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中国“起業の聖地” 夢を追う若者たち

2021-02-08 07:01:36 | 報道/ニュース

2021年1月22日 NHKBS1「国際報道2021」


中国内陸部にある貴州省。
沿岸部と比べて開発が遅れていて中国で最も貧しい地域の1つとされてきたが
6年前 省都の貴陽市にアジア最大級の巨大団地が誕生して
一躍注目の的となっている。
この貴州省の団地には
安い物価や整ったインフラを目当てに中国各地から若者たちが集まって
新たなビジネスを起こす“企業の聖地”と呼ばれるまでになっている。

紀州省の開発業者が1兆5,000億円をかけて建設した巨大団地“花果園”。
200棟以上の高層マンションやオフィスビルが立ち並び
50万人が暮らしている。
5Gなどの通信インフラが整い
税制面でも優遇措置があることから
企業のために移住してくる若者が後を絶たない。
6年前に団地が完成して以来
新たに2万の会社が誕生し
花果園は若者たちの間で“企業の聖地”と呼ばれている。
コロナ危機のなか堅調に業績を伸ばしてきたベンチャー企業。
タレントを育成しネットでライブ配信するビジネスで
毎月7億円の売り上げを上げている。
社長の胡さん(32)。
800キロ以上離れた江西省で銀行員をしていたが
花果園がオープンして間もなく移住して企業。
莫大な利益を手にした。
(胡さん)
「ここは家賃が安く
 企業コストが低い。
 若者が多くて人材も募集しやすい。」
団地の広場で演奏する2人組。
彼らもまた
明日の成功を夢見る企業家である。
一昨年 花果園にやって来て音楽教室を起ち上げた。
毎日 看板を立てて演奏し生徒を募集している。
「SNSしませんか。
 見学も歓迎です。」
マンションの1室にある音楽教室。
李さん(28)は貴州省北部の農村の出身で
以前は大手の音楽会社に勤めていた。
共同経営者の劉さん(28)は大学卒業後 広東省のIT企業でプログラマーをしていた。
高校の同級生でともに音楽が好きだったふたりは
夢をかなえようと意気投合。
貯金をはたいて
子どもや学生向けの音楽教室を起業したのである。
「授業料は1時間2,000円です。
 うちの先生は全員プロですよ。」
しかし新型コロナウィルスの影響で去年2月から5月まで休業を余儀なくされ
完全に再開できたのは9月。
賃料やスタッフの給料など月30万円近いコストがかかる。
(李さん)
「金持ちにとって起業は投資に過ぎないが
 金がない僕らには苦労の連続だ。
 どうせ失うものもないけどね。」
(劉さん)
「安定した仕事を捨てるなんてバカだと友人に笑われた。
 でも僕は挑戦したい。
 リスクがあっても好きなことをしたい。」
ビジネスの低迷から抜け出そうとふたりが始めたのがオンライン授業である。
日付が変わった午前0時過ぎ。
オンラインで最後の授業が始まった。
生徒は武漢の大学生である。
「ドから弾きましょう。」
レッスンをオンラインに切り替える教師が増えるなか
生徒を確保するのは容易ではない。
深夜でも早朝でも生徒の都合に合わせる。
経費を浮かせようとふたりは職場で寝泊まりしている。
(李さん)
「ここ数年は勉強。
 赤字にならなければ満足だ。
 30歳になったら大儲けできるだろう。」
(劉さん)
「目標と理想のない人はゾンビにすぎない。
 自分の会社を上場させるのが目標だ。」
中国内陸部にある“企業の聖地”。
若者たちのエネルギーがさらなるビジネスチャンスを生み出している。

 

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