5月21日 おはよう日本
アメリカ ニューメキシコ州。
磨かれた大理石や宝石のような色とりどりの玉。
全て土を丸めて固めたどろだんごである。
作ったのはソフトウェアの会社でエンジニアとして働いているブルース・ガードナーさん(51)。
「ただの土からこんな美しいものができるのが大きな魅力です。」
ガードナーさんがこだわっているのは
どろだんごの材料となる土探し。
この日は自宅から車で30分ほどの場所にやってきた。
(ブルース・が^ドナーさん)
「石灰石が含まれているので
灰色のいいどろだんごができますよ。」
自宅の作業場には各地の土が集められている。
土によって個性があるため
どろだんご作りは簡単ではないという。
(ブルース・ガードナーさん)
「緑色の土が一番固くて手ごわいです。」
ガードナーさんがどろだんごに出会ったのは約15年前。
偶然手にした雑誌で
日本でどろだんごが光り輝くまでに磨き上げるのが流行っていることを知った。
インターネットなどで情報を集め
すぐに製作を開始。
次第にその奥深さに引き込まれていった。
日本のどろだんご作りを参考にしたガードナーさん。
土に水を混ぜてこね
形にし
磨いていくのは同じだが
様々な工夫も凝らしている。
乾燥後のひび割れを防ぐために
小さな枝でたたいて中に残ったわずかな空気を抜いていく。
形を整えるためにボウルまで使う。
どろだんごが均等になるようころがす。
仕上げに使うのはストッキング。
どろだんごを光らせるために丁寧に磨き上げる。
形作りと乾燥の工程を繰り返しながら
1~2日ほどかけて作り上げていく。
これまでに製作した泥だんごは数百個。
ギャラリーで個展を開くまでになった。
(ブルース・ガードナーさん)
「それぞれに個性があります。
作っていると丸で自分とだんごが1つになっていく感じがする。
形が変わる過程も興味深いし
作っていてとても落ち着く。」
ガードナーさんはインターネットでどろだんご作りの紹介もしている。
今では連日のように
世界各地から作り方の問い合わせなどが寄せられるようになった。
ガードナーさんが伝えるどろだんご作りが心の支えになったという人がいる。
ユタ州に住むローガン・リドルさん(31)。
アメリカ海兵隊に所属に2011年までアフガニスタンに派遣されていた。
基地の警備を担当していたリドルさん。
昼夜問わずいつ襲われるかわからないプレッシャーがかかるなか
同僚も命を落とした。
そんななかインターネットを通じて知り合ったのがガードナーさんだった。
リドルさんはアフガニスタンにいる間
ガードナーさんの手ほどきを受けながらどろだんごを作り続けた。
(ローガン・リドルさん)
「どろだんご作りに没頭している間だけは戦闘の不安やストレスを忘れ
心を落ち着かせることができたのです。」
アメリカに戻った今もガードナーさんと交流を続けている。
「ひび割れをどうやたら防げるのか伺いたかったんです。」
「乾いた砂を足していく間にひび割れしてしまったら
とりあえずしばらく置いておいた方がいいですよ。」
この日ガードナーさんからリドルさんにプレゼントがあった。
「すごいなあ。
こんなのが作れるようになるまでにはまだ先が長そうです。」
アフガニスタンでの任務を終え
今は日常の生活に戻ったりドルさん。
娘とどろだんごを作りながら過ごす時間は
何ものにも代えられない大切な時間だという。
(ローガン・リドルさん)
「時間をかけて何層にも積み重ねていくどろだんご作りは人生そのものです。
より高みを目指して努力を続けなくてはと
いつも感じるのです。」
海を渡って広がる日本のどろだんご作り。
その奥深さは芸術の域を超えて人々の心をとらえている。