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中国共産党100年 “党の歴史を学習せよ”

2021-05-24 08:14:13 | 報道/ニュース

2021年5月10日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


中国共産党は今年7月に創立100年の節目を迎える。
それを前に共産党の歴史にゆかりのある革命聖地が賑わいを見せている。
“長征”と呼ばれる大規模な行軍が始まった江西省の瑞金や
長征の終着点で革命の拠点になった陝西省の延安など
革命聖地は中国全土に広がっている。
また共産党内部では
革命の歴史を学び直そうという動きが活発化している。

観光客が行き交う通りで合唱を披露する人たち。
歌うのは「建国の父」と呼ばれる毛沢東をたたえる革命歌である。
そろいの衣装はかつての共産党軍 紅軍の軍服を模した服装。(コーラス隊員)
「革命歌を歌うと気分がすっきりします。」
ここは中国内陸部貴州省の遵義。
1935年にここで開かれた共産党の会議で毛沢東が指導権を確立したとされる場所で
代表的な革命聖地である。
中国政府はこうした共産党ゆかりの史跡をたどる旅行を
赤い旅行(紅色旅游)と名付けて推進。
共産党100年となる今年は赤い旅行の宣伝を進め
全国各地の革命聖地が大勢の観光客でにぎわっている。
(観光客)
「この機会に昔のことを思い出したいです。」
「大先輩たちの立派な業績をしのびたいんです。」
中国共産党は1921年7月に創立された。
毛沢東が指導権を確立した後
蒋介石率いる国民党との激しい内戦に勝利。
1949年に中華人民共和国を建国した。
毛沢東の「革命精神」に学べと
繰り返し強調しているのが習近平国家主席である。
(北京 2016年7月 習近平国家主席)
「我々は共産党創立時の奮闘精神を永遠に持ち続けなければならない。
 全党員が絶対に初心を忘れてはならない。」
習主席は今年2月
全国の党員に対して
あらためて党の歴史を学ぶよう指示。
北京の書店には党の歴史に関わる書籍を集めたコーナーもお目見えした。
中国各地ではいま党の歴史を学ぶ学習運動が連日行われている。
党の学習運動とはどのようなものか。
代表的な革命聖地のひとつ
内陸部江西省井岡山。
1927年に毛沢東が初めて革命の拠点を置いたとされる場所である。
この日 党の幹部たちを集めた学習活動が行われていた。
(講師)
「大衆に頼って勝利を求めましょう。」
講師が強調していたのは毛沢東の革命精神である。
(講師)
「大衆を立ち上がらせ頼らなければ戦いはできないのだ。」
(研修生)
「革命軍の栄光ある歴史を復習してとても幸せです。
 私たちは党の経験を吸収して伝えていきます。」
井岡山にある.共産党直属の研修施設。
各地から集まってきた共産党の幹部に向けた講義が行われている。
この日 党や政府の局長級とされる幹部に向けた講義が外国メディアに公開された。
(講師)
「農村から都市を包囲し
 武装闘争で
 中国革命は偉大な勝利を得たのです。」
講義では革命の歴史だけでなく習主席の言葉を1つ1つ紹介していた。
(講師)
「習主席は
 近代以降の歴史を理解しないと中国社会を把握できないとおっしゃいました。」
この幹部学院は習主席の指導思想の教育を研修の最重要課題にしているという。
(井岡山幹部学院 副院長)
「幹部学院では
 習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を
 教育で重要視しています。」

革命聖地では党や企業といった団体客が目立っていたほか
個人客では高齢者が多く見かける。
一方で若い家族連れなどの姿はあまり見かけない。
革命聖地をたどる旅行が国民全体でブームになっているとまでは言えない。
習主席の“党の歴史を学べ”というキャンペーンは
あくまで全国9,000万以上いる党員に向けたもので
当院ではない一般の国民からすれば
関係のないと考えている人が多いのかもしれない。
党幹部向けの研修施設では
党の革命の歴史や指導者の考え方を強調していた。
党は党の歴史を学ぶ本を指定しているが
そこでは中国という国が共産党の統治のもとでいかに発展してきたかが強調されている。
習主席は“正しい歴史を学ぶように”と指示していて
党にとって都合の悪い歴史
たとえば中国に大きな混乱をもたらした文化大革命とか
民主化を求める学生らを武力で鎮圧した天安門事件には
あまり目を向けないよう求めていると思われる。
共産党100年の節目に
党の統治は正しいと重ねてアピールする狙いがある。
中国政治に詳しい専門家は
(東京大学公共政策大学院 高原教授)
「共産党の偉業を教え込み
 支配の正当性を確保する意図がある。
 政治運動を通してライバルを周辺に押しやり自分の権威を固める。
 これが重要な狙いだ。」
来年秋には5年に1度の共産党大会が行われる。
この大会では習主席がこれまでの慣例を破る形で
3期目以降も続投するという見方も広まっているうえ
毛沢東が務めた“党主席”のポストを復活させ
自らに権限を集中させようとしているのではないか
という見方までくすぶっている。
こうした重要な政治日程を前に週主席は
自らを含む歴代の指導者の統治が正しかったと
いわば思想教育をすることで自らへの忠誠を求めている。
習主席としては対外的にアメリカとの対立が続くなかで
まず足元の党内は団結させておきたいという思惑があるのではないか。


 

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