昨日(17日)は早朝、ボルトの100m世界新記録を観て、7時に家を出て、一路浜名湖舘山寺へ。村櫛の田中造園さんを訪ね、放置竹林対策の一環で開発したという竹粉の土壌改良材の商品パッケージやネーミングのご相談を受けてきました。
竹には豊富な食物繊維やビタミン、アミノ酸、乳酸菌が含まれ、土を健康にしたり、家畜の栄養剤にも使えます。従来の竹粉は繊維が残り、胃腸を傷つけてしまうことがあったそうですが、田中造園では、熱を加えること なく針状繊維が残らない微粉末化に成功。真空パックにして竹が持つ乳酸菌を醗酵させた状態で販売できるようにしたとか。醗酵乳酸菌効果で、消臭効果もプラスされ、家畜の腸内環境を飛躍的に向上させました。
・・・ということを、実験データでは証明できたんですが、実際に飼料として使ってくれる家畜業者さんになかなか出会えません。農家向けに、「生きたままの乳酸菌を含んだ100%天然成分の土壌改良材です」とアピールしても、こういうものを積極的に使ってみようという生産者は現れず。
「これは造園業の片手間にやるサイドビジネスですか?」と訊いたところ、田中社長と2人の息子さんは、「いえ、本気で取り組む事業です」ときっぱり。その根底には、造園業が置かれた厳しい経済状況はもちろんのこと、放置竹林を資源に変えて循環型環境社会の担い手になろうという強い意志を感じました。日々、植物と対峙する仕事をされているからこそ、一般の人よりも深刻に、また真摯に考えているんだろうなと思います。
これ、同じ時期に植えた大根の芽だそうですが、3週間でこれだけの違い。竹の乳酸菌が土をいかに元気にするか、一目瞭然です!
このような竹粉の存在と実力を多くの人に知ってもらうために、ホームセンターや園芸ショップで販売し、一般の人に手軽に家庭菜園等で使ってもらおうと、今回、サイズやパッケージを見直すことになりました。
10月に静岡市のツインメッセで開かれる新産業フェアで発表できるよう、私もお手伝いします。すでに5キロ(家庭用プランター3~4個分)と10キロサイズは販売中ですので興味のある方はぜひこちらを。
田中造園での打ち合わせを終え、午後は、樹木医塚本こなみさんに推薦し てもらった巨木古木の写真を撮ろうと県西部地区のマップを広げ、天気もいいことだし、思い切って一番遠そうな水窪の山住神社まで行こうと決意。
浜名湖の舘山寺から延々車を飛ばし、途中、昼食休憩をはさんで約3時間。うぅ・・・車で3時間走ってもまだ浜松市内なんて、なんつー広さ。ここを選挙区にしている静岡7区(話題の激戦区ですね)の立候補諸氏はタイヘンだなぁとしみじみ。
お盆明けだからか、途中でほとんど人にも車にも出会わず、いつまで経っても山道を同道巡りしているみたいで心細くなりましたが、やっと山住峠に到着。山門をくぐると目の前にそびえ立つ2本の大杉―山住杉は、神社鎮座の頃 (709年)に御神木として植栽されたものというから、今年でちょうど樹齢1300年になるんですね。・・・す、すごい。
山住杉という名称は、江戸の元禄期、当地の領主が伊勢から杉苗を取り寄せ、「山住杉」の名で杉の産地化に努めたおかげ。いわば地域ブランドの先駆けってわけですね。これが、後の天竜川流域の林業の発展につながりました。
林業をとりまく環境は、江戸から明治、そして昭和から平成へと激変しています。森や人間が環境の変化で右往左往する最中でも、この大杉だけはどーんと変わらずこうして立っているんだと思うと、なんだか不思議ですよね。
杉や竹には、人智が及ばない生命パワーが宿っていることを、改めて実感した一日でした。