では、今年元旦のブログでも紹介した杉浦実さん(独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構カンキツ研究興津拠点主任研究員)の解説「みかんの機能性」が注目記事です。県下JA主要店舗やファーマーズマーケット等で入手できますが、JA静岡経済連までご確認ください。電話/経済連企画管理課050-3101-4594
『STOP温暖化アクションキャンペーン2007活動報告書』は、07年6月から08年1月までの県内のエコ活動500件あまりを、チーム別に紹介したイエローページのような冊子。CO2削減や環境美化を目指し、家庭、オフィス、地域、学校などそれぞれの立場で実践している事例がわかりやすくまとめられています。過去ブログで紹介したとおり、この中から、御前崎総合病院花の会が、オフィス部門優秀賞を獲得しました。グランプリは焼津のサッポロビール静岡工場です。
私は500件の活動報告書を規定文字内にリライト・入力しました。地味でしんどい仕事でしたが、エコに対する高い意識を持つ地域、企業、店舗、学校の存在を知り、確かに見方が変わりましたね。ビールならサッポロにしようとか、思いますもん。2008年度は地酒の蔵元でぜひエントリーを期待してます。太陽光発電や汚水浄化システムを導入した開運の土井酒造場さんあたり、ぜひ!
報告書の内容や入手方法については、STOP温暖化アクションキャンペーン事務局(静岡県地球温暖化防止活動推進センター内)まで。電話/054-271-8806
映像作品『朝鮮通信使』の韓国語版DVDは2月末にようやく完成しました。100部しか作らず、配布先は静岡市が管理しているので、市民はまったく知らないと思います。
過去ブログでも再三書いたように、市税を投入し、地元クリエーターが心血を注いで制作した作品が、市民に気軽に見てもらえないという状況は残念きわまりないこと。来春には静岡空港が開港し、韓国との距離も一段と近づくわけで、この作品を日韓文化交流の一助に有効活用してほしいと思います。県広報誌『MYしずおか』の知事対談でも、石川知事が「韓国朝鮮の人は、侵略者の秀吉に代わって平和外交を行った徳川家康に親しみを持っているので、家康や朝鮮通信使ゆかりの史跡は韓国からのツアー客に人気が集まるでしょう」と期待を述べていました。
この韓国語版は、ラインプロデューサーの水野邦亮さんが、東京の専門業者に翻訳を依頼し、脚本監修の金両基先生に手直しをしていただきました。業者に払ったら予算が底をつき、金先生も水野さんもほとんど無報酬だったようです。
苦労を背負わされたお2人には申し訳なかったのですが、私にしてみれば、自分が書いた脚本や原稿がハングルに翻訳されるなんて感慨ひとしお。心から感謝します。せっかくだもの、これ、教材にして本格的に韓国語を覚えようかな。問合せ/静岡市経済局商工部産業政策課 電話054-354-2313
内閣府特命大臣上川陽子さんの国政報告集は3月1日にタブロイド版4ページで発行されました。中面2ページにわたって、私が陽子さんにインタビューした『いのちの原点を見つめて』が載っています。担当される少子化対策、男女共同参画はもちろん、長年取り組んでこられた犯罪被害者支援、得意分野の一つである外交問題、医療問題、農業問題など、どこを突いても的確な答えが返ってきて、さすが大臣にまでなる人の資質はスゴイな、と改めて感じました。
私は、後に先方校正が入るインタビュー記事を書くとき、基本的にテープは録りません。テープ録音に頼って書き取りをおろそかにし、録音に失敗して痛い目にあった経験があるからです。陽子さんクラスになると、録音機があってもなくても、ふだんどおりしゃべってくれますが、目の前に録音機があると、なかなか思い切った発言ができないという人もいて、プロのライターなら、メモ取りで完璧な原稿が作れるようでなければ、と鍛えられてきました。今回のインタビューは3時間以上かけましたが、家に帰ってもう1回、テープを3時間再生し直すのは確かにシンドく、非効率ですからね。
その代わりインタビュー中はものすごく集中し、原稿を作るときは、メモに記したキーワードや重要な台詞を再構成し、読み物としての流れを創作します。もちろん、作成した原稿は陽子さんご本人に最終チェックをしてもらいます。そこに、速記録と読み物原稿の違いがあるわけです。
それはともかく、陽子さんの活動を通して、国務大臣の役割や責務といったものを、身近に感じてもらえたら、と思います。報告書はかみかわ陽子後援会事務所で無料配布しています。電話/054-251-8424
静岡県広報局発行の総合情報誌『MYしずおか』36号は3月10日の発行。私は、知事対談「しずおか交流開化~富士山静岡空港開港まであと1年」と、特集記事「21世紀は文化力の時代」、フレッシュ静岡野菜「セルリー」を担当しました。
ライターの天野のり子さんが担当する「時のかけら」というページは、静岡県の知られざる偉人や偉業をプロジェクトX風に紹介し、とても読み応えがあります。今号ではしいたけ集積地である藤枝のすぐれた貯蔵技術について紹介しています。
志太地区のしいたけや茶の貯蔵技術は、酒の蔵元も大いに参考にした経緯があり、この地区が銘酒処になった理由の一つとも考えられます。私が書けば、たぶんそのことに触れ、主役がしいたけではなく酒になってしまったかも(苦笑)。
MYしずおかは県の施設の情報コーナーで入手可能。大学、銀行、病院のロビーなどにも置いてありますが、確実に入手するなら県広報局へお問合せを。郵送もしてくれます。180円切手を同封して次の住所へ。〒420-8601 静岡県広報局「MYしずおか担当」まで(あて先不要) 電話/054-221-2233
雑誌sizo:kaは、8号が4月1日に発売されました。1冊640円。県内主要書店で販売されています。ネットでも購入可能です。今号では私の自慢の後輩で、優秀なフォトグラファーでもある多々良栄里さんの、ふるさと藤枝の四季の写真が巻頭を飾っています。また『吟醸王国しずおか』をサポートしてくれるカメラマンの山口嘉宏さんも、久能街道のイチゴ娘たちの朗らかなショットを披露しています。私はいつもの連載『真弓の酒蔵スケッチ』で、磯自慢のロケ風景を紹介し、ちゃっかり映画製作の宣伝をさせてもらいました。
新年度が始まり、公的機関の仕事は、また1からコンペや入札で、受注できるかどうかわからず、今は、1年のうちで一番不安定な時期でもあります。
20年以上もこの仕事をやっていると、ついつい、慣れや気の緩みが出て、自分が受けるならこのレベルの仕事じゃなきゃ…なんて尊大になったり、今までの仕事も受注できて当然、とタカをくくることも。そんな今、映画づくりという夢を持ったことで、仕事に対する意識が変わったと感じます。どんな仕事も断らず、どんな出会いもいとわず、すべてを肥やしにしてやると、ますます欲が湧いてきます。仕事を長く続けるには、こういうショック療法みたいな体験が、時々必要になるんですね。