5月19日 キャッチ!
昨年開催されたラグビーのワールドカップで優勝したニュージーランド代表“オールブラックス”。
試合前に選手たちが披露した独特な踊りは
ファンの間では有名だが
“ハカ”と呼ばれ
先住民であるマオリの人々の伝統的な踊りの1種である。
数十人の男女がマオリの言葉で歌ったり
列をつくって踊ったりするカパハカ。
マオリ語で
カパ=列・団体
ハカ=踊り
を意味する。
カパハカの始まりはマオリの人たちに伝わる昔話にあると言われている。
ある部族のリーダーが
飼っていたクジラを食べた敵の部族に復讐するため
40人の女性たちを送った。
その女性たちが敵を油断させようと行った踊りがカパハカの起源だという。
マオリ文化の研究者は
カパハカはマオリの人たちがもっとも愛着を抱いている文化だと話す。
(マッセイ大学 上席講師 ダリン・ジョセフさん)
「カパハカのエネルギーは動作や表情によって生まれます。
その実演を体感することがカパハカの魅力です。」
ニュージーランドの首都ウェリントンから車で北に2時間の町 パーマストンノーズ。
人口8万4千人のうち約15%がマオリの人たちである。
他の各町では2年に1度カパハカの大会が開かれているが
この町では十数年以上行われていなかった。
それを2年前に復活させたのがクリス・ワイアプさん。
この町でマオリの子ども向けの託児施設を運営している。
子どもの頃から他の町の仲間たちとカパハカを続けていたが
育った町のカパハカをしっかり残す必要があると考えていたという。
(託児施設 経営 クリス・ワイアプさん)
「大会によってカパハカに親しむようになれば
私たちは成長し
このユニークな文化についてさらに知ることができます。」
大会の復活に合わせて
ワイアプさんは家族や近所の人たちと新たなチームを結成。
今年の大会前の最後の練習に臨んだ。
メンバーは10代~70代までの25人。
前回舞台に上がった妻に加え
今回は娘2人も初めて参加するため
ワイアプさんの練習にも力が入る。
(長女 トイヤさん)
「マオリの誇りを感じますし
家族と一緒に踊れることは特別で素晴らしいことです。」
そして大会当日。
ことし参加したのは6チーム。
それぞれ25分の持ち時間の中で最低6つの演目を披露し
歌や踊りに加え
マオリ語の発音が審査される。
演じる時間が近づきワイアプさんたちの緊張が高まる。
そしていよいよ出番。
今回の大会のために歌の1つには
今年亡くなったワイアプさんの母親への感謝の気持ちを込めた。
♪マオリの女性は 働き者だという
それはお母さん あなたのことです
審査の結果
ワイアプさんのチームは目標としていた上位3位入りを逃した。
それでも自分のチームを含め
全てのチームが無事踊りを終えたことに
ワイアプさんは満足そうな表情を見せていた。
(クリス・ワイアプさん)
「今後も人々に声をかけて参加者を集めたいと思います。
もっと多くの人たちに踊りを楽しんでもらいたいのです。」